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読書日記(2024.8.20)プラトン『パイドロス』
今週、トーマス・マンの『ヴェニスに死す』で読書会をする。
ざーっ、と一回読んだ。ヴィスコンティ監督の映画版は、二、三回観ている。
原作を初めて読んだが、映画のシーンが何度も頭をよぎった。
そのくらい映画版は原作に忠実である。
冒頭の船にいる化粧している道化みたいな男にいじられるシーンや、ホテルに営業に来ているバンドの喜劇役者のしつこい投げ銭要求ムーヴが、なかなか不愉快で、映画では見どころである。
原作の『ヴェニスに死す』では、アッシェンバッハが、美少年タッジオをパイドロスになぞらえて語りかけるシーンがある。
恥ずかしながら、『パイドロス』未読なので、この機会にと思って、読みはじめた。
デリダの『エクリチュールと差異』でこの『パイドロス』が分析されているというのは知っていたが、『パイドロス』を読み進めると、哲学的に深い話が展開されている。(その話は後日)
岩波文庫版のP.15くらいに「パルマコン」の挿話が出てくる。
「パルマコン」とは、ギリシア語で毒にも薬にもなるものという意味だそうだ。英語のpharmacy(薬局、薬学)の語源であるそうだ。
この「パルマコン」のエピソードが、『パイドロス』の中で探求されるテーマのお笑い用語で言う「ネタフリ、筋フリ」と言うのになっている。
ソクラテスとパイドロスの対話は、少年愛(paiderastia パイデラスティア)を中心とした恋愛談義なのであるが、これが、『ヴェニスに死す』ではアッシェンバッハとタッジオの関係を語るうえで「本歌どり」されているようなのである。
ダーク・ボガードの頭から白髪染めが黒く垂れてくるラストシーン、何度見ても切ない。
共感性羞恥に駆られる。
(おわり)
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