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傾向と対策②【コロナ型持続化補助金】

 第3回では採択一覧から推定できる小規模事業者持続化補助金【コロナ型】の採択傾向を解説致しました。

◯事業計画は、しょぼくても良いから汎用性や定石通り

◯非対面型ビジネスへの転換を考えよう

 第4回では採択傾向や提出書類をもとに、小規模事業者持続化補助金(コロナ型)が採択されるための対策について記述致します。まず、小規模事業者持続化補助金(コロナ型)の申請にあたり必要な書類を整理します。

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上記記載の様式1-1、2、3、4、5に加えて、決算書および電子データになります。個別化できる記述項目があるのは、様式2の経営計画書のみです。その上で、様式2における記述項目について整理致します。

【記述項目】

1.新型コロナウイルスの影響を乗り越えるために1/6以上投資する類型(該当する類型を、一つ以上選択)

 □A:サプライチェーンの毀損への対応

 □B:非対面型ビジネスモデルへの転換

 □C:テレワーク環境の整備

2.事業概要(自社の概要や市場動向、経営方針等を記載ください)

3.新型コロナウイルス感染症による影響(売上減少等の状況について)

4.今回の申請計画で取り組む事業名

5.今回の申請計画で取り組む内容(注3)

【計画内容】(上記1~3を踏まえて、販路開拓等の取組(A、BまたはCに関する取組を含む)を記載ください)

6.新型コロナウイルス感染症を乗り越えるための取組の中で、本補助金が経営上にもたらす効果

 上記記述項目をみて、何を問われているのかがよくわからないと思われた方も多いと思います。よって、簡単な言葉に言い換えます。

1.コロナ渦対策として1/6以上投資する類型

☒B:非対面型ビジネスモデルへの転換(第3回記述の通り)

2.自社の強みはどこにあるか。

3.コロナ渦における障壁はどこに生じ、結果どうなったか。

4.コロナ渦対策として取組む改善策のタイトル

5.改善策の詳細

6.改善策により障壁はどうなるか。結果はどう改善するか。

いかがでしょうか?

そんなにたいした話は聞かれてないな?

と思って頂ければ、幸いです。


結局は、下記のようなシナリオが審査員としては欲しいです。

こんな事業をやっている会社でこんな強みがある会社です。

しかし、コロナ渦により大きな障壁が生じました。

そのため、売上は◯◯程度下がりました。これは深刻です。

起死回生を図るべく、△△△計画を立てました。

△△△計画の詳細は、下記です。

(△△△計画の詳細)

これにより障壁が緩和し、☓☓程度の改善や◯な可能性が生じます。

 審査員である中小企業診断士の方はこの手の議論をする際は、「ファイブフォース分析」を活用します。活用の仕方としては、自社の強みや障壁が、仕入先、取引先、自社と競合先との優位性、代替品、新規参入の脅威のどこに比重が置かれているかの整理になります。

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その上で、第3回の要点をおさらいします。

◯事業計画は、しょぼくても良いから汎用性や定石通り

◯非対面型ビジネスへの転換を考えよう

 少し抽象的な記述になったために、最後は具体例で締めたいと思います。「常連さんに人気の街の居酒屋さん」の場合のシナリオ例になります。この程度かと思われる方もいらっしゃると思いますが、斬新なプランを考えるより、こういったしょぼくても汎用性や定石通りのシナリオで十分です。第5回での話になりますが、こういったシナリオをもとにして、様式を整える、エビデンスや計算根拠を肉付けしていくことが採択率を向上させるポイントになります。

≪常連さんに人気の街の居酒屋さん>>

神奈川県横須賀市で居酒屋を営んでおり、常連客の来客頻度や滞在時間が長いことによる客単価が大手チェーン店に比べて高いことが強みです。しかしコロナ渦による3密対策として席数を減らしたことにより、常連客の来客頻度や滞在時間が大きく減少したため、月商は前年同期比に比べて50%以下に減少しました。この月商では毎月の固定費を回収することができないため、コロナ渦以前の内部留保により持ちこたえておりますが、後2ヶ月赤字が続くようであれば弊社としてはとても深刻であります。そのため、売上の改善を図るべく、テイクアウトの強化と店舗のプレミアム化を図ります。事業の詳細は、以下になります。

(事業詳細)

・テイクアウトを導入し焼き鳥や冷凍餃子等を販売します。

HPにて、注文や店内の混雑状況を確認できるようにすることで、注文や引き渡しがスムーズに進むようにします。また、テイクアウト注文のお礼メールやHPにて、常連客との定期的な接点を確保することで、貸切プラン活用や来客も促します。

・コロナ感染症拡大を防止するために3密対策の強化

手洗い場や空調設備の増設を行い、常連客が安心して楽しめる環境を整備します。

 これらの施策を導入することで店舗への来客数が減少しているコロナ渦下でもキッチン設備や自身の稼働を無駄にせず、売上を立てることが可能になります。また、常連客にHPやテイクアウト注文を通して当店を思い出す機会や接点を確保することで、「コロナ対策も万全みたいだから、来店してみよう」といった動機づけを行います。メニューに関しても希少なお酒等を追加することで客単価向上を図り、売上の改善を図ります。

 第5回での話になりますが、こういったシナリオをもとにして、様式を整える、エビデンスや計算根拠を肉付けしていくことが採択率を向上させるポイントについて解説致します。

記事にご不明点やご意見がある方は、下記までご連絡頂ければ幸いです。

 宮田企画 宮田浩充

 神奈川県足柄下郡箱根町宮城野488−53 区画No.502

 MAIL:miyata@strategy-sanbo.com

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