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【企画参加】白い薔薇

3年ほど前、
なんでもない日常が
かけがえのないものと知りました。

なんでもないと思っていた日常こそが
幸せだったんだと、今は思います。

虎舞竜を下の子が口ずさんでいて
なんかごめん…と思ったねずみです。


離婚してからしばらくは、
自分で選んだ道だと
納得してるふりをして、
毎日を過ごしていました。

今は、ふりだったと認められます。



結婚は勢いでできるけど、
離婚は勢いでは難しい。

結ばれる、という表現には、
自然に。運命的に。というような
スムーズな、プラスな流れを感じます。

一方、離れる、という表現、
こちらは自然に…ではなく
そうするんだ!というような
明確な意思を感じます。



価値観の違い。
一言ではそうですね。

僕はもっと触れ合いたかった、
構って欲しかった。

はい、面倒だと思います。
よく言いますよね。
「旦那が大きい子供みたいだ」って。
あなたは僕の母じゃない。
ごもっとも。


おそらく多くの方々は、
話し合い、お互いの価値観を
すりあわせているのでしょう。

全く同じ価値観の人なんていない。
だからこそ話し合い、
互いを理解する。

共感できるところは共感し、
理解できないところは
お互いにそれを認識し合う。
そういうことが
大事になるんだと思います。

もう、
その対話まで持っていくことが
辛かった。

声をかけた時点での反応に
萎縮してしまって。


だから、
我慢するしかないのか…
でも、我慢、なんだよな…
そんな風に、悩んでいました。
いつものように、いつも以上に。


もちろん、
相手だけのせいじゃないですよ。
僕も、相手の思うような人間では
なかったです。








元奥さんは、
たまたま入ったバイト先の老人ホームで
先輩として働いていました。

結構ふざけてるところもあって、
むちゃくちゃ飲むし遊ぶし、
でも仕事はテキパキきちんとする。
大人ってこういう人なんだろうなぁ。
そんな印象でした。

職場はみんな仲良くて、
当時は週3、4回飲みに行ってましたが、
みんなで仲良くって感じで、
特別元奥さんを意識はしてなかった。

僕は当時彼女がいて、
仲良くやってたつもり…だったんですが、
ある日
「あなたといても、幸せになれると思えない」
と振られたんですね笑

まぁ今となれば、
離婚した時と同じく
価値観の違い。だとわかりますが、
当時は全くわからなくて。

そんな時、
元奥さんが飲みに誘ってくれました。

多分めちゃくちゃ落ち込んでたんでしょうね。
気にかけてくれたんだと思います。

元奥さんはお酒の強い人で。
朝まで愚痴を聞いてくれました。

眠たいだろうに
僕の話を一生懸命聞いてくれるその姿が、
とても嬉しかった。


それから
元奥さんに惹かれていきました。

みんなで飲みにいったり、
二人で飲みに行くこともありました。


もう女性として好きになっていた僕は、
二人で飲みに行くときに
白い薔薇を一本プレゼントしました。

白い薔薇の花言葉は、尊敬。

尊敬してたんです。
しっかり遊んで、
しっかり仕事をする元奥さんを。

何かお花をあげたくて。
調べたら、白い薔薇がぴったりでした。

白い薔薇を一本持って
ドキドキしながら待ってたその日。
元奥さんは、寝坊して
待ち合わせ場所に来ませんでした笑


そこからなんやかんやで
付き合うことになり、
子供ができて、
結婚することになりました。




毎年、結婚記念日には白い薔薇を
プレゼントしました。

1年目は一本、
2年目は二本、
と、本数を増やして。

「じじいになったら花束持てないかも!」
なんて言って。

毎年白い薔薇を送り、
元奥さんも
ドライフラワーにして
壁に飾ってくれていました。

子どもがいて、
車を買って、
家を買って、
これが、この日常が、
当然ずっと続く。
そう思っていたんでしょうね。





価値観の違いを感じたのは、
結婚して5年ほど経った時。

その頃も、僕は元奥さんのことが、
正直、子供よりも好きで。
もちろん子供も好きですが。

子育てって、大変なこともありますよね。
子どもを叱らないといけないこともある。

僕は子供を叱る時、
【大好きな妻を困らせるな!】
という思いで叱っていた。

そのことをふと話すと
元奥さんは呆れた顔で、
『いつまでそんな気持ちでいてるん?』
って。



多分、普段から
僕の父としての立ち振る舞いに
思うところがあったんだと思います。

でも僕は
歳を取っても手を繋いで、
おしり触ったりして
イチャイチャして、
子供にいい意味で辟易される、
そういう夫婦になりたかった。

でもそれって、
相手の理解がないと無理ですし、
そもそもイチャイチャが
無理な人には無理じゃないですか。 

妻は、無理だった。
そう言われました。


あぁ価値観が違うんだなぁって。
そこから何かが変わっていった、
距離感がわからなくなったんだと思います。

僕が思う未来は絶対来ないんだなぁ…と。



その時、違う幸せを見つけるなり
方向転換できたら
よかったのかもしれません。
僕がもっと、成熟した人間なら
よかったのかもしれません。

今なら理解できますからね。
別に僕を拒絶しているわけじゃなくて、
元奥さんの
優先順位が違ったんだって。


でも、あの時は
胸に刺さったその言葉が
いつまでも消えませんでした。


白い薔薇は5年目で、
もう買わなくていいよって
言われちゃいました。






結婚して10年ほど、
はじめはお互いを
尊敬し合っていたと思います。

でもお互い、
思っていることをすぐに言わず
時々、溜め込んだものが爆発して
衝突することがありました。

それって大事なことで。
ぶつかって、ほころんで、
それを結んで固くなる。
雨降って地固まる、ですよね。

ダメだったのが、
その時しっかり解決したわけじゃなくて、
吐き出して少しスッキリしてただけで。

話し合って、お互いの価値観を
擦り合わせたわけじゃないから、
解決していないから、
またぶり返して。

結局、
「あなたは何も変わらない」
という不満になってしまった。

雨が降り続いていた。
もう地盤が崩れていた。

ぶつかることも
無くなっていきました。





僕はカッコつけるから、
言われたことに対して
なんでもない風を装います。

仕事柄もあるのかもしれません。
急な体調不良などが起こった際、
僕が焦ってはいけないという思いが強く、
今では全く動じないようになりました。

カッコつける、というか
内心慌てていても、傷ついていても、
痛いところつかれたな、と思っていても
それをそのまま表現するのが
すごく苦手です。

焦りを見せず、
どう対応するかを
考えてしまうので。

元奥さんにもそうやって
意地を張って、対抗して、
無理をしていたわけで。

本心を隠して、
無難な意見を押し通すことが
目的みたいになっちゃって。


一番本心を出さないといけない相手なのに。

お互い考えてることはあったのに。

聞けばよかったのに。


結婚してからずっと
うまく伝えることができなくて


ごめんなさい。





自分から離婚を切り出しておいて、
元奥さんに
「ごめんなさい。
離婚したいんじゃなくて、
もっと話がしたい。
ホントに言いたいのは、
離婚したいじゃなくて
話がしたいってことです。」
と、謝りました。

でも。もう遅かった。
相手は相手で、
僕にずっと我慢してきたんです。



ずっと
すれ違っているのが辛かった
もっと仲良くしたかった
笑いたかった、
話がしたかっただけ。

でももうその方向は無くて、
すれ違ったままで
交わることはない。




誰であっても、
全てを理解するのは無理、
そう思います。

辛いことも良いこともある。
それが人と生きるっていうことか。  
今はそう理解しています。




ほんと、
すれ違っちゃったなぁ。

子供に会えない毎日が辛すぎました。
日常がこんなに尊い物だと、
もっと理解していれば。

もう、その方向には進めない。

子供二人は離れて暮らして欲しくない。
転校もさせたくない。
自分が今の仕事で働きながら、
二人を見ていくのは難しい。

子供2人は、
元奥さんと住んでもらうことにしました。

元奥さんのことは、
母としてすごい人だと思っています。
今でも。



頼っても、
受け入れてくれるっていう安心感。
子供にはそれがあります。

だから子供とは、
むちゃくちゃ笑いあえる。
相手が僕のことを嫌ってないのが
自分の中でわかりきってるから、
安心して、冗談が言えます。
ダメだと思ったことを、指摘できます。

子供らに対して頼る、
とはおかしいのかもしれないけど。


出会った頃は
元奥さんにもあった、その感覚。
それが、感じられていませんでした。


そして、
今ならわかる僕の価値観を
言わなくてもわかってくれる存在。
勝手にそう思い込んで
負担をかけてたんだろうな。


ごめんなさい。
もたれかかりすぎたね。
重かったね。

ありがとうございました。





この経験をバネに、
幸せになってやる!と奮起したい。

日常を噛み締めて。
それはかけがえのないもの。
あの日常を失ってから、
そう思います。


でもやっぱり、
時間ってすごいですね。
良くも悪くも、無情です。

あれだけ苦しかったこと、
ご飯も食べれなかったことを考えると、
落ち着きました。

今はもう、離れるという選択肢を
後悔していません。



僕を支えてくれる人たちのおかげです。

子供たちが会いにきてくれます。
お姉ちゃんは今年受験。
この前下の子とお守りを買いに行きました。

2人とも可愛いんです。
上のお姉ちゃんは多趣味で、
ユーモアがあって、
いつも笑わせてくれます。

下の弟はゲームが大好きで、
まだ甘えん坊なんですね。
とっても愛らしいやつです。
でもやっぱり僕の子ですね。
かなりのカッコつけです笑

そしていま
僕の隣で僕を支えてくれる人。
その人が、
「カッコつけなくて良いんだよ。
間違って失敗したら、
素直にそれを出して良いんだよ。
その方が、あなたは魅力的だよ。」
そう教えてくれました。

ありがとう。
ポンコツで良いんだと
教えてくれて。


そして今、これを読んでくださってる
あなた。

ありがとう。


僕に関わってくれる全ての人へ
白い薔薇を送ります。







どうも、ねずみです。
ケアマネジャーをしています。

企画参加でしか記事を書かなくなりました。
毎日書いてたころの僕はもういないようです。

ノー友コッシーさん達の企画。

企画の記事を読みながら
白…なんか書いた記憶があるな
と思い、
昔の記事をひっくり返しましたところ、
見つけた見つけた。

その時もコッシーさんの企画でした。
ほんとコッシーさんさまさまです。笑

今回その記事をリライトして
参加させていただきます。

ありがとうございました。




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#白のエッセイ

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