見出し画像

読書日記(2024.2.28)夜這いの民俗学


積読本だったのをパラパラ読んだ。

著者は、戦前の治安維持法で4年収監された元共産党員。
マルクス主義的な視点で村落共同体の夜這いという風習を分析している。

結婚と夜這いは別のもので、僕は結婚は労働力の問題と関わり、夜這いは、宗教や信仰に頼りながら過酷な農作業を続けねばならぬムラの構造的機能、そういうものがなければ共同体としてのムラが存立していけなくなる機能だと、一応は考えるが、当時、いまのような避妊具があったわけでもなく、自然と子供が生まれることになる。子供ができたとしても、だれのタネのものかわからず、結婚していても同棲の男との間に出来たものかどうか怪しかったが、生まれた子供はいつの間にかムラのどこかで、生んだ娘の家やタネ主かどうかもわからぬ男のところで、育てられていた。大正初めには東播磨あたりのムラで、ヒザに子供を乗せたオヤジが、この子の顔、俺にチットも似とらんだろうと笑わせるものもいた。夜這いが自由なムラでは当たり前のことで、だからといって深刻に考えたりするバカはいない。

『夜這いの民俗学・夜這いの性愛論』 赤松啓介 ちくま学芸文庫 P32-33

(おわり)

お志有難うございます。