勘所①:政策トレンド

 お世話になります。今回は審査の勘所における政策トレンドについて解説したいと思います。まず、「ものづくり補助金」でいえば「賃上げ」が最重要キーワードになります。要領にあるような下記の条件を満たすことがまずは最低限の記述事項です。

以下を満たす3~5年の事業計画の策定及び実行
・付加価値額 +3%以上/年
・給与支給総額+1.5%以上/年
・事業場内最低賃金≧地域別最低賃金+30円
※特別枠は、補助事業実施年度の付加価値額及び賃金の引上げを求めず、目標値の達成年限を1年猶予します。

まず、なぜ日本が「賃上げ」に拘るのか。その背景から説明します。下記は、各国と比較した最低賃金一覧と人口減少状況を補記したものです。

【2019年最低賃金】

ルクセンブルク 11.85米ドル

ドイツ     11.07米ドル

オランダ    10.47米ドル

台湾      10.09米ドル    ☆ アジア

アメリカ     9.33米ドル

韓国       8.32米ドル  ☆ アジア

サウジアラビア  7.43米ドル

日本       7.10米ドル  ☆ アジア   人口減少↓

ギリシャ     6.43米ドル          人口減少↓

 上記の資料から、日本の最低賃金は決して高くなく、アジア圏でいえば韓国や台湾以下、その上で2019年度人口減少が観測されている29ヶ国の中でも減少率が上位の国になります。日本において国内消費を(人口×消費額)で考えたとき、「人口減るなら、賃上げしないと無理だよね」という結論に基づいてます。

その上で、「賃上げするために日本国として何を推進していきたいか?」を説明します。今回は、参考文献としては、中小企業庁からさまざまな書類が発表されていますが、「令和3年度経済産業政策の概算要求」「令和2年度経済産業政策の概算要求」を抜粋します。

【令和3年度経済産業政策の概算要求】

画像1

【令和2年経済産業政策の概算要求】

画像2

 一貫して記載されていることは、中小企業再編(事業承継・M&A推進)になります。令和2年度は、IT導入とベンチャーや小規模事業者への成長促進に焦点が当たりつつ、令和3年度は中小・中堅企業に対して焦点があたってることが読み取れます。それが正しいか正しくないかは別の議論として、国の見方は下記です。

・産業構造として、事業者(プレイヤー)が過多。

         ↓

・各々の事業者がニッチへのポジション取りや特色や革新性が薄い。

         ↓

・上記が価格競争を加速させている。

         ↓

・そのために選択と集中の議論を中小企業において促進したい。


「そのなかでのものづくり補助金の役割とはなにか?」

ズバリ、下記です。

「革新性が高い企業をえこひいきしますよ。」

つまり、政策理解も「革新性」への解釈に起因するわけです。

革新性の説明については次回以降でしっかりと説明します。


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