読書日記(2023.9.12) ジョブズと日本の美術
NHKBSで放送していた『日本に憧れ 日本に学ぶ 〜スティーブ・ジョブズ ものづくりの原点〜』をみた。
スティーブ・ジョブズは、電子機器オタク仲間の同級生がいた。
彼の家のガレージに入り浸って、電子機器をいじっていた。
その同級生の母親は、川瀬巴水らの日本の「新版画」のコレクターで、ジョブズはリビングの壁に飾られていた、それらの新版画のデザインに魅了され、日本の工芸美術に興味を持った。
アップルを起業してからは、製品のデザインにこだわった。
ジョブズは、ソニーの盛田昭夫に影響を受け、ウォークマンの製造過程にどのくらい盛田昭夫が関わっていたのか、本人にインタビューして根掘り葉掘り聴きだした。
初期のアップル製品は、ほとんどソニーの部品でできていた。
川瀬巴水の新版画も、絵師である川瀬自身が、彫師、摺師に細かく指示を出す、デザイナー先行のプロダクトであった。
新版画には300以上の工程がある。絵師がリードして、細かい工程をこなして、繊細に作られた新版画の技術は、ジョブズのものづくりに影響を与えた。
ジョブズは、アップルの製品もデザイン先行で製作されるように、デザイナーを優遇した。
コンピューターが難しいという一般的なイメージを覆すように、デザインによって直観的な操作性を顧客に訴えるよう、ジョブズは意識した。
日本の焼物は、手で包んだときの感触が大事であるように、アップルの製品も、手で触った触覚を、特に大事にしていたそうだ。
ジョブズは、日本の焼き物に魅せられていた。
アップル製品の曲線(アール)は日本の焼き物からインスピレーションを受けてデザインされている。
京都の美術品店から紹介を受け、富山県の立山町の陶芸家を訪ね、約物の注文制作を依頼したほど、入れ込んでいた。
信楽焼も好きだった。
番組では、ジョブズと実際に話した日本の陶芸家たちのインタビューが紹介されている。
また、ジョブズによって経営のスペシャリストとして、ペプシからアップルに引き抜かれ、その後アップルからジョブズを追い出した、ジョン・スカリーがインタビューに答えていた。
まだ健在だった。
スカリーの自宅でインタビューをしていたが、スカリーの美術コレクションは、素人の私がみても、趣味が悪い。
スカリーがジョブズと日本の美術の関係を解説していた。
私は学生時代に、スカリーの書いた本を読んだことがある。
アップルからジョブズを追い出した男が、ジョブズの思い出話をしていてなんだかなあと思った。
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こちらの動画を見たら面白かった。
(おわり)