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202408-09_クイズと恐竜と洞窟と潜水艦
あっという間に12月になって、世間では年の瀬と呼ばれる時期になってなった。月に1回は創作について、そのときに感じていたことを中心に書こうと思ってはじめたこの日記も、現実の時間からは大幅に遅れていて、12月の今になって、8月,9月のことを思い出しながら書く形になっている。
思い出し日記とでも呼称をしたほうがふさわしそうな、そんな雰囲気である。
少し前の時間について、今思い出せることは、割とくっきりと残っていることなのかしら、とおもったりして、そうすると、それはある程度の時間を経て、体に溶けていったもの、それが今になんとなくつながっているような、ゆっくりと消化をされて、栄養になったようなもの。
もしくは、全く吸収できずに、確かにそこにあること、そのことがわかっているもの。ザラッとした手触りや跡が刻まれているもの、うまく消化できないからこそ、この瞬間にここにあることが思い起こすことができる。
そんな、「いまここの記憶」のあり方もありそうです。
(書きながら、字面だけで、一番消化されにくそうなのは、難消化デキストリンかなと思い、難消化デキストリンのことを少し調べたりなどしました。飲み物とかでよくお見かけしています。
https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/fiber/about/type/dextrin/)
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8-9月に観たもの
・佐藤真『SELF AND OTHERS』
・入江悠『あんのこと』
・蔡明亮『青春神話』
・太田達成『石がある』
・山田尚子『きみの色』
・山中瑶子『ナミビアの砂漠』
・野田MAP『正三角関係』
・ANA FRANGO ELETRICO / NUSANTARA BEAT ヌサンタラ・ビート ライブ
・かるがも団地『三ノ輪の三姉妹』
・南極ゴジラ『バード・バーダー・バーデスト』
・ベケット『下書き1』 『下書き2』
9/28.29に春風舎で劇団の演劇講演、『奈落のクイズマスター』を行うにあたり、そのための稽古を平日や休日の空いている時間のほとんどを使って、行っていた。ので、映画や演劇を見る時間がわりとすくなかったような感覚がある。
それと、この時期から年末にかけて、やばい、、、演劇、面白い、、、!
めっちゃおもしろいかも、、、!な時期が今に至るまで続いていて、映画よりも演劇を見ることにかける時間の方が増えた気がする。
『奈落のクイズマスター』については、作・演出の成田くんのnoteに詳しいので、ぜひ◎(後半にも自分の所感を少々書きます。)
8-9月に観たものの中で記憶に残っているものをいくつか。
『青春神話』
ツァイ・ミンリャン絶対好きだろうな〜という謎の核心がずっとあったのにも関わらず、なんだかんだでずっと見れてなくて、やっと見れて良かった。
高温多湿、ムシムシ、東南アジア!、で湿度を含んだ映像の感じや、バイクとか排水口とか、映画でショットとして収めているからこその面白さや質感が溢れていてよかった。手を使わずにコップの中からお札を出す遊びみたいなやつのシーンも、今書きながら思い出した。
色々思い出せる割には、フィルマークスの感想は一言も書いていなかったりする。wikiをちらっと観たらデビュー作だったことに気づき、たしかに、その時点でやりたいこととかアイデアがたくさんあって、とにかくやってみよう、みたいな楽しんで作っているようなエネルギーがあって良かった。思い出せば思い出すほど、良かったと感じられる。
家で見れるような気はそんなにしないし、映画館のあの空間でこそ、みたい映画だなと思うので、またスクリーンで他の作品も見たい気持ちが非常に強い。
『石がある』
ポレポレで観た。中央線の宝の地図をつくるとしたら、ポレポレも必ず入れたい。(厳密には総武線なのだけど。総武線は中央線なのかみたいな論争はあるのでしょうか。)
映画館の空間で見る、スローシネマ的映画がとても好きであるという自覚をしてから見ていたので、やはり良かった。
自分とそこまで年代の遠くない監督が撮った映画というのもあって、自分もまた映画を撮りたいなという思いになった。上映後の太田監督と編集の大川さんのトークがとても良くて、行けてよかった。大川さん編集の映画はどれも良いなぁと思うことが多くて、うーん素晴らしい、ありがとうございますというお気持ちになる。
『バード・バーダー・バーデスト』
演劇。ちょっと前から南極ゴジラが気になっていて、見に行った。とてもよかった。自分と同世代の人たちがこんなに楽しそうに演劇をやっていて、素直にワクワクしたし、元気をもらった。
珍しく会社の同僚と一緒に見に行って、帰り道に色々感想を話した。錦糸町の駅から15-20分ほど歩く劇場だったのだけれど、帰り道が長いのが良くて、ナイス帰り道大賞だった。
劇中で流れていた、『電車かもしれない』をそこからよく聞くようになった。ここから恐竜にハマってしまい、生物の進化の動画を沢山みたり、その動画を見たあとにリコメンドされることが多かったからか、世界の事故、特に洞窟探検や潜水艦などの暗所系のものを見るようになってしまい、洞窟には絶対に軽率に行かない、潜水艦には基本的には乗らないという決意を強くもつようになった。
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『奈落のクイズマスター』
演劇、友人とやっているマミアナという劇団で実施した。
(劇団といいつつ、ZINEをつくったり、映画を撮ったり、いなり寿司とコーヒーとお茶のお店をPOPUPしたり、魑魅魍魎をしている。)
今回はいわゆる古典とされるベケットの戯曲をやるチームとオリジナルの戯曲をやる2つのチームに分かれてそれぞれ演劇を作っていった。
僕は役者としてはクイズマスターの役をいただき、チラシや告知のビジュアル、当日のサイン、入場券&シールをつくるなど、宣伝美術をやったりした。下記、関わって感じたことなどつらつらと書いていきたい。
役と部分を共有していること:その中で憑依・エスカレーションさせていくこと
未だに芝居じゃないかもしれない。
今回で演劇に出るのは3度目になるのだが、これまでのどの役も割と自分に近いというか、無理に芝居をしている感覚がなくて、割とのびのび?、自分に近いところで芝居をしている感覚がある。(これは作演の成田くんが宛書き的に書いてくれているからというのも1つにはあると思う。)
これは未だにうまく言語化できていないのだけれど、もちろんどの役も、自分に性格や考え方が一致しているわけではないのだけど、なんというか、大きい価値観では相違がなかったり、価値観に相違があっても、口調や存在としてのトンマナ?が同じだったりと一部分を共有できているといった感覚なのかもしれない。
今回のクイズマスター役でいうと、性格もなにもあったものじゃないが、口調・話し方は少し普段の僕を、少しというか、かなりエスカレートさせたら、ああいう風にもできるかもとか、自分がタートルトークみたいなものをもしやることになったらこんな感じかなとかを考えていた。
なにかしらキャラを落とし込んだり、憑依させたりみたいな感覚かもしれない。自分は「これになりきっているのだ」みたいな感覚があったほうが、僕はやりやすいかもしれないという感覚がある。
結果として、それは自分の今の持っている何かをエスカレートさせることで、その結果として、タートルトークだったり、古畑任三郎だったり、リーガルハイの動画をよく見たりして、クイズマスターの役ができたように思う。
今回のクイズマスターも過去の役も、現実に根ざした役というよりも、どこか空想上というか浮遊感のある、狂言回しのような役どころであったように思う。
物語の筋の中で存在する役といったイメージというか。
自分と距離が近くなく、なおかつそれが物語だけでなく、その外側にも接続している役(大抵はそうだと思うが)、をどうやってやるのだろうかというところにも興味があるので、今後はそういう役もやってみたい。
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グルーブについてのうまくまとまらない雑記(半熟)
すみません、以下は、ちょっと言いたいことまでまだうまくたどり着いていない感覚なので、読みにくい恐れがあります。半熟です。
今回はクイズマスターが出てくるパートが割と救いというか、ただ面白く、純粋に見れるみたいな部分があったので、そのパートは純粋に面白がって見れるといいなと心がけていた。後半に行くに連れて、そのパートでさえ、苛烈さやグロテスクさを帯びてはいくのだけれど。
僕はもともと、お笑いが好きで、小さい頃からテレビでよくみていた。ただ一方で、お笑いを見に劇場に脚を運ぶみたいなことは実はあんまりしてことがなかった。
最近は、演劇をよく見るようになり、そのなかで映像で収録されたものを見ることもあるが、それはあんまりハマらずでやっぱり劇場で見たいな〜となる。ので、やっぱりテレビや映像でみても十分に面白すぎるお笑いはすごいなと思う。
そもそも、お笑いがテレビで放映されることが多くて、テレビで見ても、生身の身体を見なくても、面白いものとして仕上がっている、そういうメディアとしてあるという側面もありそうだ。
もちろん劇場で見る生のものは、テレビとは全然違う面白さがあって、べらぼうに面白いし、体験としても全くことなるものだな〜と以前見に行ったときも感じた。
漫才やコントがTV・映像の縮尺だと長くても5-10分程度にまとめられているのに対して、演劇が2時間などあるので、長さもちろん関係はしていると思う。
また、お笑いはお客さんに笑ってもらう、というとてもわかりやすいベクトルがあるのに対して、演劇はもちろんそれだけではない。お笑いのグルーブは拍手笑いだったりとかで、かなりわかりやすい。
グルーブ、舞台の上と観客が一つのまとまりになっているような瞬間。音楽のライブなどでコール&レスポンスが自然に起こるなど。
観客とうまくコミュニケ−ションが取れている状態がグルーブともいえて、ある種の一体感がそこにあること。(一体感というより、共通了解みたいな方がしっくりくるかもしれない。)
笑って欲しい場面で、観客に笑っていんだよということが伝わっていることや、ここはテキストがちゃんと届くといいなという部分で、それが伝わる空気感が生まれていること。グルーブは舞台と観客の間にあり、そして全体を包みこんでいる。
そういうものを感じるのが楽しくて、自分は舞台芸術に脚を運んでいるように感じるなというのを今回の演劇をつくりながら、終わってみて感じている。
再現性がないこと:当日、その回、その場限りのものであること。
さて、前置きがながくなってしまったけど、そういうグルーブを舞台の上で作りたいなと思っていた。
クイズが生まれてくる場面。ロジックみたいなものは全くなくて、なんかクイズが生まれればそれでいいみたいな段になって、そうなってくるともう勢いというか、そういうエネルギーで突破してみようかみたいなモードにどこかのタイミングでなり、どのくらいことがあると押し切れるのか?ということを考えたり、工夫する時間が面白かった。クイズマスターがよくわからない蘊蓄や方便を言いながら、くるくる回ってる時間がある程度あって、そのやり取りの長さやどのくらいのことを言うのかを、当日の会場の反応なども見つつ変えたりするのも楽しく、何をどこまで言うのかを決めきらずに当日の具合を見て調整できるというような要素も、眼の前にお客さんがいるからこそだなと思い、そういう楽しさの手触り感があってよかった。
ので、動き合っても違和感のないところは、稽古の中で色々動き回ってみたりしてみていた。舞台の上で、たくさんの登場人物がそれぞれに何かを言っていて、それでその言葉のいくつかは聞き取れないのだけれど、その場で置きているエネルギーや空気感はわかる、みたいな、同時多発でいくつもの声が重なり、ひとつひとつでは決してなしえない交響的な瞬間が好きで、それは映画などよりもやはり演劇というフォーマットにおいて存分に達成されうるなと思う。
今回はトミカと二人でエナジー・トルネード・モーメントだったけれど、今度はもっと大人数でおおきなトルネードをしてみたい。
あとは出囃子(クイズマスターの登場BGMがなるところ)のときに、謎の口上みたいなのを言うのが楽しく、歌舞伎の見得だったり、ブリーチの卍解や鬼道の詠唱を思いだしていたりした。スピリッツ・ジャンプ・サンデー・マガジンとかを予備校前に立ち読みする少年だった君が、今、ここに活きてきているよ。よかったね。
あそこは完全に当日の雰囲気のアドリブだったのですが、個人的には楽しかったです。(漫才のつかみとか、落語のまくらみたいな。)
5個入りのクリームパン
今回の講演では、実際に役者として活動している「ほぼ、ジャムパン。」の皆さんとご一緒できたのもの良かった。いままでの演劇で役者をやる際には、みんな同じようなスタートラインで役者として、ちゃんとした指導を受けたことがある人と一緒にやることはほとんどなかったので、今回はご一緒する中で学びが色々あった。
そういえば、ジャムパンはあんまり買ったことない。自分がよく買うパンはコンビニに売っているクリームパンが5個入っているやつか、たまごサンドとかだろうなと思った。あとちゃんとしたパン屋さんに行くと買うものは全然変わる。
稽古前には、それぞれウォームアップで、あえいうえおあお、かけきくけこかこ、〜のような滑舌のウォームアップ?的なものや、唇を震わせるやつだったり、柔軟を個々にやったりする時間がちゃんと存在していて、あぁ、ちゃんとやっている方々だ、、、という感覚があった。
それぞれの役どころを掴むタイミングや役への向き合い方も一人ひとり違う感覚があって、そういう部分を実際に演劇をつくりながら感じられて楽しかったし、勉強になった。マミアナの作品だけでなく、役者として、別の劇団に出たりするのも今後やってみたいなと感じるようになった。
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![takumi watanabe](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/113074835/profile_eb4c61a21f531e0fa59bc8a78aed9a10.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)