セーラ「どうすりゃいいんだ…」

立川ステージガーデン、5/19に発表された「ときメモはこれからも展開がある」という公式の声明から既に2か月以上経過していた。

Twitterにこだまするファンの溜息、どこからか聞こえる「また30年後か……」の声
無言で他界していくオタクたちの中、立川2daysを経験したセーラは会社で独り泣いていた。
スーパーライブで手にした喜び、感動、そして何よりこれからときメモが続いていくという期待
それを今の小波に持つことは殆ど不可能と言ってよかった。
「どうすりゃいいんだ・・・」セーラは悔し涙を流し続けた。
どれくらい経ったろうか、セーラははっと目覚めた。
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、生々しい湿気の感覚が現実に引き戻した。

「やれやれ、帰ってコールの練習しなくちゃな」セーラは苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをすると、セーラはふと気づいた

「あれ・・・?オタクたちの声が聞こえる・・・?」
ドアを開け飛び出したセーラが目にしたのは、武道館を埋め尽くさんばかりの観客だった。
千切れそうなほどにペンラとタオルが振られ、地鳴りのようにもっと!モット!ときめきのコールが響いていた。
どういうことか分からず呆然とするセーラの背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「よーし、全力で楽しもうぜ!」
声の方に振り返ったセーラは目を疑った。
「き・・・清川さん?」「どうしましたか?私みたいにボーッとしていたのですか?」
「もう!ゆかりが2人もいたら超大変じゃん!」
「朝日奈さん・・・」
セーラは半分パニックになりながら美樹原さんから渡されたセトリを眺めた。

M1 もっと!モット!ときめき
M2 教えてMr. Sky
M3 出会えて良かった
M4 Hero
M5 月夜の出来事
M6 ゾッと・ナイト
M7 My energy
M8 透明な仮面
M9 風よ
M10裸足の人魚姫
M11 My Name is 愛…
M12乙女想夢
M13 女々しい野郎どもの詩
M14 Tomorrow ~Only You~
M15 ♡のスタートライン
M16 10th SMILE(=じゅうねんスマイル)
暫時、唖然としていたセーラだったが全てを理解したとき、もはや彼の心には雲ひとつ無かった。

「動く……動くんだ!」

好雄からペンラを受け取り、最前に全力ダッシュするセーラ。
その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった。
翌日、会社で冷たくなっているセーラが発見され、坂城と穂刈は病院内で静かに息を引き取った。

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