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黒姫童話館

今年はコロナで緊急事態宣言期間が長引いたのと、生活リズムが夜型だったので、紅葉を見に行く気になれず、もう紅葉も終わりになった11月半ばになって、黒姫高原に行ってみることにした。

先週、富山にドライブに行ったのだが、その途中、高速道路から見える黒姫〜妙高あたりの紅葉が、錦秋といった風情だったので、それから一週間も経っているが、まだ間に合うだろうか?

行く道すがら、BGMにマイルス・デイヴィスの『ドゥー・バップ』を聴いた。しばらく、シュープリームスのベストを聴いていたのだが、飽きたので、気まぐれに選んだ。全然、紅葉に合わない選曲であった。



地元に住んでいながら、全然出かけないので、もちろん黒姫も、ほとんど行ったことがない。2年前に映像を撮るために小林一茶記念館と野尻湖に行って、以来である。

黒姫と妙高の間にある苗名滝という滝まで行ってみようと思ったが、道がよくわからず断念。仕方ないので、黒姫童話館に行ってきた。

ミヒャエル・エンデゆかりの施設である。『モモ」は読書会で一回課題図書にしたことがあるので、展示は興味深かった。


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ミヒャエル・エンデは、晩年、日本人女性と結婚していたと初めて知った。あとミヒャエル・エンデは、演劇を学んでいたが、ベルトルト・ブレヒトの演劇理論に挫折して童話作家になったというのも、初めて知った。

館内には、エンデの資料が多数展示してあった。入口が合わせ鏡の通路になっていて、凝っていた。ブルース・リーの『燃えよドラゴン』のラストシーンみたいだった。

私は、『モモ』を読んだが、物語のナレーションが、あまり上手くない。

とりわけ、第三部が、やや破綻気味なので、童話としては面白いのかもしれないが、大人が読むには、物足りないというのが感想である。

もう一人松谷みよ子という童話作家の展示があった。

松谷みよ子は、坪田譲治の弟子である。坪田譲治は小川未明に影響を受けた児童文学作家であるそうだ。


小川未明といえば、『野ばら』という児童文学がある。

私も教科書で読んだ。

てっきり外国の作品かと思っていたのだが、小川未明の作品である。

小学生の教科書で読んだのだろうか? 忘れた。

この『野ばら』の挿絵の油絵が、童話館に飾ってあって、思い出したのである。


『野ばら』は今読むと、ドーデーの『最後の授業』のパクリじゃねえかと思うような内容である。『最後の授業』インスパイア系である。


童話館の隣に、いわさきちひろのアトリエ兼別荘があった。調度品のすべてが、昭和の別荘である。昭和の民家あるあるで階段が急だった。

黒姫の別荘で創作活動。夏はまだしも、秋は、淋しくて死にそうである。


併設されていたギャラリーで大友康夫の展示があった。

このクマのシリーズで有名な絵本作家らしい。


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外には、ハイキングしている幼稚園児がたくさんいて、ゆるやかな斜面を枯れ草だらけになって、何人もゴロゴロ転がっていた。その姿が微笑ましいと思ったのだが、遠巻きでもカメラを向けると不審者っぽいので控えた。

「おじさーん」「おじさーん」という声が、児童たちのあいだからした気がしたが、距離があったのと、客観的にはおじさんでも、主観的にはおじさんになりきれていない私は、マイルス・ディヴィスのようの不機嫌さでもって、あらぬ方向を見て、その声を無視した。

「はーい、こんにちわ、おじさん」も出番なしである。

右手にトランペットがあったら、ドゥープなフレーズを山に向かって吹いて、児童らの嬌声を完全に制圧したであろう。

しかし、紅葉はピークアウトである。もう少し早く来るべきだった。


帰りによこ亭で蕎麦を手繰った。

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黒姫で、マイルス・デイヴィスの『ドゥー・バップ』を流しながら蕎麦を打ち、一日限定五組、宿泊ありのペンションを経営して、都会の成金を騙して金稼ぐのが、私のSDGs的夢である。うそうそ、絶対やだ。

後ろにいたサラリーマンらしき客のグループの一人(管理職クラスの50代のおじさん)が「コロナワクチンは人口を減少させるための陰謀だ」とか大声で吹聴しており、これもこれでとんでもないBGMである。


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よこ亭の駐車場から見える志賀高原がキレイなんだわ。

空気遠近法の要領で、遠景が霞んで上手く撮れなかった)


( おわり)


お志有難うございます。