陰謀と認知不協和論 2020.03.03


 昨日早い時間に出勤したら、相変わらず売り場の紙類の棚がガラガラであった。数日前から入荷してもあっという間に売り尽くされていく様は変わっていないらしい。オイルショックの時みたいだと職場の先輩は嘆いていた。先月24日の魚座新月図を振り返ってみても、逆行水星に近い新月と2ハウスに集中した天体はまさに混乱しているのは情報だけではなく、生活必需品にまで及んでいる事を表していたのかもしれないと思った。


 水星逆行はあと1週間ほどで終わる。そこからシャドウ抜けすれば混乱は収まるだろうとの予想もあるものの、水星が牡羊座に移るまではいろいろ引きずりそうな気もしないではない。特に3月末から4月頭の水星海王星が接近する時期は、山羊座と水瓶座の境界あたりで火星木星土星冥王星もひとかたまりの配置になるのである。木星土星が水瓶座0度で正確にコンジャンクト(重なる)のは今年年末で、大きなうねりが来るなという感じもあるし、時代が変わる直前の非常に重要な時期を迎えているのは確かなように思う。


 ウイルスのことだけではなく、中東情勢も米国の大統領選挙の件も含めて今世界全体が非常に騒ついている感は否めない。そしてそのような状況で必ず出てくるのが諸般の陰謀説である。今回に限らず、以前から世の中を牛耳る陰の組織の実態であるとか、意図的に隠された真実を暴きだすという類の情報はメディアの多様化と共により手に入りやすくなっているが、ウイルスの件は着火剤のような働きをしたのか、今は燃える火の如くあっという間に拡散しているなという感じがしている。


 陰謀説は未知のもの、不確かなものに対する人の脳の脆弱性を刺激する。綿密な調査や取材に基づく信頼に値する情報もあるにはあるが、その全てを正しいと言い切れないのはほとんどがワンサイドだからである。十分な質と量のデータがあっても、それを解析・解釈する段階でどうしても避けられないバイアスも存在している。この出来事とあの出来事の因果関係を証明するには、本来は関係ありという証拠を集めるだけではなく、関係がないという仮説を否定できる根拠が必要だがこの条件を満たしているものが少ないように思うのである。


 陰謀説が厄介なのは、それが人が断片的に知り得る情報の隙間を簡単に埋めてしまえるからである。とりわけひとつの事柄についていくつかの矛盾した情報が混在していて何を信じてよいか迷っている時ほど、最も確からしいものにわたしたちは引かれる。それは脳に取り込まれた情報同士が不協和を起こして頭が混乱すると、ある部分をバッサリ捨てたり書き換えることで矛盾を解決しようとする仕組みがあるからで、陰謀説はそれを信じる人たちにとっては霧に包まれた頭の中の世界を一掃する魔法の剣のようなものなのかもしれないと思う。


 自分が知らないところで何かが起きていてそれをコントロールしている集団がいるとか、支配する側とされる側という対立的構造が現実に存在していると言われればそうだろうなと思う自分もいるが、いたずらに絶望感や恐怖を煽ってくるものには私自身は関わらないようにしている。それは繊細すぎる感覚を持つ身として自滅を避けるためで、霊媒師やチャネラーのような見えないエネルギーと繋がりやすい人ほど陰謀論に巻き込まれやすく、思い込んだら後戻りが難しいからなのである。私が中庸であることに拘る理由もそこにある。

 


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