教育行政職と学校管理職がパートナーとして歩むために:短期間で信頼関係を築く具体的な方法
1. はじめに
教育行政職も学校管理職も、異動が1〜3年で発生するため、毎年度ごとに関係性を再構築する必要があります。短い期間でより良い学校教育を実現するためには、早期に信頼関係を築き、協働して取り組むことが不可欠です。
2. 現状の課題
関係性のリセット:異動によって、せっかく築いた信頼関係がリセットされてしまう。
相手への不満:教育行政職は「学校は行政が目指すことを理解してくれない」、学校管理職は「行政は学校の事情を理解してくれない」といった不満が生じがち。
協力体制の欠如:お互いの役割やできることが明確でないため、協働が進まない。
3. 信頼関係を築くための基本的な姿勢
法律や制度の再確認:双方が自分たちの役割と限界を理解し、できること・できないことを明確にする。
協働の重要性の共有:目指すべき目標や解決すべき課題を共有し、協力して取り組む領域を特定する。
相手をパートナーと認識する:相手のせいにせず、お互いを尊重し合う姿勢を持つ。
4. 具体的なアプローチ方法
個人として:頻繁な連絡と情報共有
ささいなことをチャンスに連絡を取り、名前と顔を覚えてもらう。
心配事があった際には、迅速に相談・情報共有を行う。
立場として:目的を明確にした対話
電話連絡や訪問の際には、目的を会話の冒頭(訪問の際には事前に伝え)に伝え、相手が話しやすい状況を作る。
オンラインでの定期的なミーティングなど、同じ立場の者同士がお互いの期待や懸念をオープンに話し合う場を設ける。(学校管理職研修会、教育管理職勉強会等という名目で行政も奨励する。)
コーチングスキルの活用
相手の本音を引き出す環境を作る。
個人としての関係性を基盤とする。
話さなければならない議題を明確する。
場の目的と必要性(危機感等)を共有する。
相手の理想や目標を引き出す質問を活用する。
「この学校の理想の状態は、どのような状態ですか。」
「最高の職員室はどのような状態ですか。」
「学校を誇りに思う瞬間はどういったときですか。」
「この学校について児童・生徒/教職員/地域の方々がどのように感じられたら素敵だなと思いますか。」
パートナーシップの強化
学校管理職と教育行政職が協働して実践すべきことを明確にし、一緒に計画を立てる。
定期的なミーティングやワークショップを開催し、進捗状況を共有する。
5. 「短期間で信頼関係を構築するのは難しい。」を前提に
長期的な関係構築と継続的なコミュニケーションによってのみ、信頼関係は醸成されます。
学校を訪問し、実際に状況を見て、感じることによって、初めて伝わることが多くあると思います。
・学校周辺の地域の空気感
・児童・生徒や先生方の雰囲気
・教室や廊下の空気感
また、1回の訪問だけではもちろん伝わりきらないこともあります。
教育行政職も管下の学校のために施策を練ったり、実行のためのさまざまな事務的な下支えも行なっています。
学校管理職も教育行政職もお互いがそれぞれの地域や学校のために動いています。双方をパートナーと認識することで、諸問題に対して解決のスピードが向上し、児童・生徒や地域への教育効果もより高まるのではないでしょうか。
6. 最後に
異動が頻繁にある環境でも、相手をパートナーとして認識し、信頼関係を築くことで、これまでよりも何倍・何十倍も効果的な教育活動が可能になると考えています。学校管理職や教育行政職は、選ばれてその立場になっている本来とても個々が力のある方々のはずです。
お互いが相手のせいにするのではなく、自分たちができること、相手を尊重して協力を仰ぐべきこと、今注力すべきことを明確にし、共通の目標に向かって協働していけると学校教育はより良くなっていけると思います。
教育行政職と学校管理職が手を取り合い、共により良い学校教育を実現しましょう。まずはお互いをパートナーとして認識し、できることから始めてみませんか。