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その日暮らしの愛を叫ぶ
7月23日(木・祝)
心の天気:曇りのち晴れ
些細なきっかけで元恋人に対する執着&幸せだった過去への懐古強化ウィークに突入してしまい、ここ最近は湿度高めの病み病みポエムばかり綴っていた。
けどわたしと彼両方のことをよく知っており、客観的な意見をくれる友人たちとオンライン飲みをしたら、だいぶ元気が出た。
自分のいない場所で元恋人が取っていた言動を第三者から聞かされ、彼の身勝手さや考えの甘さを改めて認識し、わたしたちは別れるべくして別れたのだと、ひしひと感じた。
「やっぱりもう一回きちんと話したいよ~」と思いつめては枕を濡らしていた数日前のわたしはどこかへ行ってしまい、「結局あいつは自分のことしか考えてないやんけ。なにも変わってないし、対話なんて不可能だわ」と冷静な気持ちを取り戻すことができた。
さみしさは人を狂わせる。危ない危ない。
オンライン飲みがお開きになるころ、べつの友人から「いつもの店で飲んでるからおいで」と誘いのLINEが入り、ほいほい顔を出してしまう。
家から徒歩10分ほどの距離にあるスナックのドアを開けると、連絡をくれた友人Aと、ここ半年近く姿を見かけていなかった友人B、店の主であるママが奥のテーブルを囲んでいた。
この友人Aこそが、元恋人への執着をぶり返す原因となる話題を提供してくれた張本人だった。いや彼にまったく罪はなく、とっくに葬った気でいた想いをわたしが勝手に募らせ、その場で泣き出し、さらには1週間以上引きずっただけの話だ。
その日のことを引き合いに出し、「ふーちゃんは涙もろいよね~」と友人Aが言う。
苦笑いしていたら、「感情をちゃんと表に出せるのはいいことだよ」と友人Bがフォローしてくれて神かと思った。
この夜は、いつも明るくて冗談ばかり言っているイメージだった友人Bの新たな一面を知ることができた。
じつはつい最近まで人生の目的を見失って悩んでいた、と彼は打ち明けてくれた。だから仲のいい人たちともあまり連絡を取らず、近所で飲み歩くのもやめていたのだと。
友人Bの話を聞きながら、「これだけ長く生きてても悩むことばっかりだよ」とママが言う。
彼女の年齢は不詳だけど、たぶん50代後半から60代前半くらいだろう。ちなみに友人Aは50代前半で、友人Bは40代前半である。
「人生なにがあるかわからないからね」と笑う友人Aは、先月末に約1ヶ月にわたる入院生活を終えたばかりだ。文字通り生死の境を彷徨っていた人間の言葉の重みは半端じゃない。
そんな彼も今は隣で元気そうにサザンを熱唱して、シーバスリーガルをストレートで飲み干し、「ほんとはダメなんだけどな~」と言いながら友人Bにもらった煙草を吸っているので、また一緒に遊べるようになってほんとうによかったなと思う。
友人Aとは土曜日にも飲む約束をしていたので、今日は早めに切り上げようかと話していたのに、結局店を出たのは深夜3時を回ったころだった。
7月24日(金・祝)
心の天気:晴れときどき曇り
ほとんど予定がなかったはずの連休にも、気がついたらぽこぽこ約束が生まれ、スケジュールが埋まっていく。
今日は一日暇だからゆっくり読書でもしようと、最近勉強中のフェミニズムにまつわる本の山に手を伸ばす。
わりと重ためのトピックに神経を注ぐにあたり、まずは頭の柔軟体操にと、内容も語り口も取っつきやすいイ・ミンギョンの『私たちにはことばが必要だ』を開いた。
これを書いている時点でまだ半分くらいしか読めていないけれど、今までなんとなく囚われていた「フェミニズムを語るにしても、分断は極力避けなくてはならない」「しっかり学ばなければ、違う意見を持つ人と対話する力は身につかない」という強迫観念からすこしだけ解放された気がして、呼吸がしやすくなった。
この世にはあらゆる差別がはびこっているし、現状を変えるには被害者側が黙らずに声をあげるしかない。
その事実をどれだけ一生懸命力の限りを尽くして説明しても、聞く耳を持たない人、理解したふりをして右から左に受け流す人、なにを言ってものれんに腕押し状態になる人はとても多い。
そういう相手との会話は疲れるから、無理してコミュニケーションを取らなくていい。すべての人と調和することだけが美徳じゃない。
「話せばわかる」と信じていたわたしは、ある意味で傲慢だったのかもしれない。
病みウィークに突入しているあいだ、こんなことも実感した。「伝えたいことが明確なエッセイ」は読まれやすいし、「内省的な日記」はスルーされやすい。
そんな事実はnoteを書き続けていたら嫌でもわかる、でも前者だけを意識していると息が詰まりそうになる。数は少なくても、後者をすきだと言ってくれる人もいる。
考えたこと感じたことを心の赴くままにひたすら綴っていたら、「言語化してくれてありがとう」と感謝されたときは少しびっくりした。と同時に、とても嬉しかった。
この交換日記は、読み手にウケるとかウケないとか、スキがいくつ付いたとか、そういうことはあまり気にせず安心して言葉を紡げる場所にしたいねと、お茶さんと話した。
「お前の個人的な体験なんてどうでもいいし読みたくない」という人には、「そうですか、さようなら」と手を振ればいい。
なにをどんなふうに書いたって、露骨に他者を攻撃したり傷つけたりする内容でない限りは自由だし、わたしたちの価値は下がらない。
その日の気分に合わせてほんとうに書きたいものを書いて、読みたいものを読めばいい。よね。
この記事のタイトルは、交換日記の企画名を決めるにあたり、お茶さんがいくつも出してくれた案のうちのひとつを拝借したものです。やっぱセンスいいな~~~。
そんなセンス抜群なお茶さんによる、前回の日記はこちら!
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