再び、ルッキズムと向き合う
「僕、昔太ってたから、テレビでデブの芸能人見ると超不快になるんだよね。そういう自分がすごく嫌」
バラエティ番組でぽっちゃり体型の女性芸人がトークを繰り広げているのを見て、友人がそうこぼした。
その隣で、わたしは思わず「めっちゃわかるよ」と頷いた。
めっちゃわかる。
わたしも中学時代、見た目がダサくていじめられた経験がある。
そのときの自分を思い出したくなくて、髪がボサボサだったり、毛玉だらけの服を着ていたり、身だしなみに気を遣っていない人を街で見かけると反射的に眉をひそめてしまう。
そうやって人を外見で判断してしまう自分が一番醜いとわかっている。
だからこそ苦しいし、どうにかしなきゃいけないと常々思う。
「自覚できてるなら大丈夫だよ。一緒に克服しよ。ルッキズムの呪縛から抜け出そう」
そう言って友人を励ました。半ば自分自身に言い聞かせるように。
打ち明けてくれたことが嬉しかった。そして、同じ悩みを抱えているのはわたしだけじゃないんだと安心してしまった。
半年前、こんなnoteを書いた。
今読み返すとかなり色々ぶっちゃけているし、「わたしの!話を!聞いて!」感が全面に出ているし、シンプルに文章が下手で恥ずかしい。
当時はnoteのフォロワーなんて10人にも満たないくらいだったけれど、ちゃこさんにTwitterでシェアしていただいたり、これを読んでアンサーnoteを書いてくれた人がいたり、さまざまな反響があって嬉しかった。
こんな性格の悪さを曝け出したような文章でも、共感してくれる人が意外にも多くて驚いたものだ。
ただ読んでいただければわかる通り(読まなくても大丈夫だけど……)、このnoteを書いた当時も、「ルッキズムとどう向き合うか」という問題に対して、自分の中で明確な答えが出たわけではなかった。
とりあえず言いたいことだけ言って、なんとなくデトックスした気になっていたけれど、腸内環境は改善されていないような、そんな感覚だった。
自分の腹が黒いことはわかった。いきなり真っ白な状態に持っていくのは到底無理ということもわかった。
すこしでも綺麗にする努力はしたい。にも関わらず、調子の整え方がわからない。
わたしにとっての乳酸菌は、ビオフェルミンは、一体なんなんだ?
結局わたしはなにも変わっていなくて、人から「かわいい」と言われたくて仕方なかった。
おしゃれをするのは自分のため。
自分がときめくデザインの服を着て、気分を上げるためにメイクして髪を巻く。
それは大前提で、でも時間をかけてがんばって磨いた部分は褒められたいし認められたい。
そう思ってしまうのは悪いことなのだろうか?
悶々としていたある日、文筆家の塩谷舞さんが、ご自身で運営するWEBメディア「milieu(ミリュー)」にてこんなコラムを公開された。
ビジネスに身を投じるあまり、意識的に「美しいと感じるもの」から距離を置いていたというエピソードや、幼少時代に植えつけられた欧米コンプレックスの話などを絡めながら、彼女にとっての「美」とはなにかを綴った素晴らしい文章だった。
Instagramで多くの人に、美しくあることについて、問いかけてみた。(中略)
「ある哲学書より、美しさとは自愛。ナルシストは自己愛。後者が日本では混同されがちだと思います」
──最後の回答はまさに、数年前までの私自身だ。美しくあることとナルシズムを混同しており、美しさを求めることを「取るに足らない、ワガママで、必要のない贅沢」と一掃することで、自分の心に薬を与えていた。でも違う。美しくあることとはつまり、どう生きるか? という自分への問いかけであるのだ。
自己卑下と慎ましさが混同される世の中で、その人らしい美しさを誇らしく思うひとが一人でも増えて欲しい、と心から願う。
この文章を読んではっとした。
同時に、とても大きなヒントを得られたような気がした。
わたしはまさに自己愛にまみれた人間だ。
いつだって他者からの称賛を過剰に求めてしまう。
無意識のうちに人と比較して優位に立てる部分ばかり探して、絶対的な自信が持てない。
ルッキズムと向き合うことは、自己愛と自愛の違いについて考えることでもある。
前者を手離し、後者をゆっくりと育む。それこそが今後わたしが目指していくべき生き方なのだ。
そう気づけたとき、行く手を阻むモヤモヤした霧がすっと晴れていくような感覚がした。
わたしのお腹に合うビオフェルミンを、やっと見つけた。
昨年末、大好きなアイドルである道重さゆみさんが、とあるイベントに登壇した際にこう語っていた。
「10代はかわいい。20代は超かわいい。30代は超超かわいい」です。
劣化という言葉はわたしにはなくて、常にピーク。
だから、今日が一番かわいい!
さすがわたしたちのさゆだ。最高オブ最高である。
「道重さゆみ」といえば、一時期お茶の間を席巻したナルシストキャラを思い浮かべる人が多いだろう。
けれどそれはあくまでもバラエティ番組用につくられた虚像であって、彼女のほんとうの姿ではない。
彼女は「かわいい」をストイックに追求して、アイドル・道重さゆみに昇華する。
「自分が一番」ではなく、「わたしらしさ」を掲げる最強のアーティストなのだ。
わたしもさゆのように、「今が一番かわいい」をずっと更新していきたい。
そしてその「かわいい」は、誰かと比べたり、他人に押しつけたりする必要なんてない。
わたしの思う「かわいい」を愛して、大事に育てていければ、それで十分なのだ。
#わたしの愛するかわいい エッセイコンテストに参加しています。
なんとなんと、大好きで尊敬する書き手であるちゃこさんが審査員を務められています!
「これは絶対に絶対に応募しなくては!」というテーマだったので、ものすごく生き生きしながら書きました(笑)。
ちゃこさん、改めて電子書籍の出版おめでとうございます!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます! ♡のリアクションはオールタイムベスト映画のご紹介です🎬