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お産と自閉症 自閉症の予防①

SBSK自然分娩推進協会では、代表の荒堀憲二(産婦人科医師)よりメルマガを配信しています。
今回は、2024.05.19配信のメルマガ内容です。

前回に引き続き、「自閉症の子どもたちと”恐怖の世界”」(白石勧著 花伝社)より。
※白石さんの書籍を割愛し結論を中心にお伝えしています。詳しく知りたい人、文献も見たい人は原著書をご覧ください。Amazonでも購入できます。


これまでわかったこと

  • 「母親への信頼は刷り込みである。刷り込みがないと信頼がおけず、母親への甘えもなく、傍にいても安心できず不安が生じ、さらには恐怖を感じるようになる。恐怖のために同一性に固執し孤立する」

  • 「鳥の刷り込みは、母親を特定するだけではなく、自分が属する種や、仲間の種や、繁殖相手の種を特定する機能があることが分かっている。また、自分の種への共感能力が生まれるという機能がある」

  • 「哺乳類でも、早成種であるキリンの子やカバの子だけではなく、晩成種であるネコの子も生後早期に刷り込みが生じている」

  • 「人間の赤ちゃんも刷り込みによって頼るべき母親を特定している。したがって、自閉症の子どもに母親への信頼が生まれていないのは刷り込みの障害が原因である」

  • 「出産直後から母子同床であれば、刷り込みに障害が生まれる余地はない。それで、団塊の世代に自閉症の子どもはほとんどいない」

  • 「生まれたばかりの赤ちゃんを新生児室に隔離したのが、自閉症になった原因である」

  • 「病院出産では、母親は分娩台の上で仰向けになって赤ちゃんを産むので難産になりやすい。そのあげく、出産後の安静が必要となり母親はひとりで寝かされ、赤ちゃんは新生児室に入れられる。そして、一部の赤ちゃんが自閉症になった。」

第4章 自閉症予防の5カ条

2004年に、名古屋市西部地域で6歳から8歳の子どもの約2%が自閉症スペクトラム障害という統計がでた。
2012年には、横浜市西部地域で5歳児の約4%が自閉症スペクトラム障害という統計がでた。

アメリカでも自閉症スペクトラム障害の子どもが約2%という統計があるが、約4%というのは世界でも突出した高い数値である。

(下図は荒堀が探した最近の日米の自閉症児の推移です。米2018年日本2019年までの統計 いずれも急激に増加しています)

日本では、1950年は自宅出産が約95%だった。1960年は自宅出産と病院出産が約半数になった。そして、1975年は病院出産が99%以上になった。

したがって、現在の自閉症スペクトラム障害の子どもの急増は、新生児室だけでは説明ができない。刷り込みを妨げているほかの要因が存在するはずである。

4-1. 誤刷り込み

誤刷り込みには、視覚の誤刷り込み嗅覚の誤刷り込みの2つがある。

■ 視覚の誤刷り込み

NICUにいる赤ちゃんに、マスクをした看護師の顔を刷り込むという誤刷り込みの問題が生まれる。

ほとんどの赤ちゃんに刷り込みの障害は生まれないが、未熟児が自閉症スペクトラム障害になるリスクは正常な新生児の5倍という報告がある(未熟児の自閉症リスク、正常な新生児の5倍 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News)。

これは、誤刷り込みの問題が解消していない未熟児がいることを示している。
新生児室は廃止できるが、NICUは廃止できない。NICUの看護師も、出産にかかわっている人もマスクをしないという配慮が必要である。

(2020年からの新型コロナで、赤ちゃんがマスクをしていない人の顔を見ると大泣きすると話していた父親がいた。自閉症スペクトラム障害の子どもが増えるかもしれない。)

■ 嗅覚の誤刷り込み

哺乳瓶で授乳された赤ちゃんは哺乳瓶の乳首の匂いを刷り込む可能性がある。そうすると、母親の乳首の匂いを拒否することがある。

杉澪子(1977)から引用する。
(杉が出産した学君は2人目の子どもだった。難産だったので、お母さんは出産後自分のベッドに寝かされ、学君は新生児室に入れられた。そして、看護師が学君を新生児室からお母さんの所に連れてきた。)

乳首を含ませようとするが、どうしても飲みたがらず、眠り続ける。二度目だから私の母乳は溢れるほど出るが、学のくちびるに乳首をタイミングよく触れさせても、いっこうに口を開いてくれない。
看護婦が「二日間は、お母さんの出産後の静養のため、定められた時間だけ赤ちゃんをお連れします。眠っていて飲まなくても、新生児室で飲ませてますから安心して下さい。」と言って、学を抱いて出て行った。(pp.42-43)

杉澪子(1977)

学君がお母さんの乳首を拒否しても、看護師は新生児室で粉ミルクを飲ませているので問題ないと考えている。
学君に誤刷り込みの問題が生まれていることに誰も気がついていない。
学君は生後3日目に、お母さんの隣の赤ちゃん用のベッドにきた。そして生後4日目に、お母さんの乳首から抵抗なく飲むようになった。匂いによる「新生児人見知り」が解消したのである。

しかし、学君は自閉症になった。(つまりタイミングが問題)

4-2. 刷り込みの遅れ

ハイイロガンのヒナの場合、完全な刷り込みができるのは孵化後18時間までである。18時間を過ぎると刷り込みは不完全になり、よそよそしさが残るようになる。
36時間を過ぎると刷り込みはまったくできなくなる。

正確なことはわからないが、人間の赤ちゃんも刷り込みが遅れると刷り込みに障害が生まれると考えている。

生後18時間以内に母親ないし人間を刷り込めないと刷り込みに障害が生まれて自閉症になると考えられる。

安全・安心をうたっている病院ほど、赤ちゃんを新生児室に入れている時間が長いという傾向がある。
母親のベッドにくるのが出産の翌日のお昼という病院もある。これでは、母親の刷り込みが遅れて、刷り込みに障害が生まれる可能性が高くなってしまう。

次回は照明、目薬、フラッシュが問題に挙がります。


白石氏の電子書籍の目次は以下のとおりです。
※なお、本記事は白石氏の了承のもと公開しております。

第一部 自閉症の原因と予防
  第1章 自閉症の原因
  第2章 刷り込み
  第3章 新生児室
  第4章 自閉症予防の5カ条
第二部 自閉症の正しい理解と支援
  第5章 自閉症の正しい理解
  第6章 後期発症型の自閉症
  第7章 恐怖症の治療
  第8章 恐怖症の治療と教育


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