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書くと変わる『見ているようで見てない』ぼくたちの見る力

みんな大好きTHE YELLOW MONKEYの曲に『見てないようで見てる』という名曲があります。ライブで吉井さんが、めっちゃ踊るナンバー。
んで、ぼくたちの日々はその逆。『見ているようで見てない』のです。

なんのこと?と思うかもしれないけど、ぼくたちの見る力のことです。

スマホのうらっかわって、パッと思い浮かびますか?

いま、スマホでこの記事を読んで頂いているとしたら、スマホのうらっかわってどんな風か、わかります?
あ、ひっくり返しちゃダメです!

カメラのレンズって、どんな形なのかとか、ロゴはどこら辺にあって、どんな形なのか……とか、思い出してみてください。できます?

いつも使っているスマホなのに、画面を伏せてテーブルに置いてたりするのに、ありありとそのうらっかわをイメージできる方は、少ないと思います。

これまた、あなたが毎日使っているであろう、お箸はどうですか。イメージできます?

歯ブラシは?
部屋の時計は?
お財布は?
お気に入りの指輪は?

毎日のように目にして、手にも触れているはずなのに、改めて言われるとイメージできない、のではないでしょうか?

もちろん、こんな感じでぼんやりとは思い浮かぶと思います。

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でも、細かいところまでは全然わからない。
ですよね?

ほら、ぼくたちは、結構、目を使ってない。
というか、見てるようで見ていない。

絵に描いてみたら、見えかたが変わってくるはず

でも、一回でもスマホのうらっかわを、絵に描いてみたらどうでしょうか?

絶対、見え方が変わってきますよ。うまい下手は気にせず、ちょろっと絵に描いてみてください。

「あ、ここ、こんなふうにでっぱんてんだ」とか
「レンズの横に、こんなポッチがあったのね」とか

いままで見えてなかったものが、見えてくるはずです。

知らないことに、気づくと気になる

で、ぼくがなによりも心配なのは、一番『見ているようで見てない』ものが、ぼくら自身のことかもしれないってことなんです。

たとえば、シナリオを書いてみるとします。
そもそもシナリオとは、人間ドラマを映画やテレビドラマという媒体を使って、映像化するための設計図です。

で、このシナリオの基本に、登場人物のアクション・リアクションを描くというのがあります。

シナリオを書こうとすると、もしもこんな状況に、太郎が遭遇したら、どんなことを言うだろう、どんなことをするだろう……ということを考えます。

そして、太郎が言ったセリフに対して、次郎はどんなことを言うか、居合わせた花子ならどんなことをするかを考えたりします。

「ドラマを追求するためには、その人物なり、周囲の事情というものが決定します。その人物が、どうした事情にいて、どうした環境(周囲)におかれているかを、はっきりと作者自身が見つめなければ、ドラマはできません」
新井一『シナリオの技術』p84より

シナリオを書くと、気づきます。
あれ?見慣れているはずの『人間』、わけわかんなくない……って。

これ、とても大事だと思うんです。

たとえば、15歳の男の子を主人公にしてシナリオを書こうとします。
「あれ、今どきの子ってなに話すの?」と知らないことに、気づきます。すると、15歳の男の子が、どんな風にしゃべったりするのか、気になってきます。

たとえば、自分と同世代の女性を主人公にシナリオを書こうとします。同世代といえども、育ちも考え方も違います。
いままで何気なくしていた友達の会話の内容、友達のしぐさや表情まで気になってきます。

15歳の男の子も、同世代の女性も、外を歩けば山ほどいます。
でも、描こうとすると、ふっと筆が止まるはずです。だって、『見ているようで見てない』から!

知らないなぁ……と気づき、
知りたいないなぁ……とアンテナを張る。

これをカッコよくいうと『作家の眼』といいます。宮崎駿監督は、電車の中で中学生とかが話していると、1分間に何文字くらい話すのかを、指を折って数えたりするそうです。

シナリオを描くことが、目を『作家の眼』に変える

シナリオを書く前と後では、ものの見方が変わるはずです。すでに書いている方、どうですか?そう思うでしょ。

「芸術活動の追求は、本来的に自己分析の過程なのである」
ハーバード・リード『芸術による人間回復』p131より

ぼくたちは、意外に周りの人に注意を払ってない。もしかしたら、自分自身にさえも、注意を払ってないかもしれない。

だって、そうしなくても生きていけるから。
スマホの裏側なんて知らなくても、操作できるのと同じです。

でも、『人間』について、そんな風に無関心でいいのかな?
だって、優しさって想像力から生まれると思うから。ぼくらは、見るべきものを見れているのかしら。

だから、シナリオ・センターは、おせっかいにも日本中の人にシナリオを書いてもらいたいとおもってるんですよね。
今回の、シナリオを書くとおきる『いいこと』おすそわけでした。

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あらいかずき/シナリオ・センター
シナリオ・センターは『日本中の人にシナリオをかいてもらいたい』と1970年にシナリオ講座を開始。子ども向けキッズシナリオも展開中。アシスト、お願いします!! https://www.scenario.co.jp/project/kids_assist/index.html

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