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サプライチェーンデザイン 4.0カンファレンスTOKYO 2024 レポート


BigM株式会社からのご挨拶

今日のサプライチェーンは、急速な市場の変化や技術進化に直面しています。競争上の優位性を確保するためには、ビジネス/サプライチェーン戦略と
サプライチェーン管理を結びつけるサプライチェーンデザインの取組が不可欠です。そして、サプライチェーンデザインにおける意思決定を支援するテクノロジーは革新的な進歩を遂げており、次世代のサプライチェーンデザイン 4.0に位置づけられるアプローチを実現しています。
2024年11月8日に、BigM株式会社Optilogic社で主催した「サプライチェーンデザイン 4.0カンファレンス TOKYO 2024」では、最新のサプライチェーンデザインの潮流、最先端のサプライチェーンデザインがもたらす変革、民主化を実現するテクノロジー、そして企業の強みを一層強化されるお取り組みをされている企業の皆様の実践事例について講演いただきました。さらに、日本におけるサプライチェーンデザイン・意思決定に携わる皆様が集い、交流いただける貴重な機会となりました。
おかげさまで多くの方々にご参加いただき、大変充実したカンファレンスを開催することができました。この場が、サプライチェーンデザインに携わる皆様の情報交換の場としてご活用いただけたことを、心より感謝申し上げます。

日本市場におけるBigM株式会社とOptilogic社のパートナーシップ

Optilogic社は2018年にLLamasoftの創業者・元CEOであったDon Hicks氏によって創設され、財務・サービス・リスク・サステナビリティのバランス化を実現するサプライチェーンデザインテクノロジーの提供によるサプライチェーンデザインに携わる人々や組織の成功に注力をしている企業です。Optilogicが提供する100%クラウドネイティブ・サプライチェーンデザインソリューションCosmic Frogを世界に展開し、米国・英国・クロアチアにオフィスを構え、日本市場においては、BigM株式会社と2022年よりパートナーシップを締結しテクノロジーとサービスの提供を行っています。

Optilogic社 創業者兼CEO Don Hicks氏のプレゼンテーション

Don Hicks氏のプレゼンテーション

Don Hicks氏のプレゼンテーションは、聴衆をサプライチェーンデザインの未来へと誘いました。彼の情熱的な語り口は、単なるテクノロジーの話ではなく、企業の成長と社会への貢献を結びつける、より大きなビジョンを示唆していました。

Optilogic社が開発したCosmic Frogは、そのビジョンの具現化と言えるでしょう。このクラウドベースのプラットフォームは、サプライチェーンデザインの民主化を加速させます。従来、専門家のみが扱えた複雑なサプライチェーンの最適化を、Cosmic Frogは直感的なインターフェースと高度なアルゴリズムによって、より多くの人々に開くのです。

Don Hicks氏は、サプライチェーンプランニングとサプライチェーンデザインの違いについて強調しました。サプライチェーンプランニングとは、現状のサプライチェーンをより効率的に運用するために、具体的な計画を立てることです。例えば、在庫の最適化、生産スケジュールの調整、輸送ルートの改善などが挙げられます。いわば、今あるサプライチェーンをより良くするためのチューニング作業と言えるでしょう。一方、サプライチェーンデザインは、未来を見据えたより根本的な改革です。現状だけでなく、将来のビジネス環境の変化や顧客ニーズの変化を予測し、それに対応できるようなサプライチェーンの構造そのものを見直します。これは、新しい製品の導入、市場の拡大、サプライヤーの変更など、根本的な変化に対応するための設計図を描くようなものです。

Don Hicks氏は、サプライチェーンデザインを革新的に支援するソリューション「Cosmic Frog」について、以下の3つの重要な要素から構成されていると説明しました。
1.テクノロジー:高度な分析とデザイン
Cosmic Frogは、サプライチェーン全体を数学的なモデルとして表現することで、非常に複雑なサプライチェーンの動きを詳細に分析し、未来を設計することを可能にします。数理最適化やシミュレーションといった高度な技術を活用することで、より正確なデータに基づいた意思決定を支援します。これにより、企業は、限られた資源を最大限に活用し、より効率的なサプライチェーンを構築することができます。
2.キャパシティ:組織全体の能力向上
Cosmic Frogは、サプライチェーンデザインに必要な専門知識やスキルを、企業全体に提供します。従来、専門家のみが行っていた高度な分析を、より多くの社員が手軽に行えるようにすることで、組織全体の能力を大幅に向上させます。これにより、より多くの社員がサプライチェーンデザインに関与し、新たなアイデアを生み出すことで、イノベーションを促進することができます。
3.アドバンテージ:競争優位性の確立
Cosmic Frogは、サプライチェーンデザインの専門性を、特定の個人ではなく、組織全体で共有することで、企業全体の競争力を高めます。迅速かつ柔軟に変化に対応できるサプライチェーンを構築することで、市場の変化を先取りし、競合他社との差別化を図ることが可能です。

Cosmic Frogは、サプライチェーンデザインを根本から変革する可能性を秘めています。数理最適化やシミュレーションといった高度な分析手法を組み合わせることで、企業はより正確な予測に基づいた意思決定を行うことができるようになります。特に、リスク分析の機能は、不確実性の高いビジネス環境において、よりロバストなサプライチェーンを構築するための強力なツールとなります。

Don Hicks氏は、サプライチェーンデザインは単なるコスト削減のための手段ではなく、企業の競争力強化に直結する戦略的な活動であると強調しました。Optilogic社は、テクノロジーと人間の共存を重視しています。そして、サプライチェーンデザインの未来に対する私たちの期待を高めました。Cosmic Frogは、その可能性を最大限に引き出すための強力なツールとなるでしょう。Optilogic社のビジョンは、テクノロジーを通じて、より良い社会を創ることにあります。

BigM株式会社 代表取締役 CEO 村儀実の
プレゼンテーション

村儀のプレゼンテーション

サプライチェーンデザインは、企業の長期的な成長と発展のための戦略的な取り組みとして位置付けています。アジア太平洋地域でサプライチェーン事業を手がけるビジネスリーダーの58%が、今後の成長への対応策としてサプライチェーンの強化をトップ3要因に挙げており、その中でも37%が最重要要因として位置付けています。また25%が、地政学的リスクの緩和をサプライチェーン強化の必要性として強く意識しており、サプライチェーンの安定的な運用に対する関心の高さを示しています。さらに、サプライチェーンの回復力への対応は、リーダーの50%以上にとってトップ3の推進要因であり、不確実な外部環境に対する備えの重要性を認識していることが分かります。このことから、財務的な側面だけでなく、顧客サービスの向上、不測の事態への対応力(レジリエンス)、そしてサステナビリティなど、評価すべき観点が多様化し、重要視される要素が継続的に増加しています。

BigMは、新時代のサプライチェーンデザインに求められるテクノロジー「サプライチェーンデザイン4.0」として2つのソリューションを提供しています。
1.Optilogic社 デジタルサプライチェーンデザインプラットフォーム 「Cosmic Frog」は、デジタルモデルを活用した最適化、シミュレーション、リスク評価エンジンです。複雑なサプライチェーンを可視化し、様々なシナリオをシミュレーションすることで、最適なサプライチェーンを設計することができます。
2.BigMのソリューション 「MatchSolve」は、サプライチェーン・物流における戦略政策テーマ/施策洗い出しプラットフォームです。サプライチェーン・物流領域における目標達成・課題解決はその多岐に渡る領域の特性から、どういった要素により、目標達成の道筋をたてることが可能か、課題の真因が何かを明らかにすることに多くの知見や工数、コストを要します。MatchSolveは要因分析から課題解決、戦略策定から実行まで、一連のプロセスを支援し、より効率的なサプライチェーンを実現します。

サプライチェーンデザインは、企業の競争力強化に不可欠な要素となっています。BigMが提供するCosmic FrogとMatchSolveは、企業がより効率的で持続可能なサプライチェーンを構築するための強力なツールとなることが期待されます。

Optilogic社 SupplyChain Design Consultant Hannah Wilborn氏のプレゼンテーション

Hannah Wilborn氏のプレゼンテーション

Hannah Wilborn氏は、最新のサプライチェーンデザインプラットフォーム、Cosmic Frogの最新機能について発表しました。Cosmic Frogは、より多くのユーザーが容易にサプライチェーンデザイン・意思決定・分析を行えるよう、以下の4つの主要な機能強化を行いました。

  1. モデルアシスタント機能の追加
    新規ユーザーにとって、複雑なサプライチェーンモデルの作成は大きなハードルとなることがあります。この課題を解決するため、Cosmic Frogには、モデル作成を段階的にサポートする「モデルアシスタント」機能が追加されました。この機能は、ユーザーが直感的にモデルを構築できるよう、テンプレートやガイドを提供し、スムーズなモデル作成を支援します。

  2. 分析ソルバーの拡充
    Cosmic Frogの分析機能が大幅に強化されました。特に、輸送最適化エンジンHopperとリスク評価機能の導入により、より高度なサプライチェーン分析が可能になりました。輸送最適化エンジンは、多様な制約条件下で最適な輸送ルートを計算し、輸送コストの削減に貢献します。また、リスク評価機能は、サプライチェーンにおける様々なリスクを定量的に評価し、よりロバストなサプライチェーン設計を支援します。

  3. AIによる自然言語処理によるモデル構築:Leapfrog
    Cosmic Frogは、AIを活用することで、自然言語によるモデルやデータの探索、理解、更新を可能にしました。ユーザーは、複雑なSQLクエリを記述することなく、自然な言葉でモデルに関する質問を投げかけることができます。また、AIは、大量のデータを分析し、ユーザーの質問に合わせた情報を提供することで、より深い洞察を得ることを支援します。

  4. Cosmic Frog App
    多くの企業がExcelを継続的に意思決定に日常的に利用していることを踏まえ、Cosmic Frogは、UIをExcelで容易に実装し、最適化シミュレーションをエンジンとして活用するApp構築・連携機能を強化しました。Cosmic Frog Appを使用することで、ユーザーは、Excelの表計算機能を活かしながら、Cosmic Frogの高度な分析機能を利用することができます。これにより、Excelに慣れたユーザーでも、簡単にCosmic Frogの機能を活用することが可能になりました。

これらの新機能により、Cosmic Frogは、より多くのユーザーが利用できる、より強力なサプライチェーンデザインプラットフォームへと進化しました。Cosmic Frogは、企業がより迅速かつ正確な意思決定を行い、競争優位性を確立するための強力なツールとなることが期待されます。

最先端事例の紹介

今回のカンファレンスでは、Optilogic社のCosmic Frogを日本発でスタートいただいた3社による実践事例が紹介・共有されました。

ロジスティード株式会社様:進化するサプライチェーンデザイン

田中様のプレゼンテーション

ロジスティード様からは、「進化するサプライチェーンデザイン」をテーマに、2017年よりサプライチェーンデザイン業務を開始し、新規顧客への物流提案や、既存顧客のサプライチェーン戦略策定支援、そして有償のコンサルティングサービスなど、これまでに200件以上のサプライチェーンデザインプロジェクトについてご紹介がありました。
Cosmic Frogのフルクラウド化によるシームレスなモデル共有や柔軟なライセンス体系、そしてグローバル領域でのサポート体制が、同社のサプライチェーンデザインをの更なる成長に貢献しています。導入後2年間で既に25案件の実績があり、その有効性が実証されています。
ロジスティード様は、物流の専門知識とデータサイエンス、豊富なプロジェクト経験と実績を活かし、顧客企業の物流最適化を支援しています。また、物流効率化法の改正に伴い、多くの企業がCLO(チーフロジスティクスオフィサー)の設置を義務付けられる中、顧客企業のCLO組織のロジスティクス戦略立案・意思決定の自走化を支援するサプライチェーンデザイン4.0を活用した新たなサービスの提供を通じて、その役割をさらに拡大していくことが期待されます。

住友商事株式会社様:競争力源泉としてのサプライチェーンデザイン4.0

穂積様のプレゼンテーション

住友商事様からは、「競争力源泉としてのサプライチェーンデザイン4.0」をテーマに、Cosmic Frogを活用した具体的な取り組みについてのご紹介がありました。
過疎地における人口減少や輸送インフラの老朽化、そして深刻化するドライバー不足といった課題に対し、ドローン物流実装に向けたロジスティクスデザインを検証。Cosmic FrogのTriad機能を用いて、ドローンの飛行範囲や配送量を考慮した最適な中継拠点の選定を行い、Neo機能でドローン導入による輸送ネットワーク・拠点の最適化をシナリオ分析されました。さらに、Hopper機能で既存のトラックルート再現とドローンによるルート最適化を行いし、両者を比較することで、ドローン導入による輸送コスト削減と人員削減の可能性を定量的に示しました。
住友商事様は、Cosmic Frogの活用を通じて、サプライチェーンデザインの効率化と高度化を推進し、コスト削減に留まらず、新たなビジネスモデル創出といった多岐にわたる成果を上げています。同社の取り組みは、
サプライチェーンデザインの分野において、業界全体のイノベーションを牽引するものとして期待されます。

株式会社荏原製作所様:環境変化に対応したネットワークデザイン

荒木様・武田様のプレゼンテーション

荏原製作所様からは、「環境変化に対応したネットワークデザイン」をテーマに、カンパニー間での調達機能の連携・統一化を目的とした新たな組織を設立し、ビジネス環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できるSCMデザインのご紹介がありました。
最適化モデルを複数の領域に分割し、それぞれのモデルをモジュール化するというアプローチを採用しました。このモジュール化により、分析速度の向上、意思決定の分散化、そしてThrogによる整合性の確保という3つの側面から、より迅速かつ柔軟なサプライチェーンマネジメントを実現しています。
荏原製作所様のSCMデザインは、最適化モデルのモジュール化という革新的なアプローチにより、ビジネス環境の変化に強く、かつ柔軟なサプライチェーンを実現しています。この取り組みは、ビジネス環境が急速に変化する現代において、他の企業にとっても、サプライチェーンの最適化を目指す上で重要な指針となるでしょう。

最後に

BigM社では、今回ご登壇いただいた3社様をはじめとして、多数の企業様に国内で唯一でOptilogic社のテクノロジーを提供しております。当記事内に記載しきれない詳細内容、またそもそものOptilogic社のCosimic Frogの機能について、ご興味をお持ちの皆様に是非、ご説明の機会を設けられればと考えております。ご質問やご意見などございましたら、info@bigm.oneまで何なりとご連絡いただければ幸いです。

サプライチェーンデザイン 4.0 カンファレンス TOKYO 2024
2024年11月8日 清澄庭園 大正記念館

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