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フィンランド留学:「幸福な国」でまちづくりを学ぶ

海外留学に特化した奨学金プラットフォーム「スカラシップパートナーズ」に登録している現役留学生ライターによる「世界の留学体験レポート」。今回は2024年8月より、フィンランド「ヘルシンキ大学」に留学中のなぎーさんの留学体験記をお届けします。



自己紹介:フィンランド・ヘルシンキで都市計画を勉強しています


みなさんこんにちは!なぎーです。

福岡県北九州市出身で、東京大学で教育社会学を専攻していました。
現在はフィンランド・ヘルシンキ大学とアールト大学の共同修士プログラムに在籍し、都市計画やまちづくりについて勉強しています!
正規生として2年間留学する予定です。

留学のきっかけ:デンマークで学んだ北欧の参加型まちづくり

アールト大学の名前の由来になったフィンランドの建築家アルヴァ・アールトがデザインした講堂


私が大学院進学を考え始めたのは、学部時代にデンマークのコペンハーゲンに交換留学していた時でした。

当時私は学部3年生で、ちょうど進路に悩む時期。
周りの友達が就活で忙しそうにしている中、自分はやりたいことが分からず、特に何かするわけでもなく焦りが募るばかりでした。。

そんな時、デンマークの建築や都市計画についての授業を受けて、市民の意見を取り入れながら生活者視点のまちづくりを進める北欧の都市計画のあり方に興味を持つようになりました。
女性や子どもなど様々な立場の人の意見を反映し、インクルーシブな街を目指す姿が非常に印象的でした。

この経験からもともと上京以来、地元北九州への想いから地方創生に関心があったのですが、人口が減少する中で求められているのは、市民と共に作り上げていく北欧型の「人間中心のまちづくり」なのではないかと考えるようになりました。

そこで、北欧で市民参加型のまちづくりについて学びを深めたい、さらに現地で働いて実践に関わることによって、その学びを将来的に日本に還元したいという思いが強まり、大学院留学を決意しました!

留学先紹介:分野を超えて都市への理解を深める修士プログラム

大学について

私はヘルシンキ大学とアールト大学の共同プログラムに所属しています。

ヘルシンキ大学は1640年に設立されたフィンランドで最大かつ最古の大学です。
キャンパスはヘルシンキ中心部にあり人文・社会学系の学部があるCity Centre、自然科学系の学部があるKumpura、医学系の研究が行われているMeilahti、生命科学系の学部が位置するVikkiの4つです。ヘルシンキ大学で授業がある時は、City Centre Campusに通っています。

一方、アールト大学は2010年にヘルシンキ工科大学、ヘルシンキ経済大学、ヘルシンキ美術大学が合併してできたかなり新しい大学です。
(日本で言うと東工大、一橋大、東京藝大が一つになった感じです!)

特にデザイン分野で世界的に有名で、2024年のQS世界大学ランキングArt & Design部門では8位にランクインしています。

キャンパスはヘルシンキ中心部から少し離れたエスポー市のOtaniemiにあり、学部はアート・デザイン・建築学部、ビジネス学部、化学工学部、電気工学部、工学部、理学部の6つとなっています。

留学先を選んだ理由

  1. ヘルシンキの共創デザイン
    ヘルシンキの都市計画では市民との共創デザインが重視され、住民向けのオンライン掲示板やアンケートの活用、住民とのワークショップの開催などによって住み続けたいまちづくりが目指されています。

    日本でも同様の取り組みは存在しますが、ヘルシンキでは住民参加がより計画の初期の段階から行われていて、積極的に住民の声を取り入れています。

    大学の授業だけでなく、住民として暮らす中でこの共創デザインへの学びを深めたい!という思いからヘルシンキを選びました。

  2. 分野横断性
    分野横断的にまちづくりを学べる点も今のプログラムを選んだ大きな理由の一つです。

    私は元々教育社会学を専攻していたので、そのバックグラウンドを生かしつつ、都市計画に関わる様々な領域について学んでみたいと思っていました。

    私が現在所属しているプログラムでは、ヘルシンキ大学とアールト大学の両方の授業が履修でき、工学や地理、社会学などの学問分野を超えて体系的に都市計画について勉強することができます。さらに、修士論文では両大学の教授から研究指導を受けることも可能です。

  3. 行政や企業と連携した実践的な授業スタイル
    プログラムには都市計画の実習が必修として組み込まれており、他分野の学生とともに、実際に都市計画に取り組むことができる点も魅力の一つです。

    実習授業はヘルシンキ市をはじめとする行政やその他民間企業とも連携して開講されており、1一学期かけてヘルシンキや他の国際的な都市計画を考えるというものです。
    理論を学ぶだけでなく、まちづくりに関わる実践的な経験によって、コミュニケーションスキルや地理情報システム(GIS)を使った分析スキルを向上させたいと思いました。

学費

EU市民は学費無料ですが、日本などEU外出身の生徒は基本的に支払う必要があります。

プログラムによっても金額は変わりますが、私のプログラムだと年間15,000ユーロ(2024年9月21日のレートで約240万、1€=160.8円で計算)でかなり高いです。。

ただし、大学には学費免除制度があり、私はヘルシンキ大学から全額免除の奨学金をいただいています。周りの日本人学生や他のEU外からの学生も全額免除をもらって来ている人が多い印象です。

難易度について

難易度については2024年度の私のプログラム全体の合格率が15.6%なので、とんでもなく入るのが難しいと言うわけではないと思います。
ですが、応募者の言語別に見ると英語で応募した人の合格率は10.5%で少し競争率が高くなっています。

緑豊かなヘルシンキでの暮らし

近所にある、海辺へと続く散歩道。ヘルシンキは都会でも緑が多くて癒されます。

住んでいるところ

メトロでヘルシンキ大学まで30分、アールト大学までは20分ほどのところに住んでいます。

学生向けのアパートを提供するHoasを通じて申し込んだアパートで、同じプログラムのドイツ人の子とシェアしています。

それぞれの個室があり、キッチンとユニットバスは共用です。
家具なしアパートを契約したので、電気会社の契約からマットレス、机と椅子、カーテンなど全部自分で買い揃える必要がありました。。

幸いなことに、家の近くにショッピングモールがあるのでそこで新生活に必要なものを買い揃えました。モールにはリサイクルショップもあるのでカーテン等はそこで買いました!

また、家から20分ほど歩くと海辺があり、自然も豊かでとてもいいところです。

休日の過ごし方

授業の課題がかなり多いので、休日や空き時間は大学の図書館に行って勉強しています。

アールト大学の図書館はフィンランドの有名な建築家アルヴァ・アールトの設計した建物で、デザインが美しいのでいつも勉強のモチベーションに繋がっています!

アールト大学の図書館。丸みのある照明と紫のコントラストがお洒落で素敵な場所です。



他には、近くの古着屋さんでショッピングしたり(ショッピングモールに古着屋があります!)、中心部の市街地で街歩きをしたりしています。

また、同じ修士プログラムの人たちが所属するサークルのようなものがあり、パーティやBBQなど様々なイベントが開催されているので、それらに参加することもあります。

これからは寒さがどんどん厳しくなるので、友達と一緒に料理するなどおうち時間も充実させていきたい気持ちです。

留学してよかったこと:フィンランドで考える、住み続けたい街のあり方

私は修士課程終了後に北欧のまちづくり会社に就職したいと考えているのですが、今フィンランドに留学していて、自分の目標に一歩ずつ近づいているような気がして充実感を感じています。

まだ留学が始まったばかりなので、全て言語化できているわけではありませんが、今感じている留学して良かったことについて少し書きたいと思います。

まず、北欧、そして世界のまちづくりについて理解を深められること。

授業でヘルシンキの都市計画の歴史や都市計画理論のことを学べることはもちろん、プログラムには色々な専攻出身の学生がいるので、彼らと交流する中で世界の都市のことを知ることができるのは良いなと感じています。

次に、生活者として幸福な国フィンランド・ヘルシンキのまちづくりを体感できること。

フィンランドは幸福度ランキングで常に上位にランクインし、またヘルシンキも国際的に暮らしやすい都市として知られています。

公共交通ですぐに移動でき、また道も整備されていて歩きやすいコンパクトな街です。もうすぐ冬が来ますが、厳しい冬の寒さに街がどのように対応しているのかについて知るのも楽しみです。

最後に語学力のこと。
授業や課題、生活する中でも全部英語(たまにフィンランド語)なので、日々本当に少しずつですが英語力の向上を感じます。まだまだスピーキングやライティングは発展途上なので、もっと頑張っていきたいところです!

今後フィンランドでの留学生活を通じて、人々が幸福な生活を送り、住み続けたいと思う街を作るにはどうしたら良いのか考え、日本に持ち帰れたら良いなと思います!

これから留学を目指す人へ

留学に行こうか悩んでいる人は、まず一歩踏み出して飛び込んでみることをおすすめします。

お金やタイミングの問題などなど、行かない理由はたくさんあるかもしれません。

でも、今「留学に行きたい」という思いを諦めてしまったら、次いつチャンスが来るかは分かりません。いつか行けると思っていても、その時は二度と来ないかもしれない。
だから、迷った時は困難な道を選んでみるのもアリだと思います。

大変なことも多いと思いますが、皆さんの留学が素晴らしいものになるよう応援しています!

いかがでしたか?スカラシップパートナーズでは、世界へ、ジブンへ挑戦する人を応援しています!留学現地からの体験レポートや奨学金、留学に関するお役立ち情報をお届けしていきますので、ぜひフォローしてください。

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