むち打ちを診る上で必要な知識④靱帯
前縦靱帯
椎体前面を広く覆いながら頭蓋底から仙骨まで走る。その深層部線維は椎体の前面部をつないでいるが、浅層部にはさまざまな長さの線維が走る。前縦靱帯中のコラーゲン線維は椎体と固く結合するが、椎間円板にはわずかに結合するのみである。強靭な靱帯で、脊椎の支持性に重要とされる。特に後屈運動の制動に寄与している。
後縦靭帯
椎体後面に存在する前縦靱帯より薄い靱帯で、頭蓋骨の大孔の前方にある後頭骨の斜台から椎体の後面を下行し、仙骨管内にまで達する。椎体部分では細くなりながら円板と固く結合する、この靭帯は椎間円板の線維輪と結合するが、椎間円板の大部分、特に外側部は靱帯性に補強されていない。したがって外側へのヘルニアが起こりやすい。後縦靭帯は特に前屈運動の制動に寄与している。
黄色靱帯
その主な構成成分が弾性線維であるため、特徴的な横職を呈する。黄色靱帯は厚く、強靭な靱帯であり、上下隣り合う椎弓板をつなぎ、椎間孔より後方の脊柱管の壁を補強する。
脊柱が起立している時、黄色靱帯は伸張状態にあり、矢状方向に脊柱を安定に保つ背筋群を補助する。また脊柱を前方に曲げる際、黄色靱帯は過屈曲することを防ぐ。したがって黄色靱帯は前方に屈曲した脊柱をその位置で保持することにも貢献している。横突起の先端は左右それぞれ横突貫靱帯によってつながれ、脊柱の横方向の傾きを制限している。
項靱帯
矢状面は矢状面に広がった棘上靱帯の一部で、隆椎(C7)から外後頭隆起に至る。
引用・参考文献
坂井建雄他)監訳:プロメテウス解剖学アトラス解剖学総論/運動器系第3版、医学書院、2019年、1月
長本行隆:頚椎のバイオメカニクス、Jpn J Rehabil Med Vol.53 No.10 2016、P746-749
J.W.Rohen/横地千仭/E.Lutjen-Drecoll 共著:解剖学から―アトラス 第8版、医学書院、2000年、9月
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