第五章 生活保護脱却
生活保護を受けながら働いている場合は収入があったことを役所に伝えなければならない。生活保護費プラスパートの代金をもらうと普通に働いている人より裕福になってしまう。担当の役人に収入があることを伝えた。そして、生活保護費が変わるのを説明するので役所に来るようにと言われた。仕事を休み、役所に行く。給料明細も持って行く。担当の役人は私を前と同じ個室に来るように言った。
役人の説明を聞く。どうやら生活保護を受けて働いていると、使えるお金が多少増えるらしい。しかし、何回説明を聞いても分からない。増えるのは分かるのだが、計算の仕方である。私は六万弱の収入がある。生活保護費は約一二万。六万の収入があると一二万プラス一万くらい使えるお金ができるらしい。数字を並べてみたが昔の事なので金額は正確ではない。役人が計算式を教えてくれるのだけれど、住居費、生活費、に加えて働いているので、就労支度金(?)のような形で使えるらしい。私は制度のことはしっかり覚えなければいけないと思い三回くらい聞き直したがさっぱりわからなかった。覚えるまで聞きたかったが明らかに役人がめんどくさがっているのがわかりやめた。
それに、「こんな簡単なことも分からないのか」
というのがありありと見えるのである。こちらからしてみれば生活保護を受ける人生など想定しておらず、学校で生活保護について教えてもらった事もない。そもそも福祉制度について一度も教えてもらった事がない。分かる訳がない。そして、一層私を苦しめたのは役人の「精神の人は働けないから」という言葉だった。精神というのは精神障害者のことである。精神障害者はどうせ働けないから一生生活保護でいいんだから制度の事は覚えなくていい、という意味に捉えられた。
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