調香師ってどんな職業?
香水をつくることを生業としている人のことを日本語では調香師、英語ではパフューマー(Perfumer)と呼びます。今回はそんな調香師についてのお話です。
何人くらいの調香師が日本にいるの?
何人くらいの調香師が日本にいるのかは正確にはわからないのですが、調香の専門学校の先生と話をする中では大体200人から300人くらいじゃないかといったところで意見の一致をみました。
日本では、この調香師という職業の方は非常に少ないのが実態です。香りを学んだ人の多くは、香水やシャンプーの香りの開発といったフレグランスではなく、食べ物や飲み物の香りづけを行うフレーバー業界に行く方のほうが数が多いという業界事情もあったりします。(市場規模が全然違いますので・・)
調香師はどんな企業で仕事をしているの?
調香師が所属する企業は、主には香料会社か化粧品会社、またはラグジュアリーブランドです。(もちろん独立して活動する調香師もいます)
まず香料会社ですが、みなさんは世界の3大香料会社といわれて、どこかわかるでしょうか。正解は、フィルメニッヒ、ジボダン、IFFの3社です。おそらく普通の日本人からすると、聞いたことがない会社なのではないでしょうか。ちなみに日本で最大の香料会社は高砂香料なのですが、一般知名度の高さでいくとまだまだ知っている人は多くないかもしれません。このあたりの香料会社事情についてもまたいずれ書きたいと思います。
細かい事情はともかく、このような香料会社に勤務する調香師は、企業から依頼を受けて香りを開発したり、新しい香料の研究開発を行ったり、といった仕事を行っています。世界3大香料会社の調香師ともなると、エリート中のエリートといった印象です。
しかし、調香師として誰もが憧れる一番の舞台は、やはりラグジュアリーブランドの専属調香師です。
私の調べた限りでは、世界でインハウスパフューマー、つまり専属調香師を抱えているラグジュアリーブランドは以下6ブランドです。
Louis Vuitton
Hermes
Chanel
Christian Dior
Cartier
Guerlain
おそらく、香水に詳しい方でないとGuerlain(ゲラン)を知らない方が多いかもしれません。ゲランはフランスの歴史ある香水ブランドでして、創設者となる初代ゲラン氏(なんと1798年生まれ)から脈々と受け継がれてきた伝統を持ちます。いまはブランドとしては残りつつもルイヴィトンを展開するLVMHグループの傘下にあります。
これらの企業に勤務する専属調香師は、それぞれのブランドの名前を背負って立つ香水を開発し、世の中に出していくことを仕事とします。トップデザイナーに勝るとも劣らない、非常に華のある、そして猛烈なプレッシャーがかかる仕事ともいえます。
例えば、エルメスの伝説的な調香師であったジャン・クロード・エレナ氏は、就任以来、「ナイルの庭」「地中海の庭」「ローズ イケバナ」などを発表し、特に庭シリーズはとんでもないヒットを叩きだし、その売上とブランドの価値を大きく押し上げたと言われています。
エレナ氏は、「香水─香りの秘密と調香師の技」や「調香日記」といった書籍も出版していますので、エルメスの香水が好きな方はぜひ手に取ってみてください。そして香りの、こちら側の世界へぜひ来てください。お待ちしています。笑
ところで専属調香師を持っていないブランドはどうしているかといいますと、基本的には香料会社、あるいは独立した調香師に依頼して、香水の開発を行うこととなります。
どうやったら調香師になれるの?
日本であればいくつかの専門学校がありますので、そこに通って調香の技術を身に着け、そして香料会社や化粧品メーカーなどに就職するといった道があります。あるいは薬学や化学系を専攻し、大学・大学院卒後に香料会社や化粧品メーカーに就職し、香料開発系の部門に配属される、という形でキャリアを始める方も多くいらっしゃるようです。
しかし、厳しいことに、なかなか日本から世界に誇るトップパフューマーが誕生することが少ないのが現状です。もちろん、日本発で世界的な評価を得ている香水ブティックもありますので、一概にはいえないのですが、やはり欧米つよし、な業界であることは否定できません。
ラグジュアリーブランドで活躍する調香師たちの経歴を見ると、まずはどこかしらの調香学校を卒業する、orどこかしらで調香に関する経験を積む⇒ジボダン、IFFが運営しているパフューマリースクールに入学する(フィルメニッヒは学校を持たないようなので、いい感じに弟子入り先を探すしかないようです)⇒香料会社での下積みの開始⇒名をあげてヘッドハンティングされるといった感じです。
うーむ。まさにルイヴィトン本社でトップデザイナーになりたい、というくらいの世界であることは確かです。日本に世界的な香料会社が直営するパフューマリースクールがないのがつらいところですが、いつか日本人が世界のラグジュアリーブランドで香水を開発する姿が見たいものです。
最後に、弊社サービスについての簡単なご紹介です。私は香りは、音楽や絵画と同じ、もしくはそれ以上に豊かな表現方法だと思っています。
香りが素晴らしい表現方法であることをもっともっとみなさんに知っていただきたい!!!という思いで、「大切な推しに、調香師監修のパーソナライズフレグランスを。」をコンセプトにしたサービスを立ち上げました。
なぜ、この香りがイメージにフィットすると考えたのか、を記載した香りの解説レターも1枚1枚、作成しておつけしています。ぜひ以下のサイトに遊びに来ていただければ幸いです!
https://scently.jp/