安倍晋三氏の訃報についての個人的な思い
まず初めに、許されざる暴挙により凶弾に倒れ亡くなってしまった安倍晋三氏の眠りがせめて安らかであることを心から祈るとともに、このような蛮行に及んだ犯人を強く非難します。志半ばで、しかもこのような形で去ってしまうことになってしまった故人の無念さを思うと、いたたまれなく痛恨の極みです。一国民としてお悔やみ申し上げます。
一報に接してから時間が経ちましたが未だに動揺を抑えきれません。令和4年7月8日、歴史に残る出来事が立て続けに起こっているこの時代に、また大きく、そして許されざる事件が起きてしまいました。曲がりなりにも先進国の一つであり治安について世界から評価されている現代の日本において、しかも民主主義の根幹たる選挙の真っただ中に元首相であり現役の国会議員である安倍晋三氏が凶弾に倒れる。昨日の私にこれを伝えても、おそらく絶対信じなかったでしょう。
私は安倍晋三氏の熱烈な支持者というわけではありません。安倍政権下で行われた経済政策や科学技術政策には一言物申したいことをずっと抱えていました。しかしその一方で、安全保障政策や外交政策は評価できるものがあったと今も思っています。日本の国力がすべての面においてかつての勢いを失いつつあっても、世界における日本の地位、存在感を維持することができたのは安倍氏の外交手腕によるところが大きい。この度の暴挙に対し世界各国から深い哀悼の意が送られているのもその証拠でしょう。皮肉なことに、ロシアとウクライナが開戦以降初めて同じ立場に立って声明を発表したのは、終戦の宣言ではなくこの度の凶行に対する哀悼の意となってしまいました。インドとパキスタン、ロシアとウクライナ、イランとその他中東諸国、中国と台湾・アメリカ、相反する価値観と主張を持つ国々のどことも人脈と友好関係を築き、対話ができる立場を作り上げた安倍氏の手腕を私は強く評価しています。いろいろと功罪のあった方だとは思いますが、支持者の方々も意見を異としていた方々もこのような事態は望んでいなかったはずです。日本においてのみならず、今後の国際社会においても大きな損失となってしまったのかもしれません。犯人は本当にとんでもないことをしでかしてしまいました。
安倍晋三という政治家がこのような形で失われたというのも大きすぎるショックですが、それに加えてこれまで漠然と、根拠なく信じていた「日本とはこういうことがもう起こらない国である」という常識がもはやただの妄想となり、諸外国の凄惨な銃撃事件が他人事ではなくなってしまったんだという受け入れがたい現実を突きつけられてしまったというのも私の心を強く締め付けています。襲われたのが安倍氏だからショックを受けているのではない、たとえこれが別の政治家であろうと一般市民であろうとその思いは変わりません。
私の専門は化学であり、政治や社会については大多数の国民と同じ素人です。ですからそういった話題はなるべくTwitterやnoteでは出さないようにしてきましたが、今回の事件は私にとってあまりにショックの大きい出来事であり、どこかで吐き出さないとどうにかなりそうでした。どうかご容赦願います。
国民の信を得て国民の代表として尽力してきた安倍晋三という政治家を、選挙でも司法でもなく銃弾をもって攻撃した犯人。私はそこにいかなる理由があったとしても許しません。犯人は安倍晋三という政治家と共にこの国の民主主義と将来の可能性、そして日本国民の連帯によって維持されてきた安心安全な社会そのものを銃弾で貫きました。最大限の軽蔑と非難をし、私の思いとさせていただきます。
最後に、改めて安倍晋三氏の眠りが安らかであることを祈ります。