インナーチャイルドと仲直り


例えば願いがすんなり叶う人とそうでない人がいるのはなぜかという問いにはいろいろな答えがある。願い方が合ってないとか、本当の願いとは違うからとか、疑いの方が信じる気持ちを上回るなどなど。


もちろんそれも一理あるかもしれないし、確かに願った通りの事が起きなかった理由は必ずあるのだが、正しく願っても何をやってもどうしても思い通りの結果にならない時は、理由を見つけることそのものにはあまり意味がないのかもしれない。


およそ20年近く、催眠療法やらEMDRやら認知行動療法のようないわゆる心理学的アプローチに触れ自らもそれを使ってもきたし、フラワーエッセンスや音叉や、もう少し怪しい領域だとライトコードヒーリングのようなエネルギーレベルのトリートメントなどもいろいろやってみて、癒やすことについては何をやってもなかなか癒やされない人が一定数いるという事が分かってきた。一時的に上向きになってもしばらく時間が経つと元に戻ってしまう人もいれば、逆に調子を崩したという人もいた。もちろん人が癒やされるにはそれぞれ個人の最善の方法、最善のタイミングがあり万人に当てはまる方法はないという事は承知の上で、できることはやってみるが予想した結果が出ない時は、何がいけなかったのだろうかと考え込んでしまうし、状況を何とかよくしたいという相手側の期待に応えられなかった事に対し申し訳ないと感じる事も多々あった。


そのような経験から得た一つの結論として、人生が思うように進んでいかない時や、望んだ事がなかなか実現しないとき、人が新しい一歩を踏み出したり新しい状態を受け入れようとする時に限って何らかの障害が目の前に現れるような場合は、ほぼ個人のインナーチャイルドが変化を拒否しているか、個人の意志とインナーチャイルドの意向が対立した状態にあって、インナーチャイルドの激しい抵抗を和らげ、個人の意志を受け入れるように説得することが問題解決への早道なのではないかと思っている。


インナーチャイルドは人生の早い時期に形成された自我の一部であるが、親だけではなく周りの人たちとの関わりの中で確立された信念(私はどのような人で世界はどのような場所で、私は何ができるかなど)の核をなしている。インナーチャイルドが深く傷ついていると、世界は脅威に満ちた場所で私は無力である、という信念に到るため、それを覆すには何らかの方法によって傷を癒やす必要があるというのが、各種セラピーにおける主要な目的にしばしばなるのである。


しかし実際携わってみるとインナーチャイルドのケアはなかなかに大変であり、とりわけ虐待などのケースで親との共依存関係ができあがってしまった状態でセラピーの場でそこに触れざるを得ない場合、かなりの抵抗を示されたり拒否されることも少なくない。


ただそれでもインナーチャイルドが傷を乗り越えて自立し、個人と和解すると多くの場合で物事は自然と好転していくので、避けては通れない課題でありセラピストにとって最も個人の力量が問われる部分でもあると思う。



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