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「特別な存在になりたい」という悩み。

こんにちは、スキャット後藤です。フリーランスの作曲家です。


僕には悩みがいろいろあります。そのうちの大きな悩みについて考えてみたのですが共通点がありました。それは「特別な存在になりたい」ということ。誰かにとって特別な存在になりたいとか、誰とも被らない唯一無二な存在になりたいとか、そういうことです。

例えば音楽の話でいうと、音楽が流れた瞬間に「あ、スキャットさんの音楽!」ってわかるようなものが作りたいですし、そういう音楽がつくれるにはどうしたらいいんだろ?って悩みます。作った曲の仕上がりがいまいち普通で他の人にも作れそうな時「もっと自分らしくするにはどうしよう?」「自分にしかできないアイデアってなんだろ?」って悩みます。売れたいとか、大金持ちになりたいってそこまで思わないのですが、たくさんの音楽がある中で「特別な存在になりたい」というのはすごく思います。

僕の場合、自分の作品を作ってファン相手に商売してるわけじゃないので、厳密にいうと好き勝手自由に作曲するのは難しいです。オーダーがあるので、それに沿ったものを作るのが職業作曲家の仕事だし、個性がある曲は嫌われる場合があります。音楽が作品の邪魔になるのです。それでも作品に違和感なく溶け込む音楽ではなく、この作品の色になる特別な音楽にしたいという欲が出てきて、いつも主張ある音楽を作ってしまいます。劇伴仕事の時は、「作る音楽は自分中心の好き勝手なもの、でも映像と合わさるとたくさんの人が楽しめるものになる」という二重構造でいつも音楽つくってます。でないと作品壊しちゃうので。

たくさんの人にとって特別な存在になりたいという気持ちもありますが、「特別な人にとって特別な存在になりたい」という気持ちの方が強いです。こういう精神はエンタメ作る人向きじゃないなーとも思ってます。たくさんの人が求めてるものを作るというモードになれないし、たくさんの人が求めてるものって何?ってなるし、もしそういうモードになったとしても何していいかわからなくて作る手が止まってしまいます。僕はあんまりサービス精神がない方だし、賑やかにみんなでウェーイ!ってやるタイプでもないし、みんなを楽しませるとかみんなで楽しむという精神がないんです。たくさんの人を喜ばせる才能ゼロです。Twitterでも、たくさんに拡散されるものより、特定の誰々さんに向けてツイートして、実際にその人が「いいね」してくれたら一人でニヤニヤしてるみたいな気持ち悪い地味な性格です。

関わる作品はできるだけたくさんの人に楽しんでもらいたいとは思うけど、個人的にはこの人に評価されたらそれだけで幸せみたいな方が強いです。999人良いと思ってくれてても、その1人が良しとしてくれなかったら意味ないし、逆に999人に拒絶されても、その1人が肯定してくれたら、そっちの方が嬉しい。M-1 グランプリに出場して、どれだけ得点高くても、ダウンタウンの松っちゃんの点数低かったら素直に喜べないみたいな。逆に他の人の評価が低くても松っちゃんが「いや、結構おもしろかったと思うけどな。俺は好きやけど」って言ってくれたら救われます。あ、でも特定の特別な人が喜んでくれた上でたくさんの人に評価してもらえるのはすごく嬉しいです。たくさんの人に評価されるものは興味ないという話ではないです。

一番になるっていうのも「特別な存在」ですね。なので、二番じゃ意味ないって思ってます。どれだけ健闘して僅差で二番だったとしても、結果から考えると、一番と二番の差はかなり大きいです。というか完全に敗北です。特別な存在になれなくて悩むんです。コンペなんてまさしくそうですよね。最後の2曲に残ってたけども最後の最後で負けてしまった。この場合の一番と二番の差はエグいです。一番は世の中のたくさんの人に聞いてもらえますが、二番は….。実際ぼくはこれを経験してしまったのでコンペに参加しなくなりました。参加すると相当悩んでしまうと思うので。どれだけ「いい曲ですね!!」って誰かに慰めてもらっても、二番だと意味がないんです。さっきの話は一番でも素直に喜べない、今回は一番でないと意味がないって言ってますが、さっきの話と矛盾にしてるように聞こえますが全然別の話です。


今まで選ばれなかった人生をずっと歩んできたので、自分に期待してないし、選ばれるとも思ってないのですが、でも「特別な存在になりたい」って思って悩んでしまうのはなんなんだろ?と思います。今までの自分だったらそんなこと考えなかったんでしょうけども、音楽をつくることで仕事にすることで小さな成功体験をしてしまったから欲が出てしまってるのかも知れません。いや、欲は出ててもいいと思うんですが….。

悩みが…と嘆いてても仕方なくて、冷静に考えたら、特別な存在になれない場所は諦めて他の場所にいくか、特別な存在になるために己を磨くか、そもそも特別な存在なんて幻想をいだかないで元の地味で普通を楽しむ人生で良しとするか、実際の選択肢はこんな感じですね。でも諦めるって難しいんですよね…だからきっとこれからも悩み続けるんだと思います。


まぁそんな感じで、今日は「特別な存在になりたい」というテーマで書いてみました。なんとなくTwitterの鍵垢に垂れ流しで書いてた感情をキッカケにnote記事を書いてみました。もしかしたら、この記事も誰か一人に向けて書いてるのかもしれませんね。最後まで読んでいただきありがとうございました!

あ、8/23からはじまる、ラバーガール単独ライブ「インフルエンサー」のオープニング音楽と幕間音楽つくりました。飛永さんが僕を音楽担当として選んでくれて非常に嬉しいです!!そろそろ10月クールのドラマの情報解禁もあるのでまた報告しますね。こうやって指名で仕事いただいてるのは、特別な事なのかもしれないですね。ないものねだりなのかも。

あと「フリーランス作曲家のための講座」も受講生募集はじまります!


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