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占星術における月のはなし(4)


 月の象意については、占星術をよく知らなくても肉体に関わること、特に体調の変化と月の関係については身近な事象として理解を得られやすい。その中で一番説明しやすいのが、前述したとおり生まれた時の月の配置は体質的に弱いところや無理をしたときに調子を崩しやすい部分を示すということである。今回はこのテーマについてもう少し掘り下げて述べてみたい。


 月は日常生活でストレスが溜まったとき、人生の節目の時期(進学、就職などの大きなライフイベントの前後)などに、一番最初に不調を起こしやすい体の場所や症状を教えてくれる。月が支配するサインだけではなく、蟹座がカスプとなるハウスの場所も、同じように体調を崩したときに現れやすい症状を示す事がある。

 

 体調に関しては土星も関与しており、トランジット(経過)土星が滞在するサインが示す体の部位は、その時期に多くの人に不調が起きやすいとも言われる。そしてネイタルチャートにおける土星のサインとハウスもまた不調を起こしやすい部位や症状を現している。月と土星の違いは、前者は必ずしも病気とは診断されない体の不調や、病気と診断されても比較的発症と回復のサイクルが短いことが多いが、後者は症状が長期化、慢性化しやすいこと、また人生の後半の時期(40代以降)からの症状として現れやすい所にある。


 以下に非常に簡単ではあるが、月のサインと不調を起こしやすい部位や症状を挙げておく。それと共に蟹座がカスプとなった場合のハウスも追記しておく。


月牡羊座または蟹座1ハウス;頭痛、頭部のけが、興奮しての不眠
月牡牛座または蟹座2ハウス;口内炎、喉の不調、咽頭炎など
月双子座または蟹座3ハウス;呼吸器の不調、小児ぜんそく、気管支炎など
月蟹座または蟹座4ハウス;胃の不調、乳房のトラブル、乳腺炎など
月獅子座または蟹座5ハウス;心臓の先天性疾患、背中のけがやトラブル
月乙女座または蟹座6ハウス;腸の不調、特にストレスでおなかを壊しやすい傾向
月天秤座または蟹座7ハウス;腎臓の先天性疾患、過労による腰痛など
月蠍座または蟹座8ハウス;泌尿器科、婦人科系、特に月経にまつわる不調など 内分泌系の先天性疾患
月射手座または蟹座9ハウス;肝臓の不調、肥満になりやすい傾向、脚部、股関節のトラブル
月山羊座または蟹座10ハウス;骨や皮膚の不調、歯痛、虫歯になりやすい傾向
月水瓶座または蟹座11ハウス;循環器全般の不調(不整脈など)、神経系の先天性疾患
月魚座または蟹座12ハウス;アレルギー体質、精神神経系の不調など


 また月の示す体質は家族性、特に母親の血縁から受け継がれる場合もある。特に月と他の天体がコンジャンクト(重なる)しているかオポジション(180度の角度)のポジションを取っている時に、天体の支配するサインが示す部位の体質的な弱さが母子共通である事が多い。


 一例としてB型肝炎ウイルスの母子感染の症例の概要を紹介する。アセンダント双子座で12ハウスに火星、1ハウスに蟹座の月木星のコンジャンクションに対し、山羊座土星が緩いオポジションという配置を持つ。木星が支配する射手座は臓器では肝臓を意味しており、いわゆるB型肝炎ウイルスの”キャリア”(誕生時までにウイルスに感染し未発症の状態を指す)であった事が、40代で肝炎を発症したときに明らかになったケースであった。また本人の母親も出産後にしばらく肝炎の治療を受けていた。月木星のコンジャンクションは母子に共通した肝炎の症状、そして12ハウスの火星はそれが生前のウイルス感染であることを示しており、土星はその症状が大分後になって現れた事を表していると捉えることができる。


 最後に、ネイタルチャートの1、6、12ハウスに月や土星が入っている場合、生まれつき身体があまり丈夫でなく、特に1ハウスに土星、あるいは6ハウスや12ハウスに月があると環境ストレスに強くはない傾向はあるように思う。前者は過度に緊張しやすいため、また後者は周りの刺激に予防線を張れずに何でも受け止めてしまいやすいからとも言える。しかし土星については年を重ねるごとに自然とタフになっていく傾向が、そして月については日頃から地道に心身を鍛えたり自分なりのストレス発散方法を見つけることで克服するケースも多いので、決してあきらめたり悲観することはないと思う。


 

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