2020年夏学期はノーセメスターとして扱われるべきである。 nichtsemester.de 日本語訳
2020年夏学期は、ノーセメスターとして扱われるべきである。
研究と学説からの公式文書
2020年3月28日
我々はノーセメスター、フレキシブルセメスター、オプショナルセメスター、もしくはクリエイティブセメスターとでも呼ぶべきだろうか。
我々は現在の状況を、大学やその他教育関連施設として非常に困難な状況として扱わなければならないと言うこと。最低でも85%の教授や教員が非常に困難な状況下にいること。何か職をこなしながらそれを収入源としている学生は、わずかな収入しか得られないと言うこと。大多数の学生が、そういった状況下にいること。そして多くの外国籍学生は滞在許可証やビザ問題を抱えていること。教育機関の通常運営には、特権のある教授陣ではなく、Covid-19の影響をダイレクトに受けている多くの人が必要であること。これらは非常に重大な事実である。
オンライン授業が一つの特別な措置と言うことも理解している。オンライン授業は徹底的に準備されており、特有の発展が必要である。オンライン授業はすでに行われており定着はしているが、現在の状況を考えれば、全ての学習をオンラインに移行すれば良いということではない。
よって、以下の内容について言及する。
・従事しているスタッフの契約延長
これには法的な根拠と資金が必要である。危機に直面している今、スタッフ解雇によって得られる費用で乗り越えるべきではない。
・BaFöG(ドイツの学生ローン)の規則調整
・授業担当教員への配慮
授業担当ノルマは、フレキシブルに正当に取り扱われなければならない。授業担当ノルマを正常に遂行するためには、授業内容をオンライン用へと切り替えることや、実験室の確保など様々な変更による負荷が課される。同時に、全ての講義もオンラインスケールに変更されなければならないということも考慮しなければならない。
・期限の延長や廃止
すでに多くの大学が、レポートや論文の提出期限の延期を視野にいれている。夏学期廃止は、基本的に全ての物事の期限を秋まで延ばすことを意味し、またこれにより強いられる追加在籍期間のゼメスターフィー(1学期に大学に収める費用)を無くすことを意味する。現在ドイツに戻ってくる事が不可能な外国籍大学生に対し、休暇セメスター(休学)の申請をする必要を無くさなければならない。
・学生へのフレキシブル性
家族などのケアや社会活動を希望する学生に対しては、それに付随する一切のデメリットを被らせてはならない。
以上全ての事柄を早急に明確にする必要はない。
我々が次の学期をどう名付けるかはさておき、次の学期ではE-learningの知識が必要となってくるだろう。
ドイツ大学学長会議副長のウルリッヒ・ラーデケ教授は2020年3月18日、ドイツ国内の放送中のインタビューにて初めて「ノーセメスター」について言及した。このインタビューに際し、直近3日間で述べ1300人以上の学者に署名された文書「2020年夏学期は、ノーセメスターとして扱われるべきである」を公式文書にフォーム化した。我々は我々の願いに強い関心と支援の念を抱いてくれる教員や学生を招待する。
政治、経済、社会など非常に多くの分野が、今このCovid-19の危機にあることは理解しています。公務員として任用されている教授としての権利や責任に自覚はあります。もちろん他の分野の方々は、遥かに緊急性のあるリスクや問題を抱えています。我々はこの教育に関わる全ての人へ、我々の主張をアピールする事に集中していきます。
大学の決定事項に携わる全ての方々、次の学期を例外として調整しなければならない全ての方々に、我々の公式文書の内容をアピールします。
職に就きながらの学生、家族などのケアが必要な学生や教員、滞在許可証やビザ問題を抱える外国籍学生、雇用期間が迫っていたり困難な状況にいる大学スタッフ。
学生は、単位取得や試験の合格、卒業論文の仕上げなどのチャンスがあります。しかし大学の通常運営に関して、今は保証できません。大学を援助する事や優先事項を考える事、オンライン授業によるデジタル教員の投入、さらに安全面など様々なことを踏まえ、ノーセメスターは1学期だけ、というのが我々の見解です。次のセメスターが通常通りでない場合のみ、それによる一切のデメリットを学生に被らせてはなりません。我々は教員として、我々の責任とパワーを果たします。
“2020年夏学期は、ノーセメスターとして扱われるべきである“について。
極めてダイナミックに、かつ計測不能なほど拡散し続けるCovid-19は今、社会にも個人にも大きく影響を及ぼしています。我々の日常、そして研究者・教育者としての仕事にも強烈な影響を受けています。こうして誰からも評価して貰えないことは、時間的にも質的にも良いやり方ではありません。大学やその他教育機関は、研究委託期間として通常運営ならびに必要とされる研究資料がすぐに用意できる機関であるのかが問われています。しかし大学側は早急に公共の発展とスローライフ実現のための措置を取らなければなりません。そういった理由から、2020年夏学期が”普段通りのビジネス”とならないように呼びかけていきたいです。
もし我々が教育者として前向きな取り組み、学生の立場を考えた取り組みをするなら、やはりそういった対策は取らないだろう。出来るだけ早くこの状況を従来のものに回復させないといけません。テストのシステムや授業システムを元通りに回復させないといけません。だから我々の考えは次の通りです。
夏学期の授業は開講されるべき。しかし通常学期としてはカウントしない。それは学習したくてもできない状況にある学生にデメリットを生じさせないためです。全ての関係者が背負っている現在の状況に関連した一連の負荷は必ず考慮されなければならない。
とりわけ:
・教員も学生も全員がインターネットに接続でき、十分なE-Learningの運用能力があるものであると扱わない。授業ごとの規律やテーマ、学習目標に応じてオンライン授業は作成される。報酬については新たな解決策がない。つまり、教員とその管理部門には追加で支払われる。
・教員、学生、また運営や大学スタッフは、大学での生活の傍ら、子どもの世話や介護、ホームスクーリングなど全く新しい環境に身を置かれている。
・多くの学生はアルバイトや収入源を失った。代わりになるようなすぐに見つかる仕事は非常に多くの労働時間を費やし、給料は低いと見られる。そういった状況は早急に改善されるようにオーガナイズされなければならない。
・技術的インフラや必要な資料は今手に入れる事ができない。大学やその関連した図書館は閉じられており、コンピューター室には入る事ができない。ラップトップの貸し出しサービスも停止しており、大学のインターネットサービス室は機能していない。またそれに関連した部屋や建物にも侵入できない。
・学習向けオンラインサービス等の技術的インフラには既に大きな負荷がかかっている。
・大学や図書館が閉鎖になって以来、予定されていた前学期(冬)の試験の多くはまだ終わっていない状況である。これらの試験は、次の夏学期の期間中に遂行されるべきである。
我々は、実験者や研究者だけにでなく、全ての大学やその他教育機関に、各々の負担を軽くするように呼びかけている。我々は、BaFöG(ドイツの学生ローン)の調整を除く全ての対象に、教育機関は異常事態の真っ只中にいるという事を報告します。ですので、夏学期は通常でない形で開催する事、また授業担当ノルマを停止する事が条件とされるべきです。高い基準に設けられた授業担当ノルマについては、縮小されるべきであると思います。スタッフの雇用に関しては、ドイツ学術振興会が規定を定めた後に、少なくとも1学期分の契約延長オファーが提示されるべきです。
教員の契約は保持されなければなりません。なぜなら彼らの今後の雇用は確実だからです。教育者として、研究者としてこれらの可能性について協力して解決していきます。
Covid-19に対する一致団結とした克服が最優先事項です。
1学期は、待つに値するのではないでしょうか。