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頚椎の機能解剖学② 血管・神経
頚椎は、7個の脊椎から成り、上位頚椎と中・下位頚椎では形状が大きく異なる。
体幹と脳とをつなぐ部位であり、交通事故後やディスクワークでの慢性疲労などで頭痛、頚部痛、肩痛を訴えることが多い。
頚椎の機能解剖について、
私が重要だと考える順に私見をまとめる。
前回は、筋についてまとめたので、是非ご参照ください!
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今回は、血管・神経についてまとめていきます。
総頚動脈
頭部・脳を栄養する動脈である。
左総頸動脈は大動脈弓から直接分岐するが、右総頸動脈は腕頭動脈から右鎖骨下動脈とともに分岐する。側頚部を上行し甲状軟骨上縁付近で内頸動脈と外頸動脈に分かれる。
鎖骨下動脈
胸部および上肢を栄養する動脈である。
左鎖骨下動脈は大動脈弓から直接分岐するが、右鎖骨下動脈は腕頭動脈から右総頸動脈とともに分岐する。
胸腔を出て第Ⅰ肋骨の上、鎖骨の下を通り前斜角筋と中斜角筋の間を通過すると腋窩動脈となる。
鎖骨下動脈から分岐する動脈として、椎骨動脈・甲状頸動脈が頻出する。
椎骨動脈
脳を栄養する動脈である。
鎖骨下動脈の最初の主要分岐である。前斜角筋の後方で分岐して頭側へ走行し、C6の横突起構内に入りその際に腕神経叢のC7神経根とC6神経根の間を通過する。その後第2頸椎まで横突起内を上行し、外側へ移動して環椎の横突起を通過し、大後頭孔を通って頭蓋内に入る。
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腕神経叢
C5神経根-Th1神経根よりなり、上肢・上肢帯の運動・感覚すべてを支配する。互いに分岐・合流を繰り返し複雑な構造をとるため、中枢から末梢に向かって、根・幹・束の3部に分けられる。 腕神経叢は頚椎横突起前結節と後結節の間より、前斜角筋と中斜角筋の間を頚部外側下方へ走行する。C5-C6神経根は上神経幹、C7神経根は中心景観、C8-Th1は下神経幹となる。 各神経幹はそれぞれ前枝(屈筋系)と後枝(伸筋系)に分かれた後、前枝は外側神経束と内側神経束、後枝は1本にまとまり後神経束となる。 外側神経束と内側神経束はさらに2枝に分かれ、そのうち中央の2枝が合わさって正中神経となる。残りの枝は外側枝が筋皮神経、内側枝が尺骨神経となる。また正中神経の2枝が合わさる部分は、腋窩動脈を囲むように位置し、正中神経ワナと呼ばれる。 後神経束は腋窩神経と橈骨神経に分岐する。 内側/外側/後神経束は鎖骨の後面から腋窩を通る部分に位置する。 さらに神経幹と神経束の領域では上肢帯を支配する以下の神経が分岐する。肩甲背神経、長胸神経、鎖骨下神経、肩甲上神経、外側胸筋神経、内側胸筋神経、肩甲下神経、胸背神経、内側上腕皮神経、内側前腕皮神経に分岐する。
上記にもあるように、腕神経叢と斜角筋群の関連が強い。双方の走行に関しては、成書を参考にされたい。
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また、胸郭出口症候群(TOS)と腕神経叢、斜角筋群との関連が強い。TOSに関して、以下にまとめてあるので、参照されたい。
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最後まで、ご覧頂き誠にありがとうございます。
35歳、初投稿になります。これからも頚部、肘関節を中心に投稿していこうと考えております。コメントお待ちしております。
引用参考文献
山下敏彦監):DVDで動きがわかるモーション解剖アトラス、MEDICAL VIEW、2010、10月
岩﨑 博執)、山田 宏監):脊椎エコーのすべて 頚肩腕部・腰殿部痛治療のために、日本医事新報社、2021年、5月
坂井建雄他)監訳:プロメテウス解剖学アトラス解剖学総論/運動器系第3版、医学書院、2019年、1月