見出し画像

医者にスルーされやすい症状は??~不定愁訴扱いされないために~


前回医者が病歴を聞いているときの頭の中の順序について少しお話しました。

今回は医者にスルーされやすい症状について少しお話したいと思います。
こんな言い方では炎上の火種になってしまいそうですが、医者の頭の中の実際のところを(あまりオブラートに包まず)お話ししながら、うまく医者を使える患者さんになっていただきたい!というのが、このNoteの目的なので、続きをよく読んでいただければと思います。

もちろん、スルーされやすい症状でお困りの方が伝えるべきポイントなどもお話していきますのでご心配せず最後までお付き合いください。

さて、スルーされやすい症状、ですが…いわゆる「不定愁訴」がそれにあたります。

不定愁訴(ふていしゅうそ)
特定の病気としてまとめられない漠然としたからだの不調の訴え。頭が重い、疲れやすい、食欲がないなど。

デジタル大辞林
https://www.weblio.jp/content/%E4%B8%8D%E5%AE%9A%E6%84%81%E8%A8%B4
なんかよくわからないけど、しんどい。そういうことありますよね・・・。
ただの疲れや体調不良で済まされない、隠れた疾患のサインのこともあり難しいですよね。


もちろん不定愁訴から診断がつく重大な病気も山ほどあり、非常に重要な症
候(症状)なのですが、前回お話した、「あれこれ詰め込んだとりとめのない訴え」のなかに、こういう重要なものが埋もれてしまうと、患者さんにとっても医者にとっても悲劇です。

患者さんが悲劇なのは当然として、医者にとっても患者さんが治せないつらさ+訴訟を恐れるつらさ、(患者さんに比べれば、ごくごく矮小ですが)これはこれで結構大変です…


不定愁訴は上記のように、漠然とした不調のことです。
よく患者さんから訴えがある不定愁訴には、だるい、めまいがする、ちくちく胸が痛い、よる急におきたらドキドキしている、などがあります。

不定愁訴を訴える患者さんのなかには、心身症に近い方も多く、診察のたび毎度毎度不定愁訴を延々と聞かされて、正直うんざりしていまうこともあります…(未熟)

病気かどうかは患者さん自身では判断つかないのは当たり前なので、全部訴えたくなる気持ちはよくわかるのですが、先ほど申し上げたように、せっかくの大事な身体のサインも有象無象の訴えのなかに埋もれさせて、重要な疾患の見落としにつながっては大変!
こういうときこそ、医者の目線を知っておいてうまく症状を伝えましょう。


ここでおすすめしたいのが、医師に症状の重要性を伝えたいとき、不定愁訴の場合は随伴症状をぜひ伝えていただきたい、ということです。

~随伴症状ってなに?~
聞き慣れない言葉ですよね。随伴症状とは、主訴(メインの症状)にその名の通り随伴している症状のことです。

随伴症状にはいろいろあります。
有名なところでいうと、
心筋梗塞(本来胸が痛い病気)のときの嘔吐や肩こりのような痛み(放散痛といいます)
虫垂炎(お腹の右下にあります)のときの心窩部(みぞおち)痛
片頭痛のときの羞明(目がチカチカ・まぶしい感じ、しゅうめいと読みます)
などがあります

われわれは診断がついたあと、非特異的な症状に対してこの言葉を使うことが多いです。
上記の疾患でいうと、
心筋梗塞 主訴=胸痛、随伴症状=嘔吐など
虫垂炎  主訴=下腹部痛、随伴症状=心窩部痛、嘔吐など
片頭痛  主訴=頭痛、随伴症状=羞明
といった具合。

たなかの用語解説

本来であれば、症状を考える優先順位は患者さんの訴える重さ次第なのですが、不定愁訴はあまりに鑑別診断が多いことや、結局疾患ではなく体調・心身の不調からくるものであったりするため、診断の段階では優先順位は下がることが多いのです。

患者さんの感じる「つらさ」の順番と、診断上重要な症候の順番が一致しないとういことになるかと思います。

言い方を変えると、主訴が不定愁訴であっても、こういった随伴症状をしっかりと伝えることで、正確な診断・治療に至ることが多いのです。
自分の一番つらい症状がいわゆる不定愁訴に分類されるような場合、是非他の症状との関連や、体温・体重・血圧といった身体のパラメーターと一緒に伝えると、診断に有用ですし、最終的にはご自身がお困りの症状の改善にも早くつながるのかと思います。


さて、少し長くなりましたがいかがでしたでしょうか?

不定愁訴だけではなく、他のサインを忘れず、うまく医師に伝えてくださいね。

途中いくつか具体的な疾患と不定愁訴のお話を挿みました。
もし他の症状で、症状から疑われる疾患が知りたい!というものがあればコメント残していただければ嬉しいです。
もちろん、今回取り上げたものでも構いません。

それではまた!

いいなと思ったら応援しよう!