メジャーリーグ観戦のすすめー世界が広がる
あなたは、メジャーリーグ見ますか?
私は野球観戦が好きです。日本野球(NPB)も見ますが、メジャーリーグ(MLB)も大好きです。最初に断っておきますが、私はMLBの方が上だとか、逆にNPBの方が上だとかはどうでもいいと思っています。どちらもいいところ、悪いところがあると思います。どちらも直すべきところはあると思いますが、ここでは詳しく語りません。ただMLBを見ると面白い!ということを本文では伝えたいと思います。
本題に入る前に、日本人のMLB観戦者がNPB観戦者と比べて少ないということが気になっています。当たり前だ、と思われるかもしれませんが、私にはそこまで両者に差があるように思えません。なぜ差があるのでしょうか?まずはその差について簡単に見ていきましょう。
3.6倍のTwitterフォロワー数
2020年5月6日23時00分時点で筆者が調べたところによると、日本野球機構(NPB)のTwitterフォロワー数は422,082。対してMLB Japanのそれは117,918。実に3.6倍というフォロワーの差があります。ちなみにMLB公式(英語)は861万オーバーですが、これはアメリカ人が多数を占めているのでここでは参考にしません。
もちろん、この数字だけで両者の差を完全に表しているとは言い難いでしょう。たとえばダルビッシュ有選手(シカゴ・カブス)のTwitterはフォロワー数が230万(!)を超えています。一概に公式アカウントのフォロワー差=日米野球人気の差ということは言えません。
テレビ放送と英語が問題なのでしょうか?
しかし、この差は無視できるものでもないでしょう。日本球界のトップオブトップの選手たちが海を渡って活躍しているにもかかわらず、これだけ関心に差があるということもまた事実なのです。特に、大谷翔平選手(ロサンゼルス・エンジェルス)がMLBに行って以降、テレビ放送時間も増えたのに、です。
昼間は仕事でテレビ見ないから、英語がわからないから、などなど様々な理由でMLBを見る余裕がないという方々が多いのも分かります。しかし、NPBも毎試合ちゃんと全イニング見るか、と聞かれると全員そういうわけでもないですよね。ハイライトだけとか、速報結果と選手の成績だけ、という方々も多くいらっしゃるでしょう。
たしかに英語は大きな壁かもしれません。しかし、MLB Japanのような日本語公式サイトやTwitterもありますし、他のスポーツ系メディアでもMLBのページがあります。情報を得ようと思えば、昔よりはるかに簡単に得ることができるでしょう。
私の個人的な意見としては、何よりもルールがほぼ同じなのだから、言葉はそこまで大きな壁ではありません(私はインタビューや実況も聞きたいので英語を勉強していますが)。場所がどこでも、どの言語を話そうとも、いつでもどこでも誰がやっても、素晴らしいプレーは称賛を集めます。MLBはNPBと同じだけ、そのような素晴らしいプレー(とダメなプレー笑)を私たちに見させてくれます。
とはいえ、観戦に行くコストに莫大な差があることはたしかですし、地元感がなくて応援するモチベーションにつながらない、という要因もあるでしょう。では、純粋に野球を楽しむ機会を提供してくれる存在としてMLBを認識してみてはどうでしょうか。これについては後でもう少し詳しくお話します。
メジャーリーグを目指す日本のトップ選手たち
野茂英雄、松坂大輔、上原浩治、川上憲伸、ダルビッシュ有、前田健太、田中将大。これらのメジャーリーガーたちは、最高の投手に送られる沢村賞を獲得したのちに海を渡りました。沢村賞獲得とはならずとも、海を渡った先発投手たちは、日本で成功を収めたと言ってよい選手たちです(菊池雄星、桑田真澄、岩隈久志、黒田博樹など)。中継ぎや抑えで圧倒的なピッチングをされた選手たちを記憶にとどめている方も多いでしょう(佐々木主浩、藤川球児、斉藤隆、岡島秀樹など)。
また、イチロー、松井秀喜、新庄剛志、城島健司、松井稼頭央、井口資仁、青木宣親、筒香嘉智、秋山翔吾など。MLBへ行った彼らが、日本時代に野手として残した数字、プレーの質は支配的で他を圧倒していたことは疑いようもないでしょう。
彼らは決して口にしませんが、日本を狭く感じてしまった、というのが率直なところなのではないか、というのが私の邪な推測です。そうは言わなくても、もっと高いレベルでやりたい、というのはよく聞く話です。彼らが言う「高いレベル」の野球を見たい、そう思ったのが私がMLBを見始めたきっかけです。
「あっ、と思ったら日本ではヒットだけどアメリカではホームラン」と語った野茂英雄、「感覚だけでは通用しない」と言う田中将大、「今までで一番品のあるボール」を見た大谷翔平、気にしていなかったフレーミングではじめて「ああ、すごいな」と感じたダルビッシュ有・・・。
日本球界が誇る才能は数多くMLBに向かいましたが、NPB同様、支配的で圧倒的な結果を残した選手はそう多くありません。また、生き残ってはいるが、NPBと同じようなやり方が通用しない、というのはほぼ全ての選手に共通することと思います。
この節の長いタイトルは、どれも彼らが語ったことと記憶しています(一字一句ではないですが、主旨はブレていないはずです。間違っていたら訂正お待ちしています)。野茂投手は既に引退されていますが、この発言だけでもMLBのスゴさが分かります。
あの24勝0敗を記録した翌シーズンにMLBへ行った田中将大(現ニューヨーク・ヤンキース)が「感覚だけでは抑えられない」と考える世界(これが、日本時代は感覚で抑えられたということを意味しているかは分かりませんが)見たくありませんか?
大谷翔平は、ジャスティン・ヴァーランダー(Justin Verlander、現ヒューストン・アストロズ)の球を見て「品のあるボール」と形容しました。またゲリット・コール(Gerrit Cole、現ニューヨーク・ヤンキース)のそれも含めて「今までで一番速いボール」と語っています。大谷翔平にそこまで言わしめるボール、見たくありませんか?
それまでフレーミングを気にしていなかったダルビッシュ有が、オースティン・バーンズ(Austin Barnes、現ロサンゼルス・ドジャース)のフレーミングを目の当たりにして「ああ、すごいな」と感じたと言います。そのキャッチャーが競争してレギュラーを争っている世界、見たくありませんか?
最初は好きな選手を1人見つけてみては?
YouTubeやTwitter,Instagramには数多くのMLB選手たちの動画が公開されています。英語だけでなく、日本語による投稿も最近増えてきて筆者としてはうれしい限りです。好きな選手やチームを1人、1チーム見つけて見ると世界が広がります。
筆者は今年で22歳になりますが、最初に知った選手はデヴィッド・オルティス(David Ortiz、元ボストン・レッドソックス)選手でした(2004年にテレビで見て驚愕したことを覚えています)。今ではすっかりマックス・シャーザー(Max Scherzer、現ワシントン・ナショナルズ)投手、ハヴィエア・バイエズ(Javier Baéz、現シカゴ・カブス)選手、ロナルド・アクーニャ・ジュニア(Ronald Acuña Jr.、現アトランタ・ブレーブス)選手のファンです。他のもはや人間を超越したのでは?と言えるような選手たち、全員大好きです!
データ革命は見方を変えてくれる
あまり詳しく言及しませんが、MLBはデータが発達していることをご存知の方も多いと思います。すべての球場に軍事用レーダーを設置して選手の一挙手一投足を追っています。それを分析する人々への需要が高まり、統計学者、物理学者、運動工学の専門家など今まで野球とは関わりが薄かった人々がチーム作りに参加し始めています。野球未経験者がコーチになっているなんて事例も!
投手の投げるボールは、投げ出された高さとプレートからの距離、回転数、回転軸、変化量などがすべて分析されます。またAR技術が、従来では叶わなかった自分のボールを打席で自分が見る、ということを可能にしてしまったのです。
打球の角度と初速からホームランになりやすい打球が明らかになりました(バレルゾーンと呼ばれるものです)。
平均的な選手と比べてどれだけアウトを多くとったか、なんてことも分析されています(OAA=Out Above Averageと呼ばれる指標です)。データに基づいた分析が、選手たちに対する公平な視点を与えてくれます。2019年MLBのゴールデングラブ賞受賞者とOAA上位者はほぼ一致しています。受賞せずとも次点というケースも多かったです。印象論に基づくゴールデングラブ賞は終わりを迎えたのかもしれません。
おわりに:日本野球で満足ですか?
冒頭でも述べましたが、私はMLBやNPBの優劣について論じるつもりはありません。しかし、野球が好きなみなさん、MLBはまだまだ我々が知らない素晴らしい体験を提供してくれます。球団や選手が多すぎることは、MLBを見ない理由ではなく、見る理由と考えてみてはどうでしょうか。30球団もあれば、それだけ素晴らしいパフォーマンスを目の当たりにするチャンスが単純に増えるのです。
データを駆使した戦術(これに批判があることは承知の上で言います。おそらくイチロー氏が記者会見で述べたことはこれに繋がると考えていますが、ここでは割愛いたします)や、古い常識を脱却した人材登用といった面からも楽しめることができるかと。球場にも特徴があって面白いですよ!
日本野球だけで満足、という方に無理に見るよう押しつけるものではありません。でも、見てみると世界が広がること、これは保証できます。最後に私の好きな動画を貼っておきます。キャッチャーのフレーミング集、2019年最速の捕殺集、シャーザー投手の2018年全300奪三振(これは私の趣味)です。野球が好きなみなさんであれば、これらがどれだけ常軌を逸したプレーかお分かりだと思います。お時間のある方はぜひ。
長い文、お付き合いありがとうございました。