重い決断。
8月上旬に報道された、曺貴裁監督のパワハラ指導疑惑問題。
報道が出てすぐに自分もこのような書き物をアップしましたが…
Jリーグからの調査も入り、クラブ内外に多大な影響が及んでいたこの約2ヶ月間。
調査の結果、チョウさんのこれまでの"指導"が、正式にパワハラ認定されたことで、クラブに吹き荒れる逆風はますます強くなってしまった。
ピッチ内にもその空気は蔓延し、チョウさんに変わって高橋健二コーチが指揮を執るようになってからの6試合は2分け4敗。
特に、直近2試合のホームゲームでは清水エスパルスに0-6、川崎フロンターレに0-5の大敗を喫し、2試合連続で前半のうちに0-4にされるという、誰がどう見てもチームとして機能出来てない醜態を晒してしまっていた。
川崎戦後のロッカールームでは選手からクラブ幹部に向かって色々な意見をぶつけたみたいなのだが、昨日、遂にひとつの大きな決断が為されたのだった。
ショックだけど、やむを得ない…
2012年の監督就任以降、3度のJ1昇格《(2012、2014、2017)→14、17年はJ2優勝》を成し遂げ、昨年はクラブ史上初のJリーグカップ優勝をもたらし、クラブ史に残る功労者と言っても良い結果と成果を残した。
また、選手がゴールを決めた際に喜び過ぎて肉離れを発症したり、アウェイゲームの試合前の練習の雰囲気が良過ぎて泣いてしまったり、
「アウェイの試合にこれだけ多くのサポーターが駆けつけてくれたんだ。記録と記憶に残る試合をしよう」
「相手にビビっている暇があったら、猛烈に自分をモチベートしろ」
ここに挙げたのはほんの一例だけど、"キジェ語録"と評されるような名言でクラブ内外の人間を熱狂させていた。
しかし、チームがJ1で闘える土壌を造り上げていくのと同時に、指揮官であるチョウさんに負担が大きくのしかかっていたのもまた事実だったのかもしれない。
2015年オフ、当時のベルマーレの社長でもあった大倉智さんと、強化部長(今でいう坂本紘司SDの役職)の田村雄三さんが数人のスタッフを引き連れて、アンダーアーマーがバックアップをしているいわきFCへ"移籍"するという騒動があった。
2015年は湘南ベルマーレとして初めてJ1残留を成し遂げたシーズンではあったが、この年のオフに大倉社長と田村強化部長、さらには永木亮太、遠藤航、秋元陽太と言ったチームの核ともいうべき選手たちがベルマーレを離れてしまっていて、監督のチョウさんも数チームから監督オファーが届くという、なかなか壮絶なシーズンオフとなっていた。
結果的にチョウさんはベルマーレに残ったものの、恐らくこの頃から厳しさに厳しさを増さないといけない、と考えてしまったのかはわからない。
パワハラ指導があったとされる対象期間が2016年から今年の7月まで、ということを考えると、"良くも悪くも存在感がありすぎるビッグボス"、として誕生してしまったのが2016年からなのかなあ、と個人的には推察している。
2016年はJ2降格の憂き目に遭ったが、2017年はJ2優勝を達成してチョウさん自身3度目のJ1昇格、そして昨年の2018年は前述のルヴァンカップ優勝、最終節でJ1残留を決める、という長期政権の難しさと対面しながらも着実に結果を残す指揮官として、ますますその存在を確立していった。
しかし、Jリーグから発表された報告書にもあった通り、チームが結果を出していく中でチョウさんの言動や行動に傷つき、心が保てなくなってしまった選手・スタッフが居たのも紛れもない事実。
たまに練習を観に行ったり、練習を観に行ったサポ仲間さんからの色々な話を聞いたりしても、
「チョウさん、さすがにそれはやり過ぎ(言い過ぎ)なんじゃないかな!?」
「それ、一歩間違えばパワハラなんじゃない?」
と思ったことは何度でもあった。
ぼんやりとではあるが、ベルマーレの中でチョウさんに意見出来る人がいない、あるいはチョウさんが自分に意見できないような雰囲気をつくってた、と考えることもあった。
それでも最終的には、「長いシーズンの中で紆余曲折はあっても、最後にはチョウさんならきっと何とかしてくれる、湘南スタイルを発揮できるのはチョウさんしかいない」、とみんな盲信的にチョウさんを信じていた(と思う)。
チョウさんのサッカージャンキーさに、人間味溢れるアクションに魅了されていったのは、僕だけではないはず。
ここまでいちサッカークラブの監督が愛されたこともそうそうあることではないだろう。
それだけに、今回の一連の報道からこのような形でチョウさんとお別れするのは非常にショッキングだし、やるせない。
ただし、チョウさんが過ちを犯したのは紛れもない事実なので、チョウさん自身もそうだが、今回の騒動に繋がる流れをつくったクラブ側も大いに反省して、事実を真摯に受け止めて、これからまた厳しさとはまた違うベルマーレの良さを発掘・昇華させて、クラブを立て直していかないといけない。
それに、今回の騒動でチョウさんの精神は崩壊してると捉えられてもおかしくはないだろう。
加害者ではあるけど、チョウさんのメンタルケアを最大限に行って、1人の人間として再生できる手助けをクラブが行うべきなのは間違いない。
問題が公になっても、チョウさんとまた一緒にやりたい、応援したい、という人は必ず居るはずたがら。
ひとつの時代が大変に不本意な形で終結してしまった湘南ベルマーレ。
不本意ではあるが、火のないところに煙は立たない、という言葉があるように、熱くて厳し過ぎる火が周りを良くも悪くも燃やしすぎてしまったことで、今回の結論に至ってしまったのは否めない。
ひとまず消化活動は終わった。
ベルマーレはこれからチョウさん体制の時以上に盤石で強固な家を造り上げなければならない。
その道のりは大変厳しいものになると思われるが、それでも前に歩みを進んでもらわないと、サポーターの身と精神が持たない。笑
今回はベルマーレ"だけ"にこういうことが起きたが、他の全クラブにパワハラが必ずしもあるとも言えないし、ないとも言えない。
リーグ、日本サッカー協会の内部を含めて、対岸の火事として見てもらっては、今後何も良くならないし、発展もしない。
サッカー界、はてはスポーツ界全体で取り組まないと、何も始まらないと思う。
最後に、チョウさん今まで本当にありがとうございました。
このような形でお別れするのは非常に残念でなりません。
1人の人間として表舞台に戻ってくることを陰ながら応援してます。