ヒトの細菌叢(Microbiome)とプライマル・ヘルス5
SBSK自然分娩推進協会では、ご希望の方にメルマガを配信しています。
今回は、メルマガ34号(2021.11.24)の配信内容です。
では今回も微生物叢に関する話題をお送りします。
前回の内容は下記をご覧ください。
ヒトの細菌叢(Microbiome)とプライマル・ヘルス5
セクション1 姙娠と胎児の生命
Chap.1 妊娠中の微生物叢の変化
3 妊娠中の膣内微生物叢の変化
ポイント
腸内細菌叢と異なり膣内細菌叢は妊娠初期に乳酸桿菌が増え他の菌種は減少する。
これによって膣内が酸性に保たれ細菌感染が防止される
この変化は体内のホルモンの変化によるものかもしれない
産後は乳酸桿菌は減少し他の菌種が増えて妊娠前の状態に戻る
健康な膣の微生物叢は、病原体の侵入を防ぎ膣炎や細菌性腟症を減少させます。
健康な膣は、主に4種類のラクトバチルス(LB=乳酸桿菌)(LB・クリスパトゥス、LB・ジェンセニ、LB・ジョンソニイ、LB・アイナー)が、乳酸を産生することで周囲のpHを低下させ、それによって病原性細菌に対するバリアーを形成するのです。
実際、乳酸は抗生剤のように広域スペクトルの抗菌活性を有すると言われます。具体的には、LB・ラムノサスおよびLB・レテリは、ご存知のとおりカンジダ・アルビカンスを阻止し、カンジダの炎症性遺伝子の発現を減少させます。
妊娠中膣の保護機能は、膣のpHを低下させる乳酸菌の増加により増強されます。乳酸桿菌が優勢になるのでその分微生物叢の種類は減少することになります。
明確な変化の1つは、非任時より乳酸菌種が発達することです。
妊娠後期に変化する腸内微生物叢とは対照的に、膣内微生物叢の変化は妊娠初期で顕著になります。これが、微生物叢に対する直接的なホルモン効果なのか、他の理由によるものなのか興味深いところです。
おそらく膣炎を防ぐための微生物による保護は、発達中の胚が脆弱である妊娠の初期段階で最も重要です。膣の微生物叢に対するホルモン療法は、OC(経口避妊薬ピル)の効果で見られるかもしれません。これらの研究は、 「(エストロゲンとプロゲステロンの合剤である)経口避妊薬が乳酸菌の増加と関連して」おり、菌種の減少と細菌性膣症とが関連していることを示しています。
産後は、状況が逆転します。膣の微生物叢は再び多様になります。乳酸菌種の存在量は減少し、そしてペプトニフィルス、プレボテッラ、アエロコッカスなど他の細菌が、妊娠中に比べてより優勢になるのです。
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