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色川武大『うらおもて人生録』読書会 (2020.11.6)

2020.11.6 に行った色川武大『うらおもて人生録』読書会 のもようです。

メルマガ読者さんの感想文です。

私も書きました。

しかも情が悪くなく、だ

(引用はじめ)

プロはそうじゃない。立つべきところで、きちんと立つよ。しかも情が悪くなく、だ。
その晩、調子がよくて勝ちはじめると、どのくらいの時間に勝ちのピークがやってくるか、すばやく読むね。それで必ず立ちどきがやってくると思ったら、その数時間も前から、立ちどきにぴったり立てるように、言動を工夫し、場の空気を巻き込んでいく。
もちろんいつも同じ工夫じゃ効果がないから、新工夫に苦労するね。   『立ちどきの問題--の章』

(引用おわり)


今日は2020.11.6だ。通常ならアメリカの大統領選は11.3で終わっているが、郵便投票の開票が遅れるせいで、まだ結果はでていない。完全な泥仕合と化しているが、どの時点で結果が出るのか、予測が立たない。ただ、どちらかが、敗北を宣言すれば、そこで、終りであろう。

デモクラシーにおける選挙も、博打とあまり変わらない。アメリカのような二大政党制なら、丁半博打と同じで、共和党と民主党で、勝ったり、負けたりだ。それがずっと続いてきたのが、アメリカのデモクラシーの歴史だ。

「情悪くなく」立って、どちらかが敗北を宣言しなければ、最悪、訴訟になって最高裁の判決を仰ぐことになる。今回トランプは、保守派の判事をねじ込むことで、郵便投票の有効性を争って最高裁の判決まで、選挙結果を持ち越す気だった。だいぶ早い段階で、その可能性を早々計算していた。そうはいっても、訴訟にもつれ込むまでの泥仕合を争うには、アメリカ社会に、それを支持する風が吹いていなければならない。  

上記の引用の言葉を利用すれば、場の空気を巻き込めなければ、立ちどきだ。立ちどきを間違えれば、トランプは、選挙に敗北した上、在任中のグレーな行動を訴えられ、最悪、逮捕されるところまでいってしまうだろう。

おそらく、現時点で選挙人獲得数において、ほぼ負けているトランプ選対は、世論の支持がなければ、しぶしぶ敗北宣言するだろう。訴訟するところまで、世論を動かすには、すでに厳しい情勢だ。


共和党も民主党も、それぞれの新工夫を凝らして、選挙に望んでいる。こんなことを四年に一度やっていて、さらには、上院下院、州知事選、州議会選から、さらに市町村レベルの自治体まで、選挙に真剣に取り組んでいる。その泥臭い政治意識が覇権国の政治の正統性を支えている底力だ。


十年前は、マスメディアの情報しかなかったから庶民には解りづらかったが、SNSの情報共有のせいで、ゲーム感覚で選挙をやっているのが可視化されてきた。日本においても選挙戦の工夫を考えている人たちがいる。日本でも、選挙プランナーという職業が知られるようになった。この人たちは、始終、選挙戦を戦っているのだろうが、プロの博徒みたいだと思う。プロの博徒が何考えて、仕掛けているか、有権者は考える必要がある。でなければ、情報戦に巻き込まれ、選挙において草刈り場となって、騙されて、清き一票をカモられるだけである。
                                                  (おわり)
読書会の録音です。

お志有難うございます。