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椎茸から舞茸へ


僕は老人ホームで働いている。

うちのホームで陽性者がでてしまい、
少し前まで外部の方の訪問を
ストップせざるを得なかった。


リハビリやアクティビティ、
ボランティアや、
訪問の美容師さんも、
もちろん皆ストップになった。


けっこう由々しき事態で。


リハビリやアクティビティの方が来ないと、
体を動かす頻度が減って、
動かせる範囲が狭くなって、
怪我したり体を痛めたりする。

余計に体を動かさなくなって、
そもそも動かないからお腹すかない。
ご飯食べない。
元気にならない。


ほんと、ムッチャ怖い。


できることといえば、
各居室を回って運動を促すとか、
テレビでラジオ体操やる前に
チャンネル合わせておくとか。
#他にもあると思いますよ
#ホントに厄介な病気です




そういう身体面ももちろんだが、
精神面も。

普段とは違い、
各居室で食事をとってもらうので、
認知面に障害がある方に混乱が生じた。

普段そんなこと言わない方が、
「今日はご飯もらってない」と。

環境の変化は、
認知症状がある方には順応が難しいことが多い。

部屋にずっといるし、
面会もないので時間感覚がずれやすい。

1から話せばわかってくださるが、
毎回説明する時間があるわけでもない。

生活のメリハリがなくなってしまい、
認知面にも大きな影響を与えられた。





そして、美容師さんも
呼ぶことができなくなってしまった。

髪の毛を切る。
ただそれだけのことなんだけど、
これ結構大事で。



あくまでも、僕の考えですよ。


例えば、
今日職員さんが髪の毛を切ってきた。
僕はそういうのに敏感なのですぐ気付き、
「髪の毛切った?」と聞く。

すると、
その職員さんは嬉しそうに、
「わかります?♪」と答える。




そう、嬉しいんです。


自分の髪型が変わったことに
気づいてもらえた時って。

見てくれてる!
ってなるからなのかな。


そしてそれは、
歳をとっても変わらなくて。


入居者さんも、
男性もだけど特に女性は、
今カットに行けないことをすごく困っている。

その気持ちがあるうちに、
再開したい。

自分の身だしなみに注意を払えなくなるって
認知面に悪影響ももちろんだけど、
フツーに考えてちょっと寂しい。




通常業務は再開できているので、
訪問理美容も再開したい、
と施設長にお願いしておいた。


なんとなく、
なんとなーく、

今絶対、僕を含めた職員さんより、
入居者さんの方が不自由が多くて。

いや、もちろん職員さんも
カットしていいんですよ?もちろん。

でも、
今までもそうだったといえばそうだけど
このタイミングで僕らがキレイにカットしてて、
入居者さんはボサボサ…は、
ずるいように思う。僕はね。




なんていう、変なこだわりを見せ、
僕の頭はいまボッサボサ。

以前より娘からはきのこと呼ばれていたが、
今は【椎茸】と呼ばれている。
#より具体的に




入居者さんがカットした暁には、
念願のパーマを当て、


【きのこ】から
【オシャレなきのこ】、

【椎茸】から
【舞茸】になることでしょう。
#椎茸のち舞茸







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