要望に対する回答について【学校統廃合問題】

福 教 学 再 第 2 5 号
2019年(令和元年) 8月27日

山野の暮らしを考える会 代表 ―――様
福山市教育委員会 教育長 三 好 雅 章

要望に対する回答について

 山野学区の地域、保護者の皆様には、平素から、本市教育行政の推進、山野小学校と山野中学校の教育活動に対し、御理解と多大な御支援をいただいておりますことに、深く感謝申しあげます。
 教育委員会では、少子化が進み、学校の規模が小さくなっていく中、変化の激しい社会を生きていく子どもたちに、主体的・対話的で深い学びを通して必要な力を育んでいくことができるよりよい学びの環境づくりのため、2015年(平成27 年)に策定した「福山市小中一貫教育と学校教育環境に関する基本方針」に基づき、学校再編に取り組んでいます。
 これまで、山野地域や山野小・中学校PTAの役員の方と話合いを重ねてきました。7月15日にも、三連休の最終日にもかかわらず、長時間にわたり意見交換をさせていただき、ありがとうございました。
 当日、質問書並びに要望書をいただきましたので、その回答及び市の考え方をお返しさせていただきます。


 まず、質問の1点目、学校再編の理由についてです。
 小規模校には、「子ども一人ひとりに教員の目が届きやすい」など良い面もある一方で、少人数では、子どもたちが、意見を交わしながら理解を深める授業が展開しづらく、多様な価値観に触れさせることが難しいといった課題があります。
 2020年度(令和2年度)から小学校で、2021年度(令和3年度)から中学校で実施する学習指導要領による主体的・対話的で深い学びを実現するためには、子ども同士の話合いや探究・体験・問題解決的な学習を重視した授業づくりは不可欠です。友だちとの対話を通じて、多様な考え方に触れて新たなことに気付いたり、他者と自分の考えを関連付けたりしながら物事を深く理解し、学びの面白さを実感することが、学びに向かう力につながります。
 新たに導入される小学校5・6年生の外国語(英語)、必修化される小学校のプログラミング教育、特別の教科「道徳」における教育の質の充実のためにも、学校規模・学校配置を見直すことは避けられません。
 時代の変化が加速している中で、人の価値観、個性、興味・関心なども多様化しています。先行き不透明な社会に向かう子どもたちには、そうした多様性を認め合い、 理解しながら、自分で考え、生きていく力が必要です。そのために必要な力を確実に付けていくことのできる教育環境、一定規模の集団を確保していくことが、私たちの責任と考えています。
 また、人口減少社会にあって、全県的にも教員の確保は厳しい状況にあり、学校規模を整えることは、教員の適正な配置につながり、将来にわたって教育の質の維持向上が図られます。
 多様で適切な教育機会の確保等を国、自治体の責務とする「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」が2016年(平成28年)に制定されたことも踏まえ、山野小・中学校を選び通っている児童生徒も含め、教育上の配慮が必要な子どもたちが学ぶ特認校を設置することにしています。
 山野に住みながら児童生徒が再編後の新しい学校や特認校に通学できるよう、その支援は、責任を持って行います。
 こうしたことから、要望の1点目と2点目とも関わりますが、学校再編計画の見直しと、山野小・中学校を小規模特認校にすることは考えていません。


 2点目の地域の皆様に対する姿勢です。
 これまで学校は、地域の皆様の協力をいただきながら、地域の良さを生かした特色ある教育を行うことができています。再編後も、地域とのつながりを大切にし、広がった校区の歴史や伝統文化、人材、産業等豊富な地域資源を活用して、地域の人々と子どもたちが交流し、多くのことを学ぶことができるような教育活動を積極的に進めていきます。
 教育委員会としては、地域、保護者の皆様の理解を得る中で、ともに新たな学校づくりに取り組んでいきたいと考えています。今後も、 意見交換会や地域説明会を通じ、子どもたちのための学校づくりについて、話合いを重ねてまいりたいと思います。


 3点目の教育委員会と地域活性化担当部署との関係についてです。
 人口減少、少子化、高齢化が急速に進行する中にあって、学校があれば地域が活性化する、 今までと同じ状況が確保できれば地域の元気が維持できるという状況ではなくなっており、子どもたちの教育環境と地域の活性化はそれぞれ別の課題として議論する必要があると考えます。
 山野の地域活性化については、里山里地の再生・保全事業をはじめ、関係人口創出モデル事業やおでかけ支援事業など、地域の皆さんとともに取り組んでいます。
 とりわけ、関係人口創出モデル事業など地域活性化担当の取組は、人口減少に伴う過疎化への対応や地域の再生が目的であり、学校再編を進めるための事業ではありません。
 要望の3点目とも関わりますが、地域課題の解決と山野町ならではの魅力を生かした地域づくりについては、教育の課題とは別に、関係部局が一体となって、地域の皆様と互いに知恵を出し合いながら取り組んでまいります。


 4点目の「合意」についてです。
 学校再編は、地域・保護者との議論を重ねた上で、最終的には行政が、その責任で判断すべきと考えています。
 教育委員会としましては、引き続き、学校再編について、皆様に御理解いただけるよう取り組んでまいります。

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