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全日本「大したもんだ」選手権

僕は準優勝だった。準優勝は敗者に与えられる最高の栄誉である。ただ僕は敗者であることに変わりなかった。どこかで「自分は勝者」であるというアイデンティティを見つけたくて、散らかったシンク下を覗いたけど珍妙な捻りを決めたパイプがどこか際立って見えた。パイプの捻りとかウネりを見ていた。でも視界の中にはその捩れや歪みとかじゃなくて真っ直ぐとカップヌードルBIGシーフード味があった。BIGな男になりてぇという志を与えしそのインスタント食材を手に取った。その日のことを忘れないようにカップヌードルの下に触れたが、あの時まであったはずの蓋を止めるのシールは既に撤去されていた。僕の心は駐輪場でもなく、家の敷地内じゃなく、路地にあって撤去されていた。微笑みを失った比較的大きなトラックに積み込まれて心が運ばれていく。市や区の感情の無い施設に、カップヌードルの蓋を止めるシールや僕が割と勝者であるという事実が丁重に並べられていたので引き取って帰ろう。

歩きで。

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