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さあどうする原発!【第16回白馬会議ご案内】

【第16回白馬会議ご案内】 この4月15日ドイツは全土の原発廃炉化を完了させた。日本は5月12日、従来の原発可能運転期間40年の実質延長と原発新増設を認める法案を国会採決した。ドイツが全土廃炉を決断したのはメルケル前首相が福島原発事故をチェルノブイリの悪夢に重ねたからであった。一方、事故現場の偶然と僥倖で「東日本壊滅」を免れた日本は原発回帰を模索し始めている。(添付『世界経済評論IMPACT』論考ご参照)

拝復、
市川周さま、白馬会議でトークされる澤田哲生さんは、大学の大先輩です。おそらく白馬会議にご縁の深い飯田哲也さんも私の大先輩です。文中ご指摘の鈴木一人さんを存じ上げています。2000年前後のパリ留学時代に、国際学生都市というところでお会いして雑談をしたことがあります。民間事故調の座長をおやりになったのですね、ご健勝の至りと存じます。

今回の登壇者のテーマに沿えば、澤田哲生氏のご意見が私にはピッタリ来ます。大事故だったからといって、原発全廃をやると、原発がいかに悪いものであるかをすべて消し去ってしまって、人類の学習にはなりません。蒸気機関車は廃止になりましたが、ローカル線や展示などで残しておくと後学のためになる、というのと同じで、全廃よりもいくつかは残しておく方がよいと思っています。しかしそれも程度問題で、現今の欲張り政権のように30基も稼働させるのではなく、5基未満が数的には妥当と思います。

澤田さんは湯川秀樹博士の跡を継ぐ素粒子物理研究室をでられて東工大の原子力で教鞭をとられました。私は、湯川研究室のとなりの荒勝文策博士の跡を継ぐ原子核物理研究室をでました。湯川荒勝両氏ともに戦前戦中の海軍委託で日本製原子爆弾の研究開発(F研究)をされました。私が学生の頃、荒勝氏が台湾から持ち帰ったコッククロフト静電加速器を年一回掃除するのが恒例でした。飯田哲也さんは原子力工学科の数年上の先輩で、原子力安全員会に出入りされる大先生の薫陶をうけられています。私も不詳の後輩でありながら非常に大事な人生の指針を与えていただきました。

民主党政権時に国会でフクシマ311後の原子力政策を問われた浜田和幸元議員は私の同郷の大先輩でもあり、質疑にあがったオメガ計画は私がフランス滞在当時どっぷりとつかっていた政策でもあります。仏から帰国後、文科省で政策にたずさわってからは原子力の現場には直接はいませんが、いまも東海村で稼働しているジェイパークという施設機構の名前を付けたのは私です(職員公募のため)。渡仏直後に東海村JCO事故が起こり、前回申し上げました「夢のお告げと原子力」により、私はからがらこの事故を避けたことになります。JCO工場は水戸から東海村への朝夕の通勤時に目にしていた建物です。

仏から帰国後すぐに石井こうき議員事件があり、90年代に原子力東海村の現場で見聞した事件と重なり合って大変驚きました。ジェイパークはオメガ計画でいうところの加速器駆動型原子炉燃焼(ADR)を扱う予定でしたが、浜田元議員のご質問にあったように、オメガ計画自体がタブー扱いになっており消滅処理までは至っておりません。

キュリー夫人のラジウム元素発見の功績にあやかって私の郷里の三朝温泉(ラジウム温泉)では毎年キュリー祭りを行っております。三朝ラジウム温泉の近くにある人形峠と言うところではウラン鉱がかつて採掘され、私共学校生徒の遠足でもよく行きました。あとでわかったことですが、人形峠ウラン鉱を開発していた旧原子燃料公社は私の生家の真ん前にありました。仏滞在時、コレージュドフランスに設置してあったキュリー夫人たちのつかったサイクロトロン加速器研究室が私のいたラボです。ラボで私が師事したのは、元フランス軍将校でムルロア核実験などの核燃焼暴走の数値シミュレーションを専門とする研究者でしたが、その当時に私がやっていたのは、先述の加速駆動型原子炉燃焼の数値シミュレーション(ADR)俗称ルビアトロンでありました。

戦中、戦後の原子力の歴史はそのまま頭に入っています。90年代以降の原子力を振り返って、最近いくつか問題提起を差し上げています。ご参考まで。

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さあどうする原発!我々はドイツの選択をどう考えるか?日本の未来を見つめ北アルプスの麓、白馬で真摯に

議論をしてみたいと思う。是非、ご参加ください。

 昨年の白馬会議に登壇された鈴木一人氏(東京大学公共施策大学院教授)は福島原発事故10年検証委員会で下記3つの検証視点を提示している。

(添付インタビュー記事参照)今年の白馬会議ではエネルギー戦略としての原子力の意味を問うとともに、福島原発事故のような「国家壊滅的リスク」に遭遇した時の日本人の在り様、在り方についても議論したいと思ってます。

≪検証1≫日本という国は、福島原発のような事故があっても変わらない。「悪者探し」の裏返しで、「どこが悪い」というと、その悪い所だけ直せばいいとなる。それで「やった感」を見せる。「やったからいいでしょ」という逃げを打つ。でも、「じゃあどうすればいいのか」となった時に、問題点として指摘されたところだけに注目し、「なぜそうなったのか」という根っこの所にアプローチしていかない。

≪検証2≫日本社会というのは、地震や災害などいろんなリスクを背負っているが、そのリスクを「全部分かっていないとイヤだ」という社会だ。だからリスクはノウン(既知)なものにして「これだけやっていれば大丈夫」という安心を優先する。言い方を変えると、アンノウン(未知)なリスクはないことにする。しかしそうなると、アンノウンなリスクが来てしまった時にみんなパニックというか、どうしようもなくなる。これが結局、福島の事故だった。

≪検証3≫日本人は小さな安全のために大きなリスクをずっと後ろ倒しにしていく。リスクがどんどん積み上がっていって、あまりにも大きくなり過ぎると、何とか解決しなければいけないと“在庫一掃セール”みたいな対応をする。日本ではさまざまな場面で、そういう一発逆転の手法を取らざるを得ないことが多い。でも、一発逆転の手法を取る間もなく起こってしまったのが、福島原発事故だ。

【4つのセッション】

「大地震と原発事故―過去の教訓にどう立ち向かうか?」  by 立石雅昭氏 新潟大学理学部名誉教授

「原発の正義とは?原発訴訟での司法の役割と可能性」   by 樋口英明氏 福井地裁元裁判長

「やってはいけない原発ゼロ―人類文明と原子力技術」   by 澤田哲生氏 エネルギーサイエンティスト

「原発はグリーンか?―目指すべき脱炭素化戦略とは」   by 松久保肇氏  原子力資料情報室事務局長

【日 時】 2023年11月18日(土)~19日(日)   【会 場】 長野県・白馬樅木ホテル 

【定 員】 先着70名 【主 催】 白馬会議運営委員会

【詳細・申込】 白馬会議HP ➡ https://www.hakubakaigi.com/

※本メールは参加申込済みの方にもお送りしております。

【ウクライナと核】侵攻は9年前に始まった ゲスト:小泉 悠(東京大学先端科学技術研究センター 専任講師 )VTR出演:マリアナ・ブジェリン(ハー... https://youtu.be/X9GHenuCvMg?si=YfkCP50b-l5AV5kH @YouTubeより


補足資料

ビジネスインテリジェンス日仏連携会員の発表を掲載しています。

有料記事配信(シナリオ25)
●核地政学レポート(日本安全保障フォーラム)

当日のシンポジウムではお見せ出来なかったものも含めて、すべてのスライド資料を提示いたします。この記事を購入された方で、ご希望の方にはオンデマンド、P2Pで解説、ご説明、コンサルティングをお引き受けいたします。

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