ライトノベルのデザインはいかにして決まるのか?『不死探偵・冷堂紅葉』の場合
こんにちは。GA文庫編集部の編集いちごちゃんです。
今日はライトノベルの「カバーデザイン」が決まる過程について、とある作品を元にお話したいと思います。
その作品とはズバリ――
第15回GA文庫大賞受賞作
『不死探偵・冷堂紅葉 01.君とのキスは密室で』
ライトノベルで学園ミステリーに挑戦した作品です。
主人公と謎の転校生・冷堂紅葉のボーイミーツガールでもあります。
上記のカバーデザインが決定するまで、さまざまな案を検討しました。
①まずは元のカバーイラストをご紹介!
デザインを入れる前のカバーイラストはこちら。
描いてくださったのは美和野らぐ先生。
良いデザインにしようと気合が入ります!
②デザイナーさんに依頼しよう!
今回デザインをお願いしたのはAFTERGLOWさん。
右に「不死探偵」左に「冷堂紅葉」と入るようご依頼。
その他、作品の内容や明朝体をベースにしたい要望をお伝えしました。
最初にご提案頂いたのはこちらの3パターン。
A)オカルティックな不死探偵が始まりそう。
人魂っぽいデザインが特徴的です。
B)枠があることで密室っぽい雰囲気に!
不死と言いつつ少し死にそうな印象を受けます。
C)青色を多く使うとエモさや青春っぽさが出ますね。
本作品は青春小説としてもお薦めです。
サブタイトルが『君とのキスは密室で』ですから。
『不死探偵・冷堂紅葉』は特殊設定ミステリーであり、
物語の中では殺人事件も起こります。
学園生活で非日常が始まる雰囲気やミステリアスな冷堂紅葉の印象を引き出している、B案を詰めることに。
③B案をブラッシュアップしよう!
方向性が定まったら……細部を詰めるターン。
神は細部に宿ると言いますからね!
B案では、細かいパターンをいくつか頂戴しました。
D)文字の太さが太く、少し重たい印象になります。
全ての文字が「明朝体」で統一されています。
E)「死」「紅」2文字のみ「ゴシック体」に変更。
完成形とどこが違うか分かりますか?
F) 文字の遊びがないパターン。見やすいです。
EとFは、白いフチをつけて可読性を高めています。
最終的にEとFの中間、「死」「紅」はプレーンなゴシック体で目立たせ、それ以外を「虫食い文字」にし、作品の雰囲気を表現。
デザイン性の高さと読みやすさのバランスも、難しいです。
④新人賞ならでは「金帯」はどうする?
新人賞と言えば金帯です。普段とは違い金ピカの帯をつけます。めでたい。
仕様はレーベルによって様々ですが、GA文庫は比較的「THE☆金帯!!」なキラキラした作りとなっています。
光沢のある金色であるがゆえ、考えることが沢山あるのですが、今回特に悩んだ所は——
帯に冷堂紅葉の足を載せるか載せないか
零雫先生や美和野らぐ先生とも悩みました。どちらにも良さがありますね。
編集部内でも意見を聞いて回りましたが、結果は半々。
印象的だったのは若い年次のアルバイトさん達が口を揃えて「帯に足が乗っている方が好き!」と言ったこと。
【載せない派】
(タイトルの)死や冷堂など冷たい雰囲気の文字が強調されて好みです(美和野らぐ先生)
すっきりしていて文字が読みやすい/王道
【載せる派】
とにかく足を見て欲しい!つまさき!つまさき!(零雫先生)
今っぽい印象があり作品の雰囲気が出る/セクシー
見てくださった人にひっかかりが残って欲しい、と足を載せることに。
それ以降、冷堂紅葉が映えて見えることを優先し残り部分を配置。
最終的なカバーデザインは金帯含めこのように!
お気に入りは、赤色を追うと視線が一周すること。
ライトノベルを長く愛してきた方にも、新しくライトノベルを手に取る方にも興味を持っていただければ幸いです。
――以上。
「ライトノベルのデザインができるまで」をお届けしました。
『不死探偵・冷堂紅葉』ではこうだった、というお話です。
皆さまのご感想も、ぜひSNSで投稿していただければ嬉しいです! 編集者の方は自分だったらこうするなぁ~と思っているかもしれませんね。編集者とはそういう生き物なのだ。
『不死探偵・冷堂紅葉 01.君とのキスは密室で』は
7月15日ごろ全国で発売です。
試し読みはこちら。なんと240ページくらい読めます!
なみあと先生と皆さまのご感想(一部)はこちら。
では、またお会いしましょう🦋
#SBクリエイティブ #ライトノベル #GA文庫 #不死探偵