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経て

突然ですが、僕はダウンタウンが大好きです。
特に『経て』というコントが好きです。

不治の病に冒され、病院のベッドで絶望する「まさお君」に、謎の「グランドチャンピオン」がお見舞いに来てくれます。

グランドチャンピオン「やぁ〜、まさお君!」
まさお君「あなたが…グランドチャンピオン…?」
「グランドチャンピオンだよ」
「…チャンピオンより偉いの!?」
「はっはっは、チャンピオンより偉いかだって?」
「はい」
「チャンピオンには少しの努力で誰だってなれるんだよ。グランドチャンピオンというのはね、チャンピオンを経て、チャンピオンを経て、チャンピオンを経てぇぇ、チャンピオンを経(へ)られる人間だけがなれるんだよ。問題はね、『経』続けられるかどうかなんだ!」
「僕もグランドチャンピオンになれるのかな?」
「経続ければね。」

「ダウンタウンのごっつええ感じ」より

ビッグブック』には3種類の酒飲みのお話がでてきます。
これはまさに、酒飲みを経て、酒飲みを経て、酒飲みを経続けた人間のお話です。

一人目は「ほどほどの酒飲み」。いわゆる普通の人です。
たちの悪い飲み方さえ続けなければ、一生酒をほどほどに楽しめる。
飲んでも飲まなくても平気で、選択の自由がある。

ほどほどの酒飲みなら、酒をやめる理由があれば、問題なくやめるだろう。飲むことも、飲まないこともできるのだ。

A.A., p.31

二人目は「大酒飲み」。アルコホーリク予備軍。
だけど、アルコホーリクではない
まだ、自力で断酒できるので、12ステップや霊的目覚めは必要ない。
(※「ミーティングだけでアディクションが止められた」と言っている人がいるとしたら、おそらくこのタイプでしょう。もちろんそれは素晴らしいことです。)

それからいわゆる大酒飲みのタイプがいる。このタイプは徐々に身体も心もむしばまれていくような、たちの悪い飲み方をする。そのせいで本来の寿命より二、三年早く逝ゆくこともある。しかし健康状態がかんばしくない、恋をしている、環境が変わった、医者から警告されているなど、大きな理由があれば、このタイプは飲むのをやめるか、控えるかすることがまだできる。もちろんそれは困難で厄介なことなので、医者の世話になることが必要な場合もあるが。

A.A., p.31~32

3人目は、アルコホーリク。正真正銘のアル中。
もう元の状態には戻れないので、不可逆。
ミーティングや仲間の支えだけではアディクションが止められないので、12ステップに取り組む必要がある。「神様の助け」が必要不可欠。

では本物のアルコホーリクはどうか。このタイプも最初は適度に飲めているかもしれない。そのうち立て続けに酒を浴びる大酒飲みになるかもしれないし、ならないかもしれない。だが飲み続けているうちに、ある段階で、飲酒の量に対するコントロールを失い始める。

A.A., p.32

ミーティングで分かち合いに耳を傾けていると、問題行動の種類は違えど、みんな何かしらの問題行動を経続けて、正真正銘のアディクトになってしまったようです。

しかし、沢山の人を傷つけて、自尊心もボロボロで、家族や友人や仕事を全て失っても、諦めずに経続けられれば、傷つけた人たちに埋め合わせはできますし、他の人たちの手助けができます。
利己的なことかもしれないけど。。

問題行動を経て、後悔を経て、アディクションを経て、病院のドアを経て、ミーティング会場を経て、仲間の支えを経て、スリップを経て、12ステップを経て、棚卸しを経て、埋め合わせを経て、霊的目覚めを経て、ピンクの雲を経て、ミーティングリーダーを経て、うぬぼれを経て、スポンサーを経て、学びを経て、勘違いを経て、日々棚を経て、祈りと黙想を経て、グループの立ち上げを経て、失敗を経て、挫折を経て、成長を経て、、

僕も、経(へ)続けられる人間になりたいです。

ゆうき