第1回みんなでおさんぽゼミナール(開催レポート)
こんにちは!
世田谷コミュニティ財団プロボノチーム、メンバーのakaneです。
玉川エリアで中学生と小学生を子育てしながら、社会的養護下のこどもたちのケアや里親としての子育てにむけて準備を進めつつ、世田谷コミュニティ財団の運営サポーターとして、活動しています。
今日は6月5日に開催しました世田谷コミュニティ財団のイベント、「みんなでおさんぽゼミナール」のレポートを担当します。
■みんなでおさんぽゼミナールとは?
・世田谷で暮らす人同士がつながること
・世田谷の街のことを深く知ること
を目指し企画しました。
開催日は6月5日土曜日。
梅雨の時期でしたが、晴天の中で開催することが出来ました。
今回のイベントでは、駅前にて、商店街のお取り組みを伺った後、烏山の寺町界隈を散策しました。
今回の舞台となった烏山(からすやま)周辺は、世田谷区の中では北西の端に位置します。三鷹市や調布市との境目でもあります。
<企画の背景について、ちょっと補足...>
昨年度の緊急事態宣言の中、コミュニティ財団として出来ることを、プロボノチームのみんなで考えスタートしたのが、「みんなでソロさんぽ」という企画でした。
「みんなでソロさんぽ」では、まち歩きはソロ、つまり一人で行います。お散歩の際に写真を撮影、SNSを積極的に活用して、みんなでシェアし、街を新たに発見する企画となりました。
その後、感染状況が収まっていた秋・冬・春には「ゆるランイベント」を開催。
こうしたチャレンジを経て、「世田谷の方をより深く知ろう」と始まったのが今回の「みんなでおさんぽゼミナール」です。
今回は「ゼミナール」の名前の通り、「学び」を重視しながら千歳烏山駅〜烏山寺町エリアにて開催したのが特徴です。
まずは趣旨説明と自己紹介からスタート
スタート地点は、京王線の千歳烏山駅の駅前にある、烏山区民センター前の広場です。
イベントの冒頭、まずは今回の趣旨とイベントの流れを、世田谷コミュニティ財団のプロボノメンバーで、今回の企画のリード役を務めたUGさんから説明しました。
その後は自己紹介です。イベントには、5歳〜60代まで、総勢15名の皆さんにご参加頂きました。世田谷区内の各地から幅広くお集り頂いたほか、区外の方のご参加もあり嬉しく思いました!
商店街の歩みは烏山の街の歴史と共にあり!
自己紹介が終わったところで、今回の企画にご協力頂いた、烏山駅前通り商店街(エルモール烏山)専務理事の田中さんから、商店街のお取り組みについて、そして烏山の街の歴史について、お話頂きました。
田中さんは、商店街にてお店を営まれ、現在は商店街振興組合の専務理事を務められています。
生まれも育ちも烏山という田中さんからは、1950年代から続く烏山駅周辺の商店街の歴史を教えて頂きました。
また、放置自転車対策とユニバーサルデザインに向けた工夫などについてもお伺いしました。ほかにも、烏山駅前の商店街を象徴する取り組み、ポイントカードにまつわる工夫や取り組みの裏話など。
いやぁ、スタートからお話が深い深い。
同じ世田谷でも、私の住んでいる玉川エリアから少し距離があることもあり、あまり馴染みがなかったエリアだったのですが、お話を聞くだけで既に、自分の中で商店街愛が生まれていました。
(写真:財団運営サポーターのUGさんが手にしているのがえるもーる烏山(烏山駅前通り商店街振興組合)が発行する『ダイヤスタンプカード』です。なんとこのカード、「高齢者見守り機能」が搭載されているとか。)
(写真:駅前から続く商店街のカラー舗装の様子をご説明頂いています)
烏山区民センターは、小学校の跡地だった!
ちなみに、今回の集合場所となった烏山区民センターは、明治6年に開校し、後に移転した世田谷区立烏山小学校の跡地だそうです。今回初めて知りました!
(写真:烏山小学校跡の石碑。甲州街道の発達と、京王線の開通により人口が増加、子どもたちの学業の環境を維持する観点から、移転に至ったとか。)
品川用水の暗渠の上を歩きながら北へ
区民センターを後にして、甲州街道方面へ。歩きながら商店街を抜けます。「この下は品川用水なんですよ~」なんてお話もあったり。本当、こういうところ、まちあるきの醍醐味ですね
(上の写真:品川用水の暗渠となっている道。少し蛇行している様子がわかりますでしょうか?)
(上の写真:こちらも品川用水の暗渠部分の道。甲州街道の少し手前です。街道沿いから駅に続く道であるからか、沢山の方が歩いています。)
(上の写真:甲州街道を渡ります。幹線道路ではありますが、日曜朝だからか、少し交通量は少なめです。)
屋敷林にて、世田谷の農家の暮らしを実感!
甲州街道を渡り、北烏山エリアに入ると、最初の訪問ポイントに到着です。
最初のポイントは、「北烏山9丁目屋敷林」。甲州街道から烏山通りにはいってすぐの場所に、素晴らしい市民緑地が待ち受けています。
北烏山9丁目緑地は、広い敷地の中に主屋や蔵、大きなケヤキ、モクソウチクなどが生い茂る、世田谷の古くからある農家さんの土地です。その屋敷林の一部を市民緑地として開放されています。
敷地の一角には、昭和の始めに下山義雄さんが手がけた「下山千歳白菜発祥の地」の碑がありました。
下山千歳白菜は、昭和20年代、白菜産地がウイルス病で壊滅的な被害を受けていた中で、病気に負けず残った白菜で、戦後の食糧難の時代にはとても注目されたとのこと。いつか食べてみたいです...!
(上の写真:下山千歳白菜発祥の地の碑)
(上の写真:屋敷林と下山千歳白菜について解説を頂いている様子)
屋敷林の中には、沢山の大樹が植えられています。竹林を抜けるとそこにはとても趣きのある茅葺き屋根がありました。
(写真上:竹林の中にある母屋)
(写真下:手前は蔵、奥には現在もお住まいがあるとのことです)
烏山通りをさらに北へ
屋敷林を出た後は、烏山通りをさらに北に向かいます。
てくてく歩きながら「この花なんだろう?」とみんなで調べたり。
ちなみにこの花は、モクレン科のお花、泰山木(タイサンボク)の花でした。小学校の教科書で見聞きしただけだったので、個人的には実際に見ることが出来て感動しました!
つつじの数、なんと1000株以上!
続いて向かったのは、烏山つつじ緑地です。
(写真:一面につつじが!隣接する西沢つつじ園さんが寄贈されて出来た緑地とのことでした。)
ちなみに今回の「みんなでおさんぽゼミナール」、当初はつつじの季節に開催予定でした。新型コロナによる延期によって、残念ながらつつじの花の季節は終わってしまったのですが、4月末には30種以上、約1000株のつつじが満開になるそう。
ということで、来年の再開を約束して、迷路のようにつつじが続く、烏山つつじ園を散策しました。
(写真上:烏山つつじ園内の看板。じつに沢山のつつじが植えられていることがわかります。)
(写真下:園内でぱしゃっと記念撮影。背後にあるマンションのあたりが甲州街道です。)
烏山の由来は黒い土!??
ちなみに烏山の地名の由来の一つに、「黒々とした土がカラスのようだったから」という説があるとのことです。
(写真上:烏山つつじ園からすぐの畑の様子)
(写真中:黒々とした土に覆われた、美しい畑がひろがっています)
(写真下:運営サポーターのUGさんが、地名の由来についてお話しているところ。)
烏山という地名は、地質、土質に関係があり、しかも人々にとって最も身近な表土によるものと推察されています。世田谷地方の表土の大部分は、植物が堆積して変化した「黒土」であり、乾燥して風が吹けば舞い上がり、雨が降ればたちまちぬかるみになります。表土の黒色を形容して「烏」を当て、耕作地もしくは自然の地盤に対して「山」を当てたものではないかという説があります。(烏山の地名の由来、区webサイトから)
甲州街道に近い烏山エリア。東には高井戸宿。西には調布宿。その間の「間(あい)の宿」 として、甲州街道を中心に栄えた街なんだな、と実感しました。
いよいよ寺町へ!
つつじ園を出て、中央道の高架下をくぐると、いよいよ寺町エリアへ突入です。道路に掲示されていた地図を見ると、お寺を表す「卍マーク」がずらりと密集していることがわかります。
烏山寺町は、関東大震災で大きな被害を受けた寺が、集団で移築された場所だそうです。その数なんと、26寺院!
上野や浅草、築地、麻布などあちこちの寺院がここ烏山に集まったとのことでした。畑も多く、寺も多く、まるでタイムスリップしたような場所もあちこちにありました。
全ては回れませんでしたが、各寺に特色があり、木造だったりインド風の趣あったり、神仏習合だったりと実にさまざま。
烏山寺町だけでも、1日過ごせそうです。
寺町はまさに世田谷の小京都!
中には「ここは本当に世田谷!?」と思うような風景も。写真は「烏山の鴨池」と呼ばれる高源院の弁天池です。
寺院の建立にあたって境内に泉水を掘ったところ、水源を掘り当て、やがて豊かな水をたたえる池となった、とのこと。
秋には鴨が飛来するそう。でも本日のところは鴨池ならぬ亀池でした...笑
他にも魅力がいっぱいの烏山寺町
こども食堂や能楽、おもちつきや猫ちゃんイベントなどどなたでもご参加できるイベントも各所で開催しているとのことです。
(写真:妙壽寺の境内にある、宮沢賢治『雨ニモマケズ』の詩碑)
(写真上:称往院 道光庵の境内にある石碑。こちらは蕎麦屋の屋号「〇〇庵」の由来となったお寺とのこと。天明飢饉の折、ふるまった蕎麦があまりに美味しくて人が殺到、その後、修行の邪魔になる、と、境内では蕎麦不許可の石碑が建立された、とか。)
烏山の街の優しさを感じるベンチ
商店街や寺町界隈など、烏山の街にはあちこちにひと休みできるベンチが置かれています。
こちらは妙寿寺の入り口付近、大銀杏の木の下に置かれていたベンチです。世田谷区にはベンチ設置に対する助成制度(ユニバーサルデザイン生活環境整備補助金)があるのですが、この制度を使って設置されたベンチとのこと。
街を歩いて欲しい、疲れたらちょっと休憩して、元気に散策できるように、と、まちの方のやさしい気持ちが感じる風景です。
(写真:妙寿寺の前に置かれたベンチ)
みんなで歩くと、参加者それぞれの視線が楽しい
ソロさんぽでもそうなのですが、参加者さんの「目線」が本当に学びになります。
同じ場所をあるいていても、見つけるものは人それぞれ。
(北烏山9丁目屋敷林内にて。土中からちいさなタケノコ発見!)
こちらも参加者さんのお写真から。グリーンが本当に美しい。
(烏山つつじ園にて。美しかったプラタナスの大木)
車椅子の方にもご参加いただいたことで、段差や傾斜などをより意識しておさんぽすることができました。
(上の写真:北烏山9丁目屋敷林に続く道)
(上の写真:烏山区民集会所にて。館内には寺町の解説が盛り沢山です)
(上の写真:あじさいとにゃんこ)
(上の写真:世田谷区内のあちこちにある暗渠(あんきょ)。暗渠とは、地下に設けられていて外からは見えない水溝のことです。昔の烏山には、水田や畑が広がっていたのでしょうね)
コロナ禍の中だからこそ、可能性を感じた今回の企画
今回の企画には、世田谷コミュニティ財団のイベントに初めて参加して下さった方も多くいらっしゃいました。
一方で昨年度から続けてきた「みんなでソロさんぽ」を通じて、世田谷コミュニティ財団に繋がって下さった方もご参加下さいました。
オンラインではお会いしたことがあったものの、リアルにお顔を拝見するのは初めての方も。
屋外でのイベントの可能性を、またひとつ、深く感じる機会となりました。
また今回の企画は、世田谷コミュニティ財団のプロボノチームが企画・運営を行いました。
・世田谷で暮らす人同士がつながること
・世田谷の街のことを深くしること
を目指して「おさんぽゼミナール」と名付けた本企画は、地元の商店街の方に、ご協力を頂き、たっぷりお話を伺えたことで、文字通り、深く地域のことをしり、参加者が繋がり合う、何とも豊かで贅沢な時間となりました。
私たち、世田谷コミュニティ財団としては、緊急事態宣言の中で、悩みながら開催したイベントではありましたが、参加者の皆さまにも感染症予防に十分にご協力頂き、安心して開催することが出来ました。
ご参加下さった皆様、ご協力下さった皆様に心よりお礼申し上げます!
世田谷コミュニティ財団では、引き続き、街とつながる、人とつながる機会を作り出していきたいと思います。
皆さまぜひ、引き続きSNSのフォローやいいね!での応援のほど、どうぞよろしくお願い致します。
開催にあたっては、エルモール烏山(烏山駅前通り商店街振興組合)の田中専務に快くご協力を頂きました。ご協力に心から御礼申し上げます。
また参加者の皆さんにはマスク着用ほか、感染症対策への協力を頂きました。
主催者側では、屋外でも説明の声がよく聞こえるよう、ポータブルマイクを準備し、ソーシャルディスタンスと安全確保に留意しながら、イベントを開催しました。
参加者の皆さま、感染症対策へのご協力をありがとうございました!
(世田谷コミュニティ財団 プロボノチーム)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?