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デュマ・フィス『椿姫』読書会(2023.1.20)
2023.1.20に行ったデュマ・フィス『椿姫』読書会ものようです。
私も書きました。
カメリア・ダイヤモンドってCMが昔あってな。
私が本作に関心を持ったのは、映画『プリティー・ウーマン』の中で、大金持ちの実業家演じるリチャード・ギアが、娼婦であるジュリア・ロバーツと一緒に『椿姫』を観に行くシーンがあったからだ。ジュリア・ロバーツ演じるヴィヴィアンは、オペラなんぞ見たことなかったのだが、『椿姫』に涙していた。
今回読んでみて、『椿姫』は、アベ・プレヴォーの『マノン・レスコー』とエミール・ゾラの『ナナ』の間に位置する作品だと思った。マノンは、はっきりいってどういう人物なのかよくわからなかったが、マルグリットは、娼婦としての矜持があって生きている輪郭のはっきりした人物だった。
ただ、『ナナ』の方が『椿姫』よりもすごいと思ったのはラストシーンである。高級ホテルのベッドで、天然痘にかかって崩壊していくナナの肉体と、普仏戦争を支持する群衆が「ベルリンへ! ベルリンへ!」と叫びながら、ホテルの前を通り過ぎていくことで、フランス第二帝政が崩壊を暗示するというのが文学的に圧倒的であると思った。ゾラは、時代と社会を描いているが、デュマはロマンスしか描いていない。
中盤、マルグリットがアルマンと田舎暮らしを始める。女王マリー・アントワネットが、読んでもいないルソーの『自然に還れ!」に触発され、ヴェルサイユ郊外にプチトリアノンという別荘を作って、羊飼いの娘のコスプレをして遊んだというエピソードを思い出した。
私は、終盤で、アルマンが当てつけとして、マルグリットの友人オランプと付き合い始めるシーンや、500フランを送って娼婦扱いすることで、わざと傷つけるシーン(P.381)などが心に残った。
深く愛していたからこそ、相手の肺腑を残酷なことをしてしまうのである。プライドの高い男が恋に敗れるとこんな感じである。私がそうだったから、間違いない。
前編、『マノン・レスコー』がネタ振りになっていて、続けて読書会で読めてよかった。この本を紹介してくれた読書会参加者のチン念さん、体調崩されたそうだが、お元気だろうか。心配である。
帽子屋のプリュダンス・ディヴェルノアが、狂言回しとして機能している。クリエーター・ワナビー諸君!(私は何様だ 笑) 恋愛小説を書くならプリュダンスのような女友達を造形せよ。ホームズにおけるワトソンのような。マノンにはプリュダンスがいないから、人物像が曖昧なのだ。
昨年、新国立劇場で、『椿姫』を上演していたみたいだが、いつかパリやミラノやローマで、オペラで見てみたい。もっとも原作と全然話が違うらしいが。
(おわり)
読書会の模様です。
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