【仕上げ】経営計画書
前回までは小規模事業者持続化補助金の傾向と対策と称して、事務局や審査員が採択する上で求めるシナリオについて解説しました。第5回では、そのシナリオをもとにして、どのような内容を経営計画書に肉付けしていくかについて解説したいと思います。
結論から述べると、経営計画書へ肉付けすべき事項は下記になります。
★会社概要および営業実態の確認。
★売上構成と減少の推移
★改善計画のイメージ図と計画目標
まず、こういった分析を行う上で重要なことは下記になります。
①記述例を参照し出題者の求める回答を理解する。
②過去の採択事例を検証する。
上記①②に基づき、検証を実施します。
①記述例を参照し出題者の求める回答を理解する。
【日本商工会議所のコロナ型小規模事業者持続化補助金回答例】
https://r2.jizokukahojokin.info/corona/files/7615/9521/9330/r2cy2tex.pdf
回答例の気になる記述箇所を下記に抜粋します。
【事業概要】
・1960 年に個人事業主として創業。1995 年に法人設立し、現在に至る。○○県○○市に店舗を構えて、料亭を営んでいる。
⇒営業実態が確認できるか?公助良俗に反する事業ではないか?
店舗外観等はエビデンスにもなるので、写真等を掲載すると尚良。
・売上構成比は、料亭での売上:インターネット販売=6:4
⇒本補助金はIT導入に関する補助を目的にしているため、インターネットによる売上構成比の算出等は重要な指標といえる。
当社の強みは、①数々の賞を受賞するほどの腕を持つ職人がいること、②贈答品用の生産ラインを有しており、安定的に商品供給が可能であること、③○○県内の食材を仕入れるルートを確保していること、である。
⇒自社の強みがどこにあるかは、コロナ渦における対策を検討する上で最も重要な情報であるため。*第4回にて解説済み。
【経営方針】
今年に入って蔓延している新型コロナウイルス感染症の影響で、店舗売上が激減しており、このままでは事業継続が困難になる可能性がある。
⇒コロナ渦により困っている。深刻な状況にある記述は重要。売上推移やその要因を推定できるデータ等があれば尚良。
一方で、自宅で料亭の味を楽しみたいと考える方もおられるため、今回自宅で楽しめる新商品を開発し、自社サイトを通じたインターネットでの販売を行うことで、新たな売上獲得を図る。
⇒インターネット販売による需要が見込めることへの記述。それを示すエビデンス等あれば尚良。
【新型コロナウイルス感染症による影響】
前年度は、毎月平均すると 10,000 千円程度の売上があったことから、大幅な売上減少となっている。
⇒売上減少を強調。
売上減少に伴い資金繰りも悪化しつつあったが、○○銀行から無利子・無担保融資を受けることができ、一息ついている。
⇒資金繰りを勘案する上で、資金調達等のやるべきことは対応済。
新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越え、事業継続を図るための新たな手を打つ必要に迫られている。
⇒「資金調達などの資金繰り対策は実施している。その上で、売上減少が課題だ」まで言及していれば、尚良。
【本補助金が経営上にもたらす効果】
新商品開発と自社 EC サイトの構築により、自社の強みを生かすことができるとともに、売上向上を図る仕組みを整備できることが、効果といえる。
⇒基本的に強み活かすと販路拡大が経営計画の肝である旨を記述。
②過去の採択事例を検証する。
過去の採択事例は、経産省のミラサポPlusに掲載されております。
ただし、コロナ型の小規模事業者持続化補助金に関しては今年度から補助金につき、過去の記述内容の分析は特に意味を成さないので、写真やデータの取扱いについて分析します。ミラサポPlusの事例をもとに、図や表の貼り付けがどのような肉付けに使用されていたかを整理すると下記事項が比較的多いように思われます。
・店舗外観、位置などの営業実態がある旨のエビデンス
・事業改善前と改善後のイメージ図
・過去の販促チラシ
・経営改善の計画目標それに不在する売上推移など
上記分析をもとに、第4回のシナリオをもとにしてどのような内容を経営計画書に肉付けしていくかについて記述すると下記になります。
★会社概要および営業実態の確認。
★売上構成と減少の推移
・売上構成 ( 例:実店舗とインターネット販売の内訳など )
・売上減少の推移
*実店舗およびインターネット販売に内訳に基づき、データあれば尚良
★改善計画のイメージ図と計画目標
・改善前と改善後のイメージ図
・どんなことをするか(過去にやった事例およびエビデンス等)
・経営改善計画後の計画目標、売上推移といった計画
第6回では、第1回〜第5回までの記述事項をまとめて、コロナ型小規模事業者持続化補助金採択のための、第三回で私自身が使用したCHECKリストを公開したいと思います。
本記事にご不明点やご意見がある方は、下記までご連絡頂ければ幸いです。
宮田企画 宮田浩充
神奈川県足柄下郡箱根町宮城野488−53 区画No.502
MAIL:miyata@strategy-sanbo.com