はたらくデザイン読本 vol.3
ちいさな会社のおおらかな経営
木村石鹸の木村社長を経営者として尊敬している。ボクが尊敬している経営者は実はとても少なくて、そのうちの一人が木村さん。すごいなとか、かっこいいなとか、そう思う経営者の方はたくさんいるけれど、尊敬できるってなかなかいないと思っている。木村さんとは割とお付き合いは長くて前職のIT企業を経営されているときから。その頃はどんな考えで経営されているかは存じ上げなくて、いつも優しくて柔らかい先輩で、酒席での若さ故のボクのバカな振る舞いも笑って見守ってくださっていた。そういうこともあって勝手に親近感を感じている。
おいかぜの20周年の”「はたらくデザイン」をめぐる対話”で木村さんと対談させていただいて、木村さんとのログを残せたことはボクにとって喜びでしかないわけで。
木村さんの経営者としての出自はボクと似たところにある。文系出身のWeb系のIT企業の経営者。だからなのか木村さんの文章を読んでいると気持ちがとてもよくわかる。WebやIT特有のカルチャーが生む習慣やジレンマを木村石鹸で軽やかに乗り越えておられる姿は、ボクのおいかぜの2歩も3歩も先に行っておられる。「あぁ。そうですよね。ボクもそう思っています。」と膝を打つことは、木村さんにとっては過去のことで「そういうときはこう乗り越えればいいんじゃないかなぁ。」って直接的なことばではないとしても指し示してくれる。とても優しいことばたちで。
ボクがこの本の中で一番好きなフレーズはこの箇所。わかりやすくて優しいことばだけれど、木村さんの木村石鹸の大きな何かを乗り越えたからこその強さがある。共感できたとしても実践し続けることは難しい。
この本に難しいことばや文章はない。たぶん誰にでも読めて共感できる。ボクのような経営者でなくてもたくさんの気付きと勇気を得られると思う。そこが木村さんの真骨頂だと思っている。難しいことばで人を迷子にさせない。それって実は簡単なことではない。ボクもそうありたい。
この本を使っておいかぜの経営陣で読書会をしようと思う。舞鶴あたりで合宿でもして”ちいさな会社のおおらかな経営”について語り合いたくなる、そんな本だった。