思考法の活用法

ビジネス書や自己啓発、アイデア発想法などなど、世の中には色々な思考法があります。少し気になったので、調べてみると、たくさんあって驚きます。
ロジカルシンキングの講義では、まず基本となる帰納法と演繹法(厳密には思考法ではありません)、戦略的思考、デザイン思考(デザインの学校ですから)について話します。お客様向けのフレームワークでは、プロセス思考やクリティカルシンキングについても活用します。

インターネットで調べると、「これからは○○思考法」とか「○○思考法はもう古い」などという記事が文字通り群雄割拠、どれがよいのかわかりません。
そこで今回は「思考法」について、いくつかの方法を例に挙げながら考えたいと思います。

思考法とは、簡単に言えば目的の答えを導き出すために適した考え方やその手順だと考えます。例えば「論理的思考」は、やみくもに考えるのではなく、論理に基づいた考え方です。戦略的思考であれば、戦略を導き出すための考え方、デザイン思考は、デザイナーがデザインを行う際の考え方です。他にも様々な思考法がありますが、どれもと特定の目的に対して適している一方で、万能ではありません(と僕は考えています)。

ではなぜ思考法が注目されるのでしょうか。

簡単に言えば、やみくもに考えても答えを導き出せないからです。

例えば子供が学校の宿題で、解けない問題がある時のことを考えてみましょう。親がどれだけ「何が解らないの?」と聞いても意味がありません。なぜなら何が解らいないかが解らないからです。ではどうすればよいのでしょうか。親は間違った答えから、何が解らないかを理解し、解るための筋道を説明しなければなりません。
この解るための筋道が思考法です。ですから国語には国語の思考法、算数には算数の思考法、理科、社会とそれぞれの思考法があります。

少し話が逸れますが、この時一つ落とし穴があります。それは国語です。
国語ができないと、そもそも問題自体を理解していない可能性があります。
テレビでいわゆる`おバカタレント'という人がとんちんかんな解答をしているのがこれに当たります。問題を考える以前に、出題の意味を理解できない時点で、出題の中から知っている単語を選び、連想した言葉を発します。
教育現場にいる者としては、正直笑えないのですが、、、

話を戻して、つまり思考法とは、一定の条件下で適切に答えを導き出すための方程式のように考えればよいでしょう。
ここでちゅういすべき点があります。それは目的に合っていなければ機能しないことと、方程式を解くための基礎がなければ、方程式自体が解けないということです。例えば1次関数ですら、1次関数で何が導き出せるのか(目的)と、計算のルール(基本法則)が解らなければ活用(どんな問題に当てはめるか)し、解くことはできないのです。

デザインの世界と深く関わるようになって、「デザイン思考」という言葉を耳にすることが増えました。ちなみにデザイン思考のプロセスは以下のものです(資料によって異なります)。

観察➡共感➡問題定義➡創造➡プロトタイプ➡検証➡実装

ビジネスの世界でも、このデザイン思考と言う考え方は数多く取り上げられています。しかしここに大きな落とし穴があります。
確かにデザイン思考は、多くの場面で活用できる優れた思考法です。しかし「問題定義」の際に、対象となる問題の基礎知識がなければ絶対に適切な答えを出せません。また問題に対して一定以上の経験がなければ、「創出」できません。結果的に間違った発想を導き出し、「やみくもな考え」や「思いつき」と変わらなくなってしまいます。

ところで、偉業をなした人たちはどうなのでしょうか。例えば松下幸之助氏を例に挙げましょう。松下氏はほとんど学校へいっていませんし、特別何かを学んだわけではありません。当時思考法というものがこれほどあったとも思えませんし、ましてや松下氏が何らかの思考法を学んだとも考えられません。
偉業をなした人たちは、自分自身で何が大切なのかを必死に考えたのです。そのためには何が必要でしょうか。
僕は学ぶことは「問題を問題として認識する」一歩と説明しています。そしてやみくもに「思う」のではなく、順序良く筋道を立てて「考える」必要があります。そしてこれは、普段から意識していれば誰にでもできることです。

まずは「考える」こと。思考法はその後に役立ちます。

まずは疑問を持ち、学ぶことから始めましょう。

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