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欧州出張記@SOC(その2:アールト大学見学)
2022年11月16日
アールト大学ツアーに参加しました。
9:00〜10:20 エスポー市、VTT、アールト大学による説明
10:20〜12:00 A-Grid、Design Factoryの見学
12:00〜13:00 Startup Saunaの見学
フィンランドは約338㎢の国土(日本の約0.9倍)に、約550万人の人口(日本の約4%)でありながら、一人当たりGDPは53,982$(日本の約1.37倍)となっています。
その原動力となっているのはイノベーションを生み出す力であり、特にアールト大学はその中心地となってきました。
アールト大学の何が優れていてイノベーションエコシステムを生み出しているのが、それを見つけたいと思い見学ツアーに参加しました。
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A-Grid
A-Gridはアールト大学のキャンパスにあるスタートアップコミュニティであり、欧州宇宙機関やアールトスタートアップセンターなどの 150 近くのスタートアップやアクセラレータ、エスポー市のビジネスサービスなどのパートナーや企業が拠点を置いています。
アールト大学は、フィンランドでイノベーションを高めるという国家的な使命に基づき、ヘルシンキ工科大学、ヘルシンキ芸術デザイン大学、ヘルシンキ経済大学が合併し、2010年に設立されました。
そのため、コワーキングスペースのほか、工房やラボなどが完備され、複数台の3Dプリンターなど常にプロトタイピングができる環境が整っていました。
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サイエンスとアート、ビジネスを掛け合わせてイノベーションを生み出すという試みは先端的なコミュニティーでは取り入れられ始めていますが、アールト大学は10年以上前からそれに気づいて取り入れていたわけです。
日本ではサイエンスとビジネスとの組み合わせというと理系学部生への起業家教育のレベルに留まっていますが、アールト大学ではさらにアートも加えて学部ごと融合させていることは、同じようなイノベーションコミュニティを創造したいと思うときのヒントになるはずです。
また、入居しているスタートアップはイベントやワークショップなどのコミュニティに積極的に参加することが求められています。そこでは、過去にガーデナーと呼ばれていた人たちがコミュニティを仕切り、そうした場を利用してそれぞれの要望や状況を理解してスタートアップ間のコラボレーションを引き起こしているとのことです。(入居スタートアップの約2/3は他の会社との仕事をしたことがあるとのこと)
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日本においてもスタートアップコミュニティは増えていてコワーキングスペースも用意されているのですが、そこからコラボレーションが生まれたという話をあまり聞きません。
それはコミュニティを仕切る人材の有無も一因だと考えており、やはりガーデナーのようなハイレベルな触媒機能がイノベーションエコシステムには不可欠である、と思います。
Design Factory
Design Factoryでは、プロトタイプを作るための様々な工具や電気工作具類、3Dプリンターやレーザーカッターなどもありました。これらは基本的には無料で予約も不要なため、自由に使えるとのことです。
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多数の会議用小部屋が用意されています。
他にも、キッチンがあり長時間作業に没頭できるようになっています。
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「STAGE」と呼ばれる発表する部屋もあるそうですが、僕たちが訪問したときは使用中で除くことができませんでした。
製品開発のチームビルディング、アイディア出しから製品発表までに必要な設備は全て整っており、それらを包括的に行える設備になっているようです。
なお、キッチンには有名な「ハグポイント」があります。
僕が何気なくたった場所が見事に「ハグポイント」だったので、ガイドの女性と貴重なハグ体験をすることができました(笑)
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Startup Sauna
Startup Sauna は学生が運営するコワーキング スペースです。
Design Factoryと同じく無料で予約不要なので誰でもいつでも利用することができます。
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メインステージは100人規模のイベントも開催できるスペースがあり、毎週3回ほど起業イベントを開催しています。
このスペースはもともとフィンランドの学生や若者のためのコワーキングスペースとして計画されたわけではなく、化学の実験施設だった名残?としてクレーンが今でも残っています。
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Startup Saunaは2008年に6人の学生がフィンランドの大企業を訪ねて活動資金を集めたのが始まりです。そのため当初から大学から独立しており、さらに取り組みを発展させたのが「Slush」でした。
「Slush」は元々は1~4社の素晴らしいスタートアップを披露するイベントとして開催されました。ただ開催してみると300人もの人が集まり、素晴らしいイベントとなったようです(そのイベントの後半に雨と雪が混ざったような、いわゆる「Slush」が降ってきたことが名前の由来だそうです)
Slushに参加した話はまた別のnoteで記事にするのですが「学生たちの自主的な活動から生まれた」が現在においても唯一無二のイベントとなっている要因であると感じています。
そのために必要なのがパッション(熱い情熱)とトラスト(信頼)であるとも思っています。
どちらもないと、これだけのイノベーションエコシステムを生み出すエネルギーになりえないと感じました。