デザイン理論研究会を立ち上げます
今年の4月から、僕がこれまで仕事をしてきた「SAEKI Business Economics Labo」に加えて、新たに「SAEKI Design Labo」の設立を公表しました。
まあ設立と言っても、特に特別なことはなくて、これまでデザインと関わってきた仕事に屋号を与えただけですが。
僕自身はデザインについて手を動かす能力はないので、デザインストラテジストとしてデザイン業務に関わっていきます。
また、僕自身が研究者であることから、デザインの勉強や研究もしたいと思い、今回の研究会発足となりました。
僕がデザインについて学んでいるというと、よく勘違いされるのですが、デザインの技術については全く学んでいません。
僕が学んでいるのは、デザインの「考え方」です。
僕がデザインについて考えていることは、「デザインによって社会に何をもたらすことができるのか」そして「デザインはこれからの社会をどのように形作るのか」ということで、僕自身の、社会科学者としての問題意識と何ら変わることはありません。
今日、デザインという言葉は、とても広い意味で使われていて、極端な言い方をすれば、世の中の全ての事柄について、デザインという言葉や考え方が使われています。
これまでデザインについて学んできた視点からすると、都合よく使われ過ぎているようにも感じます。しかしデザインという言葉が、多くのデザイナーが考えている以上に広く使われているのは事実です。
少し話が逸れますが、以前、僕が「正しい日本語」という言葉を使ったとき、短歌の師匠が、「世の中に正しい日本語はない」と言いました。言葉は常に変化していて、いつの時代の、どの立場から見るかによって、言葉の正しさは異なるからです。
この点から考えれば、デザイナーがいくら「それはデザインではない」と言っても通用しません。
さらに言うなら、例えば日本においても、名だたるデザイナーは、皆驚くほど広い視点でデザインを捉えています。
そうした人たちが、どのような考えに基づいて考えているのかは、実は色々な場で紹介されていることに驚きました。
さて、タイトルにある通り、デザイン‘理論’研究会ですから、デザインの考え方を理論的に学ぶ研究会です。
これまで、参加しているデザイン協会などで色々な講演を聞きました。また勉強会にも参加したことがありますが、デザイナーの集まりなので、どうしてもデザイナーが知りたい内容になります。僕としては、なぜそういう考えに至ったのかという筋道や背景となる考えを聞きたいのですが、なかなかそうした話になりません。
しかし一方で、デザインにも理論は大切だという方はおられますから、それなら僕が立ち上げてしまえ、と考えたのです。
僕は、デザインはその誕生の背景などから、専門職能の1つと認識しています。
今、企業がパーパスを明確にして、社会にどのような価値を示すのかを考えなければなりません。そうするとデザインは、文字通り企業のパーパスを体現するものでなければなりません。
だからこそ、デザインは理論で説明されるべきものだと考えています。
今後の活動にご期待下さい。