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リミットレギュレーションとその評価

先日マスターデュエルのリミットレギュレーションに関するtweet(https://twitter.com/S_W_Rhapsody/status/1648584277066682368)に対して賛否を問わずそれなりに反響があったため、なぜ自分がこのような評価をしたのか言語化しようと思い記事を作成するに至った。
それでは早速本題に入っていく。

ティアラメンツへの規制

簡易融合

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):1000LPを払って発動できる。
レベル5以下の融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃できず、エンドフェイズに破壊される。

《簡易融合》は召喚権や共通効果を消費せずに《ティアラメンツ・キトカロス》の成立を可能にするという点で間違いなくティアラメンツにおける最高峰の初動であり、近年の簡易に対応する融合モンスターが増えている以上禁止も止むなしではあるが、とばっちりであるだとかそういう感情論を抜きに純粋に環境での立ち位置を見た際にこの禁止指定には一概に肯定できない要素がある、それがティアラメンツミラーだ。
筆者はミラーにおける《簡易融合》は後手への影響の方が大きいと考えている。
ティアラメンツの共通効果を止められる《ティアラメンツ・ルルカロス》に、フリーチェーンで墓地のティアラメンツを戻すことで実質的にルルカロスと同じ働きをする《宿神像ケルドウ》《剣神官ムドラ》…これら3枚で実質的にティアラメンツの融合召喚は全て止められるのだが、それらを乗り越えた上で融合召喚が通るにしても今度は《壱世壊に奏でる哀唱》が重くのしかかる。
《簡易融合》は前3つに対しては限られた融合回数を増やすことで貫通できる可能性を増やし、《壱世壊に奏でる哀唱》に対しても《ティアラメンツ・ルルカロス》を踏んだ後であれば《沼地のドロゴン》で水属性の《ティアラメンツ・レイノハート》や《ティアラメンツ・ルルカロス》、《深淵に潜む者》、また闇属性宣言をすることでその他の「ティアラメンツ」モンスターや《暗影の闇霊使いダルク》に対象耐性を付与し《壱世壊に奏でる哀唱》の発動そのものを封じることができるため後攻では先攻以上に重要な役割を持つカードでもあった。
(他にもこのカード自体がレベル4であるため《深淵に潜む者》の素材になり、そのまま《天霆號アーゼウス》で場を一掃する通称深淵アーゼウスを常に相手に警戒させられたりと役割は多岐にわたるが省く。)
先攻の《簡易融合》も安定性への貢献であったり《沼地のドロゴン》による《無限泡影》の貫通、リンク値やランク4の成立etc…と決して恩恵がないわけではないがそもそも先攻を取ってる時点で非常に有利な状況であり《簡易融合》はそれを後押ししているに過ぎず、また、それが特に顕著だったのが《簡易融合》だったというわけでもない。
実際のところ今回《簡易融合》が禁止になったことで「これでティアラメンツの出力が劇的に落ちるから後攻でも勝てるぞ!」と考える人は少ないだろう。
他のデッキにとっては精々先攻を取った際に手数を読みやすくなった程度であるからだ。

長々と書き連ねたが 《簡易融合》の禁止は確かにティアラメンツの出力を落とす要因ではあるもののそれが他テーマが実感できるほどのものではなく、さらにティアラメンツミラーの面白さが評価されているにもかかわらず先攻ゲーを助長することでその面白さすら失われようとしているため個人的には評価は高くない。
特に前者は多くのプレイヤーが不満に思っているだろうがティアラメンツ自体が昔のカードに頼らず大部分を最新のカードで構成している都合上しょうがないと受け止めてほしい。(もちろん後者への不満にも当てはまる。)
リリースから10日でメインギミックを規制する方が問題であり、また事前規制の時点でこれでもティアラメンツとしては10月環境のPHHY発売前というティアラメンツが環境で注目を集め始めた【イシズティアラメンツ】以降、《ティアラメンツ・キトカロス》を使用できた中では最も弱かった時期よりもさらに一段階弱いのだから。

内容自体の評価は低いがこういった事情を考慮した結果「しょうがない」というところに落ちついた。

おろかな副葬

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):デッキから魔法・罠カード1枚を墓地へ送る。

発表当時は意外に思ったものの墓地で効果を発動する魔法・罠が増えた以上、リメイク元である《おろかな埋葬》と同等の評価をされてもしょうがないかといったところ。
恐らくティアラメンツの安定性を削ぐ意味もあったのだろうがこのような出力を下げずに安定性を下げる方針は度を超すと使っている方も使われている方も前者は事故に、後者は上振れられた時だけ全盛期と全く変わらない出力で殴られることに腹が立つだけなのでゲーム体験として、また競技的にもどうかと疑念に思う。
無論、今回の《おろかな副葬》の制限でティアラメンツの安定性に難が現れるとは思わないが。
一応OCGでも10月環境のPHHY発売前にちらほら見かけた《救いの架け橋》を採用したティアラメンツがMD内でも流行したことが影響しているみたいだがティアラメンツの構築は非常に多様でありその内の1つが潰れた程度と考えるのが妥当だろう。

最終的な評価としては無難といったところ。

沼地の魔神王

星3/水属性/水族/攻 500/守1100
(1):手札・フィールド・墓地のこのカードは、
融合モンスターカードにカード名が記された融合素材モンスター1体の代わりにできる。
その際、他の融合素材モンスターは正規のものでなければならない。
(2):このカードを手札から墓地へ捨てて発動できる。
デッキから「融合」1枚を手札に加える。

今回の内容の中では最も評価が高く感心した1枚。
現状ティアラメンツに対しては《拮抗勝負》が有効とされ、それをケアするためには《フルール・ド・バロネス》を成立させる必要があり、そのために《宣告者の神巫》というほとんど墓地に落ちることでしか役割のないギミックを採用する必要があるが、近い内に実装される《暗黒界の龍神王 グラファ》を採用することで《沼地の魔神王》を採用したティアラメンツでは自然に魔法・罠をカットできるようになる他、さらに先、《ティアラメンツ・キトカロス》が禁止に指定されてもティアラメンツが平然とTier0に君臨していたのはやはりこのカードの存在が大きいと言わざるを得ないだろう。
(現状でもMDで《亡龍の戦慄-デストルドー》《F.A.ライトニングマスター》を採用し魔法・罠をケアする構築が存在することも認識しているがメジャーではないため省く)
リリースから10日という異例の速度の規制やこのタイミングの《沼地の魔神王》制限に実際にそうなるかはさておきティアラメンツ環境を必要以上に続ける気はないという気概を感じる。
しかし、特に前者に関しては《沼地の魔獣王》を始めとする素材代替効果を持つモンスターでリペアが利かないか?と疑問を抱くプレイヤーもいるだろう。
《沼地の魔神王》は《融合》をサーチすることで《ティアラメンツ・キトカロス》に対する《無限泡影》の貫通は勿論、後手でも融合回数を∔1できることや《ガーディアン・キマイラ》の成立など素引きにも大きな役割を持っている。
それに対して《沼地の魔獣王》にはそれがなく、結局の所《宣告者の神巫》型との差別点でもある”素引きの強み”を失っているため《沼地の魔神王》が制限の状態で《暗黒界の龍神王 グラファ》が実装されてもティアラメンツが劇的に強くなるかと言われると肯定しかねるのだ。

総評としては非常に評価が高く、ティアラメンツの出力を抑え明確な弱点を残すことで他デッキに付け入る隙を作っている他、《ティアラメンツ・キトカロス》禁止後の環境も見据えた上での制限にMD運営の中に競技プレイヤーがいるとしか思えない。
上2つは個々の評価としては高くないのだがこれに関しては前述した通り最新のカードが大部分を占める都合上、多様すぎるティアラメンツの構築の幅を減らしメタを絞りやすくする規制しかできなかったためこれが評価値の上限でありしょうがない。
《沼地の魔神王》の制限もその一環ではあるが、その上でさらに掘り下げられる要因が大きいためこの評価に落ち着いた。

今後の構築についてもある意味二度目の事前規制により画期的な構築が出ることもなくほとんど変わり映えのしない構築に落ち着きそうである。
しかしDABLのカードプールが追加されると《赫の聖女カルテシア》《烙印の気炎》を採用した【気炎ティアラメンツ】、そして【深淵の獣】、さらに恐らくこの頃にはティアラメンツに大きな規制が入っている可能性が高いがPHHYのカードプールが追加された際にはもう一つの全盛期、【クシャトリラティアラメンツ】が成立し、また【クシャトリラ】自体も環境に及ぼす影響が大きいためティアラメンツの構築や環境が大きく変化するとすればこれらのタイミングだろう。

終わりに

Twitterでは賛否両論であり、筆者のように今回の内容を高く評価をするプレイヤーもいれば、全く弱くなっていないと酷評するプレイヤーも存在し、指摘する点に関してはどれも事実に基づいているためどちらが正しいだとかを主張するつもりはない。
しかし、最新のカードを短期間でこれ以上規制することは現実的ではなく、それを踏まえた上でもう一度考え直してみる必要があるのではないだろうか。
個人的にはテーマ本来の動きを尊重しつつもしっかりと付け入る隙を残したMD運営の手腕には感服するほかない。

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