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【古代ギリシャ語の効用の話つづき】Googleクロームは古代ギリシャ語のχρώμα「クローマ」から?色彩⇒金属⇒ブラウザへとつながった変遷の物語!

ラテン語や古代ギリシャ語をやることの効用というテーマで、先日の記事では[Aのつく単語編][Bのつく単語編]を展開しました。

今回は[Cのつく単語]の中から、「実は古代ギリシャから生きている現代語」の例として、『クローム』を取り上げてみましょう

Chrome(クローム)の発祥源χρώμα「クローマ」は、「カラー(色彩)」のこと!

皆さんはこのnoteを読むのに、何を使っていますか? Chromeを使っていますか、Internet Explorerですか、FireFoxですか?

もしかするとこんな質問をすること自体がもはや少し古い世代の発想で、最近は「僕はiphoneだから選択肢はないよ」という回答で終わることも多いのかもしれませんが、なにはともあれ…

このロゴデザインは、いいと思いませんか

※左にいるブルーの奴の正体は後で説明しますね

かつてグーグルジャパンのオフィスで行われたイベントへ参加したことがあるのですが、オフィス配色からおみやげの小物配色まで「さすがにグーグルはそもそものデザインがいいなー」と感心し、以降、私の作るパワーポイント資料はすべて赤・黄・緑・青のクローム四配色にしてしまった経緯があります

それはともかく、chromeの語源をさかのぼると行きつくのは、古代ギリシャ語のχρώμα「クローマ」という単語となります。

なんのことはない、古代ギリシャ語における「色彩」の意味です

グーグルのクロームの他に、最近は以下のKhroma(クローマ)という

AIによる自動配色ツールなどというものが出てきました。こちらのほうが原義に近いですね。

Ghromeよりもギリシャ語の語源に近い無料AIツールKhroma(クローマ)は、かなり楽しいデザイン補助ソフト!

こちらのKhromaは、無料で使えるもので、以下のようなインターフェースで「自分の好きな50個の色」を直感的に選んでいくと、それをもとに「おすすめのカラーパレット」を人工知能が構成してくれるというもの

私はデザイナーではないので、このAIがススメてくるパレットがどれだけ「あっている」のかの判別はつきませんが、遊びでいじってみるにはとても楽しいツールでした。無料ですし!

何をおいても、配色で遊べるデザインソフトというのは、なんとなくいじっているだけでも右脳が刺激される感じが好きですねー。

古代ギリシャのχρώμαは、金属に化けたり、「モノクローム」という言葉に紛れ込んだりと大活躍!

ちなみにこのGoogle Chromeですが、実はオープンソースのベータ版のようなバージョンも提供されていて、それが先ほどの「青いロゴ」のバージョンです。これはChromium(クロミウム)といいます。

Chromiumとは、クローム金属のこと

それゆえサイトによっては「Google Chromeとはクローム金属から命名されたものである」と説明されている場合もあります。ソフトの来歴からすればその通りなのですが、けっきょくクローム鉱石をあらわすChromiumの語源も、古代ギリシャ語のχρώμαに収斂していくので、

ブラウザの名前のChromeも、同じGoogle提供ブラウザの別バージョンChromiumも、AIのKhromaも、そしてクローム金属も、みんなχρώμαを共通祖先に持つ兄弟たちです。

さらにいえば、英単語の中にchromeという言葉がしれっと隠れているものもありまして、例をあげると、

monochrome(モノクローム):chome(色彩)がmono(単一)ということですね

polychrome(ポリクローム):chome(色彩)がpoly(たくさん)。多色刷りのことです

なんていうものがあります。モノクロームなんていうのは日本語でもよく使いますね!

まとめ:しつこく強調している通り、実人生で使うことのない古代ギリシャ語を勉強することは、無駄なわけではない!

という次第で、今回は古代ギリシャの単語χρώμα(クローマ)が、どのようにその後継言語(ラテン語やら英語やら)に継承され、現代のデジタル世界のアプリケーション名にまで生き延びているか、というお話をさせていただきました。

結論は、このシリーズの定例のとおり。

古代ギリシャ語なんて実人生で使う機会は(タイムスリップでもしない限り)絶対にないと思いますが、やっておくと、現代のいろんな言葉の来歴が見えてきて、言葉に対する感受性が深まる効用があるぞ、というお話でした。

英語のテストの点数も、多少は、あがるかもしれません!多少は、ですが…。

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