卒業制作終わったけどどうだった? 2021 〜学生インタビュー 板東ゼミ編〜
2021年度の卒業・修了制作展から早くも1ヶ月が経ちました。
各ゼミの皆さんに卒業制作を振り返ってもらってインタビュー!
葛藤やこだわりなど、掘り下げてお聞きしました。
今回は板東ゼミです!
『都市の菓子化 -omotesando』 ゼミ長 K.Rさん
1年間のゼミを振り返ってみて一言お願いします
ナニクソ精神の集まりだったと思う。みんな真面目で優しくて凄い、しかも偉い。
自身の作品の解説をお願いします
「食べられないはずの物が美味しそうにみえる」という自身の経験をきっかけにした作品。表参道に軒を並べる建物は個性的なものばかりで、わたしはそれらの建物に高級なケーキの造形に似たものを感じた。建物の外装やショーウィンドウを手がかりに菓子化し、ケーキアベニューを制作。そこから建物とケーキ、食べられるものと食べられないものという全く正反対の位置にある二つの共通点は味覚と視覚の共感覚にあると考えた。ガラスの艶や透明感はゼリーのシズル感に繋がり壁面に沿った装飾はケーキのデコレーションクリームを思い出させる。美味しいかたちで溢れた表参道はやはりケーキの街である。もしかしたら表参道や原宿に若者が集まるのは建物が美味しいスイーツだからかもしれない。
どのような制作スケジュールで進めていきましたか?
作品のきっかけは最初からあまり変わらず6月まで別の表現で作っていた。中間プレゼンを経てやりかたを変えた方がいいなと思い、そこからゼミで方向性を決めて行く中で色と々教授と揉め、最終的な表現方法を決めるのに時間がかかった(無理すぎ)。夏休み中は作品形態はきまっていなかったもののとりあえず学校に行って色々な樹脂を買って試してみたり、クリームを塗ったりしていた。9月の中間プレゼンで最終的な表現方法を決め、10月から本格的にケーキを作り始めた。最後らへん洗面所や階段で寝落ち。半泣きになりながらラストスパート駆け抜けた。
制作費はいくらですか?
口座に入っていたはずの35万が丸々消えたのとプラスで親に借金したのでざっくり40万くらい。
大変だったところはなんですか?
本音を言うと全部。精神面では自分がやりたい事、今まで何をどうやって頑張ってきたのかが途中で分からなくなり病気みたいになった。技術面では初挑戦の素材を扱ったこと。特に樹脂が大変だった。温度によって気泡の出方が違うし数日たたないと固まらない。混合する液の分量もミスったりして沢山失敗した。ケーキ一つ一つ形も素材も違うのでお手伝いさんに頼むこともできず製作にも時間がかかった。
制作においてこだわった点はどこですか?
建物モチーフとはいえ作っているのはケーキなので美味しそうに見えるようにする事。実際に粘土をオーブンに入れて焼いてみたり、真空米櫃を使って樹脂の気泡を抜いたり、その他にもハケや包丁など実際の調理器具を使って製作した。効果あったのか分からないけど。
やってよかったところはありますか?
実際展示してみると建築学科生や建築関係のお仕事の人に喜ばれた。パティシエの学校に通ってる子も写真を撮っていってくれたらしい。全然予想してなかった事だったので素直に嬉しかった。
次の4年生に一言お願いします!
どんな意見にも振り回されないで自分のやりたいこと、好きなことを見失わないでください。あとお金はかからないようにしても絶対必要になってくるので貯めておいた方がいいです。共工のライセンスちゃんと取っとくと便利。MAXハートで後悔のない卒制ライフを送ってください。
『 半分の顔 』 石添輝さん
自身の作品の解説をお願いします
半分の顔というテーマで、ポスターをB0サイズで9枚制作しました。
どのような制作スケジュールで進めていきましたか?
最初の頃は、古典的な作品を見て色々考えていました。エドワードホッパーのナイトホークス、ポーランドのポスター、不条理文学、シュルレアリスム宣言などを見て、10月に最終的な卒制のテーマを決めました。それから、12月の中旬の印刷の締め切りまで制作をしました。
制作費用はいくらですか?
基礎デ研での印刷代3万、貼りパネル代3.5万、その他展示などの材料費2万、総額8.5万円ぐらいです。
大変だったところはなんですか?
テーマを決めるのが大変でした。社会に対して、自分は何ができるのかを考えるのが難しかったです。
また、作っている最中に、自分は何故卒制を作っているのかわからなくなったのですが、ゼミ内で他の人の作品や、当時放映されていたアニメの「Sonnyboy」の3,7,8,11,12話を繰り返し見ることでなんとか乗り越えました。
他にも、展示会場の高さを測っておらず、土壇場でポスターを少し切らざるを得なくなったことが、とても冷や汗をかきました。
制作においてこだわった点はどこですか?
色は、異常気象の光に照らされた感じをイメージしてます。形は、顔がUFOのように空に浮かんでいるイメージです。見た人に少し違和感を感じてもらえるように制作をしました。
また、エドワードホッパーのナイトホークスのように、暗い当時の現実を捉えつつも、それ以上に、その暗い現実の中にある少しの明るさも感じられる作品になったらいいなと考えていました。
やってよかったところはありますか?
完成して展示を公開しているときに、僕のポスターの前で子供が記念写真を撮っていた光景がすごく良かったです。
次の4年生に一言お願いします!
来年の卒制では、グラフィックデザインの作品をたくさん見たいです。よろしくお願いします。
『 書の味わい 』 小山 美有奈さん
自身の作品の解説をお願いします
書籍とは表紙、小口の断面、花切の色やページ数で印象が変わってきます。そんな印象の違いから生まれる書の特性と魚の個性と結びつけ、卒業制作では14種の本を制作しました。
魚は第一印象を見た人に強く残しますが、実際にはその中身を味わって食べています。書籍も初見の印象は表紙によって決まりますが、知識として蓄積されるのは本文に書かれている内容です。この一見離れているようで実は類似している関係性を伝えるべく、比率・質感・小口・花切れ・スピンなど書籍を構成する要素とパッケージ、ガリを組み合わせることで、書と食両方を味わえる展示空間を構成しました。
どのような制作スケジュールで進めていきましたか?
卒制の方向性が決まったのが8月後半。10月までに全ての種類の本を一冊ずつ作り終え、作品をブラッシュアップさせる期間が1月上旬まで続いていました。
制作費はいくらですか?
10月から計算しはじめたので正確ではないですが、
出力代…23万
紙代…9万
スタジオ代…6万
真空パック代…3万
什器代(パネル代やペンキ代など含む)…3万
その他モチーフになった魚代や製本用の部品代など諸々合わせて54万かかりました。
大変だったところはなんですか?
テーマを決めるまでが一番大変でした。自分が納得する方向性がわからないまま模索する期間は作業に身が入らず、とても苦しかったです。自分の作業がなかなか進まない中、周りのゼミ生たちがどんどん作品を作り続ける姿を見て焦る気持ちもありましたが、そんな環境だからこそ「やってやる!」と身が引き締まり、モチベーションを維持したまま過ごせたのかと思います。
制作においてこだわった点はどこですか?
小口に浮き出る「血合い」を表した部分は特にこだわりました。血合い特有のカーブをつけるために1ページごとにパースの微調整をする作業はかなり気が遠くなりましたが、製本をし終えて浮き上がった小口を見たときの感動もひとしおでした。
やってよかったところはありますか?
紙の種類や依頼する印刷所を変える場合は毎回テスト印刷をし、作品ごとの仕上がりを確認する作業を行った点はやってみてよかったです。卒業制作に限らずPC上で制作した作品を出力する時、自分が納得するまでテスト印刷を繰り返すことはデザイナーとして欠かせない作業だと思います。卒制で身につけた習慣を失わず、今後も当たり前のように続けていきたいですね。
次の4年生に一言お願いします!
卒制で相談に乗ってくれる人は大学内だけではなく学外にもたくさんいます。苦しい時こそたくさんの人を頼って、素敵な作品を作って下さい。応援しています。
『 いきもの発見 ーテクスチャーと色から広がる世界ー 』 ヨコイさん
自身の作品の解説をお願いします
子どもたちが作る楽しさとイメージの世界を広げるための作品です。夏休みに感覚が刺激されるようなワークショップを行いました。5人の子どもたちは素材の手触りからイメージを膨らませ、自分だけのいきものを作ります。ワークショップでの素材に触れた感覚がよみがえるよう、質感や音を使ってアニメーションを制作しました。自分といきものが映像の中で触れ合ったり一緒に踊ったりすることで現実とイメージの世界を横断できるのではないかと考えました。
どのような制作スケジュールで進めていきましたか?
前期はテスト撮影やワークショップの準備、夏休みはワークショップ、後期はひたすら撮影でした。全体の計画はすぐ崩れたので1週間ごとにノルマを決めてやっていました。
制作費はいくらですか?
25万
大変だったところはなんですか?
暗室での作業です。暗いところに1人で長時間いると病んでいくのがわかりました。
制作においてこだわった点はどこですか?
子どもたちが作ったいきものの質感の再現や、実際にワークショプで使った素材で音を作るなど映像で質感が感じられるようこだわりました。
やってよかったところはありますか?
前期にテーマで迷ってましたがすぐに作業しないと間に合わないとも思ったので、早急に「作品協力のお願いメール」を送って自分がテーマから逃げれないようにしました。あの時腹を括っていなければ間に合わなかったと思います。
次の4年生に一言お願いします!
自分を信じてゆくのだぴょ~ん!(「ミニモニ。じゃんけんピョン!」より)
板東ゼミの皆さん、ありがとうございました!
卒展前に板東教授にインタビューした記事はこちら↓
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