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著者名のローマ字表記は「姓・名」の順
概要
政府は、公文書などで日本人の名前をローマ字で書く際、2020年(令和2年)から「姓・名」の順とすることを決めました。姓を明確に区別させる場合は、姓をすべて大文字で表記となります。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックで電光掲示板やテレビ放送などでの日本人名の表記を統一したいとの思いから、この時期の決定になったといいます。
この勧告に基づき、銀河企画が発行する書籍では、著者名のローマ字表記を姓ー名の順とし、姓は大文字で表記しています。
文化庁は、具体的な表記方法について次の通り答申を出しています。
姓名のローマ字表記についての考え方(文化庁)
世界の人々の名前の形式は、「名-姓」のもの、「姓-名」のもの、「名」のみのもの、自分の「名」と親の「名」を並べて個人の名称とするものなど多様であり、それぞれが使われる社会の文化や歴史を背景として成立したものである。世界の中で、日本のほか、中国、韓国、ベトナムなどアジアの数か国と、欧米ではハンガリーで「姓-名」の形式が用いられている。
国際交流の機会の拡大に伴い、異なる国の人同士が姓名を紹介し合う機会は増大しつつあると考えられる。また、先に記したように、現在では英語が世界の共通語として情報交流を担う機能を果たしつつあり、それに伴って各国の人名を英文の中にローマ字で書き表すことが増えていくと考えられる。
国語審議会としては、人類の持つ言語や文化の多様性を人類全体が意識し、生かしていくべきであるという立場から、そのような際に、一定の書式に従って書かれる名簿や書類などは別として、一般的には各々の人名固有の形式が生きる形で紹介・記述されることが望ましいと考える。
したがって、日本人の姓名については、ローマ字表記においても「姓-名」の順(例えばYamada Haruo)とすることが望ましい。なお、従来の慣習に基づく誤解を防くために、姓をすべて大文字とする(YAMADA Haruo)、姓と名の間にコンマを打つ(Yamada,Haruo)などの方法で、「姓-名」の構造を示すことも考えられよう。
文部科学省も、国語審議会答申を受けて次のように表明しています。
日本人の姓名のローマ字表記(文部科学省)
国語審議会答申「国際社会に対応する日本語の在り方」(平成12年12月8日)により、「姓―名」の順とすることが望ましいとされており、公用文等において日本人の姓名をローマ字表記する際は、原則として「姓―名」の順で表記することとします。
柴崎銀河の考え
私は、日本人名のローマ字表記を「姓-名」の順とする政府方針に賛成し、もっと早く実現すべきだったと考えます。欧米式「名-姓」に合わせる慣習では、日本の文化的背景や氏名のアイデンティティが十分に尊重されず、紹介時に混乱を招く恐れがあったからです。
今回の措置によって、日英両言語での会話において姓名の順序を改めて説明する手間が大幅に減り、国際交流の場で誤解や戸惑いを緩和できると期待できるでしょう。また、姓を大文字で表記するなどの工夫によって誤認を防ぎ、日本独自の文化や伝統を示すことが可能になる点も大きいです。
既にパスポートでは実施されているところですが、日本人が海外でも自信をもって自己紹介し、自らの文化的背景を正しく伝えられる環境が整いそうです。今後はこの方針が広く定着することを望みます。