関西独立リーグに行ってみよう!

さて、リーグの名称も変わり、堺シュライクスが加入することで4球団体制で新たなスタートを切る関西独立リーグ。
「せやねん」で紹介されたことで「シュライクス面白そう!」とか「あのウガンダの人はどうなるんだろ」とか色々感想をお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、そもそもこのリーグ、どんなものなのか。他のリーグにない特長はどんなものなのか。ちょっとゆるめに小ネタを挟みながらご紹介したいと思います。

そもそも独立リーグって何だ

現在日本には関西独立リーグの他に、四国アイランドリーグプラス(以下四国IL)、ルートインベースボールチャレンジリーグ(以下BCリーグ)と計3つの独立リーグがあります。

一般的なプロ野球(NPB)とは別の枠組みのプロリーグ、という認識です。それぞれスポンサーから援助を受け、「プロ」として活動します。

四国IL、BCリーグは月10万円〜40万円の給料が発生しますが、関西独立リーグはリーグ規定で0円となっています。(別途個人スポンサーなどからの収入は得ることは可能)
関西独立リーグの場合、主にスポンサー企業でアルバイトをすることが多く、勤務先の人たちが球場に選手を応援に来る、なんて光景もしばしば見られます。
↓の記事が割と詳しいかと。

リーグ戦を行う他に、NPBの2軍や3軍と試合をするなどし、選手がNPBに行くためのアピールを行ったりします。そして、ドラフト会議で指名されるのを待つ、と言う流れになります。

海外でも独立リーグは存在し、アメリカではメジャーリーグの枠の関係で選手が流動的に移籍するため、短期的に独立リーグに籍を置くこともしばしば。なお、メジャーリーグ移籍を目指すため、アメリカ独立リーグに挑戦する日本人選手も多い。堺シュライクスのコーチ藤江均もアメリカ独立リーグ経験者。

関西独立リーグの構成球団と特長

●和歌山ファイティングバーズ
   ホームタウン:和歌山県田辺市
   本拠地:田辺スポーツパーク野球場
   特長:独立リーグおよび日本のプロ野球で最も南にある球団。
   2018年のチャンピオン。球場に行けばスポンサー企業の歯ブラシをもらえることがおおい。また球団公認アイドルもいる。

●兵庫ブルーサンダーズ
   ホームタウン:兵庫県三田市
   本拠地:アメニスキッピースタジアム
   特長:後述する育成システムなどで有望な選手を多く抱える。リーグの歴史上、唯一のNPBへのドラフト指名者(3名)を輩出している。また井川慶が在籍していたり、チームでリポビタンDのCMに出演した。

●06ブルズ
   ホームタウン:大阪府東大阪市
   本拠地:花園セントラル球場
   特長:長く村上隆行氏が指揮し、打線はリーグ随一の破壊力と機動力を持つ。また、二刀流の選手や三冠王を獲得した選手もいるなどリーグ屈指のタレントを抱える。チームのニュースなどはJ:COMの「デイリーニュース東大阪」および、ど・ろーかるアプリで放送されることがある。

●堺シュライクス
   ホームタウン:大阪府堺市
   本拠地:原池公園野球場(2020年から)
   特長:監督とコーチが焼肉屋の経営者という共通点をもつ。トライアウトで海外リーグでプレーを経験した選手が入団するなど1年目から優勝争いが期待される。映画「来る」や、漫画「バトルスタディーズ」とコラボを開始。

関西独立リーグ独自の取り組み

●教育提携
2014年度から兵庫ブルーサンダーズが芦屋大学および芦屋高校野球部に在籍する選手を育成軍として迎える構想を発表し、インパルスとして発足。
プロアマの関係などから批判を受けたが、結果的に芦屋大学の選手2名がNPBにドラフトで指名されている。(巨人の山川和大と楽天の田中耀飛)
また、2018年度からは兵庫が向陽台高校と、和歌山が神村学園の通信制と提携し、高校に在籍しながら野球を続ける場として機能している。主な選手に2018年度最多勝の兵庫の三山篤郎らがいる。

選手の入団経路

主に入団テスト(トライアウト)を開催し、合否を決める。トライアウトは球団単独のものやリーグ合同のものがある。
堺シュライクスはすでにチーム単独トライアウトを実施。


リーグとしては1月15日に花園セントラル球場で3度目の合同トライアウトを行う。
おそらく見学は可能。そしておそらくその場で合格も発表される。

なお、兵庫ブルーサンダーズは9月に韓国でもトライアウトを実施している。入団が決まった選手がいるという情報もある。

各球団の注目選手

とりあえずみんな見て欲しいところですが、特徴のある選手を3人ずつ紹介したいと思います。

※1月7日追記 松浦、浅川が和歌山から兵庫に移籍したため、兵庫を5人にしています。また、和歌山に2人追記しています。

●和歌山ファイティングバーズ
遠藤智騎(えんどうともき) 投手 1995年生
最速145キロの速球が武器。高めのストレートで空振りをバシバシ取ることができる。2018年は先発に中継ぎにフル回転。2019年は金城、服部らが抜けたため、エースとしての活躍が期待される。

楠本陣(くすもとじん) 投手 1998年生
2018年度最優秀防御率賞に輝いた右腕。体の線が細く、制球も危ういところもあったが、早くも代表に選ばれており、飛躍が期待される。1年間怪我なく投げ切ることができれば去年以上の成績も残せるはずだ。

阿次富雄大(あじとみゆうだい) 内野手 2000年生
神村学園高の4番打者だったが、退部。和歌山ファイティングバーズと提携している神村学園通信制に在籍するかたわら、育成チームシリウスに在籍。2019年1月26日、晴れて正式契約。

●兵庫ブルーサンダーズ
三山篤郎(みやまあつろう) 投手 2001年生
上記の教育提携により、ブルーサンダーズに入団。詳細は下記記事参照。

おそらく今最もNPBに近い右腕。怪我なく投げられるかがカギとなる。

黒田優斗(くろだゆうと) 投手 2000年生
三山と同学年、2017年からチームに在籍している左腕。今季は制球に苦しむ場面も多く、三山が離脱後投手陣が手薄になったタイミングで大量失点を喫したことも。ただし巨人相手に好投するなど素質は光るものがある。

真木優人(まきゆうと) 投手 1999年生
芦屋大在学中の左腕。2019年は3回生。チャンピオンシップに先発すると4回無安打という好投を見せた。大学生としての身分が優先されるため、ドラフトにかかるのは2年後。それまでにどれだけレベルアップできるか。

松浦仁(まつうらひとし)内野手 1996年生
シーズン1本塁打ながら、巨人3軍との交流戦で2試合連続ホームラン、チャンピオンシップでは兵庫のエース三山からホームランを放つなどパワーに定評のある内野手。広角に打つこともでき、打率が高いのも特徴。2019年シーズンから兵庫に移籍。

浅川朝陽(あさかわあさひ)捕手 1998年生
前職がスキューバダイビング講師という変わり種。しかし送球が正確、かつ脚も早く打撃もいい。キャッチャーとしては異色のロングヘアーが目印。

●06ブルズ
孫入優希(そんにゅうゆうき)内野手 1995年生
新加入した2018年シーズンは夏場にホームランを量産し、リーグ初の三冠王に輝いた。セカンド、ショートを堅実に守り、エンドランのサインが出れば、しっかり右打ちに徹することもできる選手。リーグを代表する内野手だ。

宮前晴輝(みやまえはるき)投手 2001年生
来季が3年目で高校3年生のシーズン。着実にステップアップしており、2年目の今季は規定投球回数にも到達した左腕。ソフトバンク戦で代表デビューし、2回無失点。スポーツグラスがトレードマーク。

白戸颯(しろとはやて) 投手 1994年生
投げては抑えとして防御率1.54、4セーブ、打っては打率.280をマーク。
前の年も投手野手両方で数字を残しており、継続を期待したい。

●堺シュライクス
安田旺昌(やすだあきまさ) 投手 1995年生
今季はチェコでプレー。150キロ近い速球と、沈むように落ちるカーブが武器の本格右腕。実績に乏しいシュライクス投手陣の中で軸になることが期待される。

野井優星(のいゆうせい) 投手 1999年生
今季は和歌山でプレー。代表入りも果たしたが、制球を乱すシーンが多かった。チャンピオンシップでは1回をしっかり抑え勝ち投手になった期待の左腕。
FM田辺のCMでのキャッチコピーは「居酒屋ピッチャー」

鶴巻璃士(つるまきりお) 外野手 1994年生
安田と同じくチェコでプレー。巧みなバットコントロールと全身を使ったバッティングフォームでアジアンアイランダーズでは5割を超える打率をマーク。中軸として期待。

他にも色々ありますが

ちょっと長くなりすぎたんで、とりあえずこんな感じで。
あとは選手とファンの垣根はめっちゃ低いです。何回か通ってたら選手やチームの代表から声をかけられたりします。正直高下さん(和歌山と兵庫の球団代表)から「あ、どうも三田までわざわざありがとうございます!」なんて声をかけられた時は死ぬほどびっくりしました。

SNSで声をかける選手も当然いますし、現場で色々と話をすることができるのも関西独立リーグの魅力の一つかも。ある種(あんまり流血しない笑いもある)プロレス団体の現場的な空気感がそこにあります。

もちろん試合が始まってしまえばそんなことは関係なく、熱い戦いが始まります。

興味ある!という人は1月15日のトライアウトに見学に行ってみてはいかがでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?