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メタバース概論 -Web3.0とメタバース-

1.はじめに

 1-1.自己紹介

こんにちは、Schopの堀田(@yssy_81)と土田(@i_am_shinya)です。

Schopは2021年7月に発足した、Web3.0という主にブロックチェーン技術を活用した新しいWebの世界の実現を目指すチームで運営するメディアです。

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今後もブロックチェーンやNFT、ソーシャルトークンやメタバースなど様々な情報を定期的に発信していくので、まだフォローされてない方はぜひフォローしてチェックしてみて下さい!(Twitterもぜひ!@SchopTech

 1-2.この記事の概要

本記事では、「メタバース」とはそもそも何なのか、またこれまでの代表的なメタバースとその特徴を簡単に纏めながら、Web2.0から3.0への発展に伴ってメタバースはどのようにアップデートされていくのかを考察します。

2.メタバースの概要と代表的なサービス

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 2-1.メタバースとは?

メタバースは、1992年SF作家ニール・スティーヴンスンの著作「スノウ・クラッシュ」の作中で登場するインターネット上の仮想世界を表す言葉で、現在では主に将来におけるインターネット環境が到達するであろうコンセプトモデルや仮想空間サービスの通称として使われています。

ソードアートオンラインやレディ・プレイヤー1で描かれているような世界、といわれると皆さんもイメージしやすいのではないでしょうか?
(厳密にいうと違う部分も多々ありますが。)

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メタバースに関しては様々な方が既に色々な定義をしていますが、私たちのメタバースの定義は以下の特徴を満たすものです。
(参照: Off Topic オープンメタバースの必要性)

1.「リアルと同じ時間軸で進み、現実と行き来できる」
24時間365日リアルと同じ時間軸で進み、終わることなく常にあり続ける。また、ユーザーは現実とメタバースを自由に行き来できる。

2.「いつでも誰にでもオープンな場である」
誰でもメタバースに参加できる。またユーザーは、メタバース内でイベントや場所、アクティビティーに参加することで、個性を表現できる。

3.「経済圏がある」
メタバース上で使用可能な通貨が存在し、個人や企業はメタバース内でその通貨を通して物の売買ができる。結果として、流動性を持つ経済圏が形成される。

4.「様々なユーザーが創るコンテンツや体験がある」
ユーザー自身がコンテンツや体験を創り、他のユーザーに提供できるようになる。

5.「相互運用性がある」
ユーザーはアバターを通して様々なメタバースを横断して生活し、また同様にデジタルコンテンツも各メタバース横断で利用できる。

これらの特徴をすべて満たすメタバースは現時点ではほとんど存在しないのですが、これまでにも様々なサービスがメタバース(に近いもの)として生まれ、成長/発展してきました。以下、その中でも代表的なサービスを纏めていきます。

 2-2.Second Life/セカンドライフ

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セカンドライフとは?

セカンドライフは、ネット上の3D仮想空間で自分のアバターを操り、他の参加者とコミュニケーションを取ることができるサービスで、2003年サンフランシスコにあるリンデンラボ社により開発されました。

どのように発展したのか?

セカンドライフはその新規性やメディアの過剰報道も相まって、2006年から2007年にかけ一時はユーザー数が1,000万人を超えるまでに成長しました。

そして、それに伴いコカ・コーラやトヨタをはじめとしたトップ企業が次々とセカンドライフ上に進出してブランド広告を掲載するなど、次世代のPR・マーケティングの場としても発展していきました。

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なぜ衰退したのか?

しかし2007年後半からセカンドライフはその勢いを急速に失いました。要因は「UI/UXが陳腐」「パソコンの要求スペックが高すぎる」などいくつか挙げられますが、最大の要因は「そこで何もすることがなかった(Nothing to do)」という点です。

そのためユーザーは次第にログインしなくなり、大企業が数億円を投じ建設した仮想ビジネスセンターも閑散としていき、結果あらゆる企業が広告を撤退するという悪循環に陥ってしまったのです。

このような状況を招いた要因は、セカンドライフがSFの「仮想世界」という概念先行で発展する中で、意図せずユーザーファーストでなくなってしまっていたことに他なりません。実際、YoutubeやInstagramなど現在多くのユーザーに利用され続けているプラットフォームを見れば分かるように、プラットフォームはそこでユーザーが何をするのかが非常に重要になります。

しかし当時のセカンドライフでは、小説や映画に出てくる仮想世界のコンセプトをインターネットで表現することが優先され、ユーザーが仮想世界で何をするのかという重要な観点が抜け落ちてしまっていたのです。
(レストランや乗り物、パレードがないディズニーランドをイメージしてみてください。)

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では、ここまで述べてきたセカンドライフの盛衰を経て、現在最もメタバースに近いとされるFortniteやRobloxがどのように発展してきているのか、状況を簡単に纏めていきます。

 2-3.Fortnite/フォートナイト

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フォートナイトとは?

フォートナイトは、エピックゲームズ社が開発・発売しているバトルロワイヤルゲームで、2017年7月21日の公開初日で100万人、その2週間後には1,000万人を達成し、現在では3.5億人のユーザーを誇る大人気ゲームです。

なぜ人気なのか?

フォートナイトがここまで成長した理由はいくつかありますが、何よりもまず「ソーシャル化」という点が挙げられます。

元々ユーザーたちはゲームをプレイするためにフォートナイトを利用していましたが、今ではコミュニケーションの場としてフォートナイトを利用しており、フォートナイトはただのゲームではなく、SNSへと進化しています。
仲の良い友人との他愛もない会話がフォートナイト内で行われる中で、エピックゲームズ社は元々のゲーム要素に加えて、「パーティーロイヤル」モードと呼ばれる機能を2020年5月に実装しています。

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それにより、フォートナイトは友人と自由に遊んで過ごす場としての活用がさらに加速しており、今やそれだけにとどまらず、フォートナイト内に設けられた特設ステージでDJライブや映画の上映会などのイベントも開催されるなど、フォートナイトは着々とSNSとしての発展を遂げているのです。
(実際、人気ラッパーであるトラヴィス・スコットの音楽イベントに累計で2,700万人が参加するなどリアルなライブ同様の盛り上がりを見せています。)

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また、「クロスデバイス」という戦略も挙げられます。
フォートナイトは、様々なパソコンや家庭用ゲーム機に加え、Android端末やiOS端末など、幅広いプラットフォームで展開されており、異なるプラットフォーム間での協力、対戦プレイに対応しています。
(現在は運営元であるエピックゲームズ社とアップル社間でApple Storeの独占禁止法に関する訴訟中のため、iOS/macOSではプレイできません。)

今までのゲームは、プレイするためにデバイスとゲームソフトを買わなければならず、その参加障壁は高いものでした。しかしフォートナイトは、現在誰もが持っているスマートフォンに、アプリを無料ダウンロードするだけでプレイできることもあり、参加障壁が限りなく低いのです。

 2-4.Roblox/ロブロックス

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Robloxとは?

Robloxは多人数で遊べるオンラインゲームプラットフォームで、ペット育成やピザの配達、対戦型シューターなど様々なコンテンツを提供しています。
昨年には世界全体で月間アクティブユーザー数が1.5億人に到達するほどの盛り上がりを見せており、アメリカの小中学生の半分以上がユーザーといわれるほど大流行しています。

なぜ人気なのか?

Robloxの大きな特徴として、専用ゲームエンジン「Roblox Studio」でユーザー自身が制作したゲームを配信できることが挙げられます。
Robloxはノーコードでもある程度3Dのゲーム制作が可能なUGC(User Generated Contents)プラットフォームで、ゲームクリエイターたちの収益化も可能であるため、現在200万人以上のゲームクリエイターが参加するまでのサービスへと成長を遂げました。
(開発画面のイメージはこちら

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また、Robloxではゲーム内通貨の「Robux」を通してゲームクリエイター以外の様々なユーザーも収益化が可能となっており、ゲーム以外への活用も拡大しています。たとえばシンガーソングライター、エイバ・マックスのバーチャルコンサートがRoblox内にて開催され、アバターに使用できるグッズが販売されたという事例があります。またその他にもファッションブランドの「GUCCI」がブランドの世界観を表す展示を期間限定で実施し、展示空間に入るとアバターがシンプルなマネキンへと姿が変わり、空間を巡るにつれ体験に合わせてマネキンの姿が変化するといった、バーチャルならではの仕掛けも施された事例まで生まれています。

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このように、Robloxでは完全に独自の経済圏がつくりあげられており、様々な人々が生み出すコンテンツや体験が売買されていることからも次世代メタバースとしてかなり注目が集まっています。

3.Web2.0からWeb3.0への大きな流れと、Web3.0 のメタバース

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 3-1.Web3.0とは?

ところで、先述のサービスたちには1つ大きな共通点があります。それは、「中央集権的なサービス」という点です。
「え?そんなこと?」と思った方、その通りです。なぜなら、現代では企業がサービスを中央集権的に運営するということが当たり前だからです。
FacebookやInstagram、Twitterなども1社がすべての権限を持って運営していますよね。もちろんそういった中央集権的に運営していくメリットもあるのですが、その反面で一部の巨大企業に情報が集中することによる、プライバシーやセキュリティ面での課題が最近浮き彫りになってきているのです。

その課題は、主に2つあります。

1つ目は、特定企業への個人情報集中によるプライバシー侵害です。GAFAを筆頭とした一部の巨大企業に、住所や年齢、性別などの基本的な個人情報に加え、個人の趣味嗜好や行動履歴など世界中のあらゆる個人情報が独占的に集められているという点について、欧米を中心にかなりの批判が集まっています。

2つ目は中央集権型によるセキュリティ問題です。現在、ユーザーの個人情報はサーバーで集中管理されており、ひとたびサイバー攻撃を受ければ、個人情報の流出や不正アクセス、データの改ざん、Webサイト/Webサービスが利用できなくなるリスクがあります。

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近年個人のプライバシー意識が高まる中、こうした背景もあって中央集権的なWebから「非中央集権的な分散型Web」に移り変わっていく大きな流れが発生しています。
このような次世代Webは「Web3.0」と呼ばれ、主にブロックチェーン技術によって実現されようとしてるのです。アメリカの著名な投資家で、ギャラクシーデジタル社CEOのマイク・ノボグラッツ氏も、2019年5月に「世界を変えるのはビットコインではなく、Web3.0」と発言するなど注目が集まっています。ブロックチェーン技術によって個人情報が特定の企業ではなくブロックチェーンに参加したユーザーによって分散管理されることで、プライバシーやセキュリティ面での課題が解決され、データの所有権を企業から個人に戻すことができるのです。

そんな非中央集権的な分散型Web=Web3.0では、様々な概念が生まれています。その中でも重要なキーワードをいくつかご紹介します。

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1.DeFi
DeFi(ディーファイ)とは、Decentralized Financeの略で分散型金融とも言われ、金融仲介をディスラプトすることを目的にブロックチェーン上に構築された金融アプリケーション(主にイーサリアムブロックチェーン上にスマートコントラクト技術を活用して構築)を表します。

旧来の中央集権型システムや人間の管理者は、取引のスピードや進化を制限してしまう可能性があり、ユーザーは自身のお金を直接管理できなくなる可能性がありました。

一方で、DeFiは取引履歴を不特定多数の人や組織がお互いそれぞれに保有できるため、中央集権的に管理することはしません。これまで金融機関が管理してきたローン、保険、クラウドファンディング、デリバティブなどの金融アプリケーションを含めた取引や契約などの手続きを非中央集権化させてその履行までを自動化し、仲介業者を排除することができるのです。そしてもうすでに、これまでの暗号資産取引所のアンチテーゼとして中央の管理者がいないユーザー同士が暗号資産を取引できる分散型取引所(DEX)や、レンディング(貸付)プラットフォームなど様々なDeFiアプリケーションが生まれています。

(参照: coindesk JAPAN 10分で分かるDeFiの仕組み)

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2.NFT
NFTとは、Non-Fungible Tokenの略で非代替性トークンともいわれ、偽造不可能な鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータのことです。NFTは、これまでコピーや改ざんを直接防ぐ技術がなかったデジタルデータに、唯一無二の価値を持たせることを可能にしました。

NFTには、 ①プログラマビリティ・②取引可能性・③相互運用性という大きく3つの特徴があります。

①プログラマビリティとは「さまざまな付加機能をそのデータ自体に付与できるということ」です。例えば、これまでクリエイターは自身の作品の転々流通時に手数料を得ることができませんでしたが、NFTを活用すれば「転々流通時に購入代金の一部を支払う」というプログラムを仕込めるため、著作権管理を行う中間団体が存在しなくても継続的にマージンが入る仕組みを作ることができます。

②取引可能性は、誰でも自身が所有しているNFTを自由に移転できるということを指しています。これにより、国や既存の枠組みにとらわれることなく、従来以上に自由な取引が可能になります。

③相互運用性は、NFTの仕様が共通規格として定められているため、この規格に沿って発行するサービスなら、どこでも取り扱うことが可能ということを指しています。
※NFTを扱うイーサリアムブロックチェーンの規格は、ERC721が一般的ですが、現状技術的に相互運用性は完全ではなく、この規格が必ずしも標準というわけではない点には注意が必要です。

(参照:Fintech Journal NFTとは何かを基礎から徹底解説

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3.DID
DIDとは、Decentralized Identityの略で分散型IDとも言われ、先述のWeb2.0の課題として挙げられる特定企業への個人情報集中によるプライバシー侵害や中央集権型によるセキュリティ問題の解決に繋がる次世代のデジタルIDのことです。

DIDは、中央集権的に管理されたデータではなく、ブロックチェーンを活用した分散管理が可能なアーキテクチャになっており、管理主体が介在することなく、自分自身が自らのデジタルアイデンティティを保有、コントロールできる点が特徴です。

(参照:株式会社野村総合研究所 デジタルアイデンティティ

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4.DAO
DAO(ダオ)とは、Decentralized Autonomous Organizationの略で自律分散型組織とも言われ、分散型で自律的に機能する組織のことを表します。

従来の組織では、中央に意思決定をする機関や人が存在し、その決定に従って組織が運営されていました。一方、DAOでは全てがルールに基づいて意思決定されていくため、中央の機関が無くても自動化された組織運営が可能になります。
(ただし、自動化されつつも、意思決定や実装、利用にあたっては人が関与し、ルールに基づいた合議のもと活動は進められます。)

DAOのルールは、プログラム(オープンソース)として記述され、ガバナンストークンの保有者に管理されていることが多いのも特徴です。

(参照:Blockchain Biz 自律分散型組織DAOとは

ここまで述べてきたように、今後世の中はあらゆるものが非中央集権的で分散型なものへと置き換わっていくため、私たちはメタバースもWeb3.0の流れに沿って発展していくと考えています。

実際、ブロックチェーン技術をベースに構築された非中央集権的で分散型の仮想世界、Web3.0のメタバースは既に存在しています。その1つがDecentralandです。

 3-2.Decentraland/ディセントラランド

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Decentralandは、2015年にEstenban Ordano氏とAri Meilich氏によって創設された分散型の3D仮想空間で、2020年3月時点で12,000人のユーザーがいます。Decentraland内の仮想空間では、ゲームをしたり、アイテムやコンテンツを作成して売買することが可能です。

Decentralandの特徴は、主に2つあります。

1つ目は、分散型のメタバースである点です。Decentralandはイーサリアムというブロックチェーンを基盤にした分散型の仮想空間となっており、サービス提供元は企業ではあるものの、ソフトウェアはオープンソースで開発され、イーサリアムとその上で動くスマートコントラクト、分散型ストレージシステムを使用しているため、事実上分散型のサービスといえます。
フォートナイトではコンテンツがエピックゲームズ社によりトップダウンで提供されるのに対し、Decentralandではユーザー自身が何を構築しどう使うのかを主体的に決定していくことを基本方針としています。

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2つ目は、仮想土地がNFT化されている点です。Decentraland内の仮想通貨「MANA」を使用し、運営側によって管理されている公共広場や道路を除く「LAND」と呼ばれる仮想空間内の土地を購入することができます。これらの土地の所有権はすべてブロックチェーン上でNFTとして管理されており、土地の所有権が明確になるため交換が可能となります。LANDの所有者は土地を利用しゲーム、カジノ、アートギャラリーなどの想像し得るあらゆるアイテムやコンテンツを作ることができ、またそれを使用して収益化することもできます。

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課題としては、Decentraland内の各売買操作にかかる手数料問題が挙げられます。土地の購入を始めとしたモノの売買時にかかる手数料が乱高下しており、ユーザーは少額で売買を行うことが出来ません。これはDecentralandを支えるEthereumプラットフォームが抱える課題であり、Ethererum1.0から2.0へのアップデートで解消されていくことが期待されています。

先述のようにDecentralandは利用しているユーザーが経済活動を行うための共有仮想世界として存在しており、Web3.0 のメタバースとしてかなり注目すべきプロジェクトになっています。

では、今後さらに技術が発展してVRデバイスもより一般に普及し、メタバースが今以上に社会に浸透していく中で、DecentralandなどのWeb3.0のメタバースはどのように成長/発展していくのでしょうか。

4.未来のメタバース

私たちは、未来のメタバースはWeb3.0の上に成り立つと考えています。今後10年のうちに、独自のルール(法)や経済圏を持つ数多のメタバースが生まれ、その中で人々はまるで実世界のように生活していくと言われています。

以下では、それがどんな世界なのかをもう少し具体的に考察していきます。

 4-1.メタバースについて

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メタバースは、現代における「国」のような存在になります。そしてその国(=メタバース)は、望めば誰にでも創ることが可能です。様々な人々が、自ら理想とするビジョンを掲げてメタバースを立ち上げ、そのビジョンに共感するユーザーを集めます。そして、独自のルールや経済圏を形成しながら発展していき、ユーザーが集まらないメタバースは淘汰され、多くのユーザーに支持されるメタバースが発展を遂げていくのです。また、メタバースは互いに相互運用性が担保されており、オープンなものとして存在します。

 4-2.経済について

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それぞれのメタバースでは、各メタバースが指定した通貨(仮想通貨・暗号資産)でモノやコトを売買できます。たとえばメタバース内の建物やそこで生活するユーザーが身に着けるアイテムなどの「モノ」自体も売買されますし、ゲームイベントや音楽コンサートなどの様々なイベントに参加するという「コト」も売買されるのです。

では、そういった「モノ」や「コト」は誰がつくるのでしょうか。それは、ユーザー自身です。メタバースに参加するユーザーは全員がクリエイターになり得ます。ユーザーは自分たちであらゆるコンテンツを作成し、他のユーザーに販売(価値提供)することができるのです。また、ユーザーの作成するコンテンツや売買するモノはNFTにより唯一性を証明することもできるようになります。

 4-3.法/政治について

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未来のメタバースにおけるルールは、ブロックチェーン上で管理されるコードやプロトコルにより規定されます。

現在の中央集権的な法律構造と異なる点は、メタバースに参加するすべてのユーザーがガバナンスに参加してルールを立案でき、定められた基準を満たしさえすれば新たにルールを創ったり、既存のルールを改正することができる点です。

しかし、政治家が国民を代表し法整備を行うのに比べ、 メタバースにおけるルール整備では業務レベルで集団的な合意に到達するまで大幅に時間がかかってしまうため、ルール制定までのタイムラグが大きくなります。そのため、コードによりルールが制定されるまでの間は、個々のユーザーがメタバース内での規範意識を高く持ち、自浄作用を働かせながら性善説でコミュニティを運営していくことが要求されます。このように、これまでにない新しいコストがDAOベースのルール構築プロセスでは発生します。

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また、英語や日本語などの自然言語で制定されている現在の法には柔軟性があるため、その解釈に大きな曖昧さを残します。たとえば、仮に同じ事象であっても被告人に酌むべき事情がある場合、裁判所の判断で通常よりも刑を軽くする情状酌量などの対応が可能です。しかし、コードによるルール制定では曖昧さが存在しません。これによる課題は大きく2つあります。

1つ目は、例外が認められないことによる背景を加味したペナルティの調整が出来ないことです。コードにより制定されるルールにおいては、基盤となる技術的枠組みを改ざんしない限り、メタバース上で一切のルール違反を犯せないため、仮に酌むべき事情がある場合でも、情状酌量などの対応ができず、同じ事象であれば同一のペナルティが課されてしまいます。

2つ目は、あらゆる条件分岐を事前にルールとして網羅的に定義し、コードに落とし込むことは事実上不可能であることです。メタバースは新しい概念であるため、その中で起こり得るペナルティを課すべき行いについては、どうしても事後でないと気づけないことも往々にしてあり、すべて事前に把握することは不可能です。

しかし、これら2つの課題は共に将来的にはAIや機械学習技術により解決できると考えています。なぜなら、AIや機械学習技術により背景を加味したペナルティ設計や記述漏れした条件の補完が可能になれば、その精度の向上に伴いルールとしての完成度も高まっていくことが想定されるからです。つまり、メタバースの健全な運営にはAIや機械学習技術の発展が欠かせないと私たちは考えます。

 4-4.個人/コミュニティについて

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ユーザーは、アバターにその人格を投影し、メタバース上で生活します。特徴的なのは、各個人に対して複数のアバターを紐づけることが可能なため、ユーザーは複数の人格をスイッチしながらメタバース上で生活していくという点です。

ユーザーはデジタル上のアイデンティティをアバターに紐づけながら複数の人格を創りあげていきます。また、各アバターが保有するモノや体験してきたコトは「トークン」として明確に記録に残るため、トークンを通して個人(各アバター)の趣味趣向などのアイデンティティが表現され、ユーザーはそういったトークンをベースにコミュニティを形成していくことになります(ソーシャルトークン)。また、先述のとおり各メタバースは相互運用性が担保されているため、ユーザーは所属するメタバースを1つに決めなくてもよく、各メタバースを自由に行ったり来たり横断して生活することが可能になります。

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このように、Web3.0の上に成り立つ未来のメタバースは、現在のメタバースと比べ非常にオープンで、多くのユーザーが利用し、様々な経済活動が行われるインフラへと進化していくことが期待されます。

5.最後に

B.I.(Before Internet)/A.I.(After Internet)とよく言われますが、インターネットの登場を契機に世界は大きく変わりました。私たちは、Web3.0やメタバースがインターネットの登場に匹敵するくらい世の中をアップデートすると信じています。もしこの記事を通してWeb3.0やメタバースの魅力を少しでも伝えることができたのであれば幸いです。

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A.I.(After Internet)の世界を創り上げたのはまぎれもなくGoogleやAmazon、FacebookやApple、Microsoftなどの優れたチームであり、私たちはいま彼らが創り上げた世界で生活しています。同様に、Web3.0やメタバースという未来を自分たちの手で創り上げていこうとする日本そして世界中の偉大なチャレンジャーは今この瞬間も続々と現れています。そんなチャレンジャーたちに最大の敬意を払いながら、今後も情報発信していければと思いますので、皆様どうぞ引き続き宜しくお願い致します。

問い合わせはこちらまで
Schop(@SchopTech
堀田(@yssy_81)土田(@i_am_shinya

初記事から1万字以上の長文になってしまいましたが、ここまで読んでくださりありがとうございました!!!(>_<)

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